必当生於難遭之想
よにすまばめぐりあふべき月だにもあかぬ名残りは有明の空
半紙
【題出典】『法華経』寿量品
【題意】 必当生於難遭之想
必ず当に遭い難き想を生し
【歌の通釈】
世に生きていれば、月が沈んでも再び昇るように巡り会えるあなた(仏)とさえも、思い切れない別れの名残りの有明の空だよ。
【考】
月が再び空に廻るように、生きていれば恋人とも再び会うことはできるだろう。しかしそれでも別れは辛く、二度と会えないかもしれないと思う中、有明の月が恨めしく残るのである。それと同じように、仏は実際には滅度せず、永遠に月のように衆生を照らし続ける。そうとは言え、妄想にとらわれて志を失うならば仏に再び会うことは難しいという。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)