最近、戦争の史実から目を背けるだけでなく、むしろ過去の戦争を美化
しようとする動きが気になり、様々な証言を読みあさっています。証言の
中には、単なる思い違いや年月の経過による混乱、精神的な打撃がもとに
なった誇張、憎しみに基づく嘘などが含まれているかも知れません。だか
ら、できるだけ多くの証言にあたり、その時の社会状況や精神状況を踏ま
えて、総合的に理解していかなければならないと思っています。戦争の実
相を知るために必要と思われることを、体験談や証言集等をもとに私なり
に簡単にまとめ、必要に応じて掲示板などに投稿していきたいと思います。
先ず、戦争中いろいろ問題があったという炭鉱における証言にあたりま
した。
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「消された朝鮮人強制連行の記録-関釜連絡船と火床の坑夫たち」
林えいだい著
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この記録は、様々な立場の人達の証言を集めており、全体像をかなり正
確につかむことができました。例えば、麻生炭鉱(前外務大臣麻生太郎氏
の親族が経営)におけるキン玉事件や労働争議に至る経過を、炭砿労働者
はもちろん、炭砿労働者を指揮した労務係、寮長、駐在所請願巡査、特高、
死者が出たときに関わった寺の住職、関連組合の役員、その他住民の証言
で、ほぼ矛盾なくその全体像をつかむことができたのです。炭砿労働者、
特に朝鮮人労働者に対しての人権無視の状況がよく分かりました。
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「花岡事件を見た二十人の証言」野添憲治著
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この証言集は鉱山労働力が不足した第二次世界大戦末期に、タコ部屋労
働や中国人の徴用による強制労働が行われていた鹿島組の花岡鉱山で、過
酷な労働条件に耐えきれず、1945年6月30日大隊長 耿諄 を中心に蜂起する
に至る過程を矛盾なく明らかにしています。ここでも、炭鉱労働者、特に
中国人労働者に対する著しい人権侵害があった事実が確認できました。ま
た、自分たちにやさしく接してくれた関係者は巻き込むまいとして蜂起の
日を変更するという極めて人間的な対応をしていることも分かりました。
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