真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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「従軍慰安婦」五つの問題点(藤岡信勝)に対する異論④

2020年09月29日 | 国際・政治

 藤岡信勝氏が「国民の油断 歴史教科書が危ない」(PHP文庫)で、「従軍慰安婦」五つの問題点の第四として指摘しているのは、下記のとおりです。

第四に、教育的に全く無意味だということです。限られた学校教育の時間を割いて、人間の暗部を早熟的に暴いてみせることに何の意味があるのでしょうか。教科書にまで載せて、教師が授業で取り上げる必要はありません。それは害こそあれ、何の得るところもありません。
 もちろん人間の暗部に目を向けるべきだという議論もあり得るでしょうが、人間の暗部というのはそれ以外にもさまざまにあるわけで、それは子どもが大人になる過程で、さまざまなことのなかから、自然に学んでいけばいいことです。制約された学校教育の中の貴重な時間を使って、性産業についてわざわざ教える必要は認められません。それよりもっと教える価値のある大切なことは、歴史に限ってもたくさんあるのです。”

 二度とくり返してなならない戦争の悲劇を後世に伝えることが、教育的に何の意味もないことでしょうか。
 国連人権委員会より任命された女性に対する暴力に関する特別報告者である、ラディカ・クマラスワミ氏の報告書には、日本軍の「従軍慰安婦」問題(報告書では「軍事的性奴隷問題」とされている)について解決のための勧告が含まれていますが、その中には、
(e)歴史的現実を反映するように教育課程を改めることによって、これらの問題についての意識を高めること
 という項目があります。それは、元「従軍慰安婦」の人たちの要求でもあり、尊厳回復のためにもも不可欠なのだろうと思います。
 国際化の進んでいる今日、被害国の子どもたちが詳しく教えられている事実を、加害国日本で教えないということになれば、日本の子どもたちは戦争の事実、特に加害の事実を何も知らないことになって、真の信頼を得ることが難しくなるのではないでしょうか。
 「従軍慰安婦」の問題は、わが国が過去におかしたアジア地域の女性に対する組織的暴力であり、女性及び外国人に対する差別でもあると思います。恥かしい事実にはちがいありませんが、日本人は、この事実から目をそらしてはならないと思います。そういう事実を、どういう時期に、どのように教えるかということについては、私にはよくわかりませんが、二度とくり返してはならない、戦争の残酷で悲惨な事実の一つとして、教えなければならないと思います。人命軽視・人権無視の歴史的事実を教えることが”教育的に全く無意味だ”というようなことは決してないと思います。

 1991(平成三)年、韓国で初めて元慰安婦として名乗り出て、自らの体験を語った元「従軍慰安婦」金学順さんは、”歴史を正しく伝えてほしい”として、下記のようなことを語っています。

過去の侵略の歴史を若い世代に正しく伝えてほしいと思っています。日本の若者たちは日本が過去にどうしたことをしたか知らない。日本政府が過去にあった侵略の歴史を隠し、なかったことだというふうに押し通しているから、若い世代が知らないのです。若い世代、次の世代に正確に歴史を伝えてほしいのです。過去にあったこと、悪かったことも正しく伝えなくてはなりません。それを隠すということは、それをまた繰り返すことにもなりかねません。
 日本は朝鮮を三十六年間植民地支配し、多くの朝鮮人を殺し、朝鮮という国をなくそうとした歴史があります。姓や名前までも変え、日本人として名乗らないと学校へも通えなかった時代が三十六年間続いたのです。そのような歴史を今の若い人に隠し、なかったことだというのではなく、正しく伝えてほしいのです。


 私は以前アジアの国々が、どのように戦争を語り継いでいるのか、それぞれの国の教科書には、どのようなことが書かれているのか、ということについて、下記のようなタイトルで、その一部をアップしています。

 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 シンガポール
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 マレーシア
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 ブルネイ・ミャンマー
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 タイ
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 ベトナム・ラオス・カンボジア
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 フィリピン
 アジアの教科書に書かれた日本の戦争 インドネシア

 これらを読むと、村山談話の下記の一節は、日本人にとって、とても重要だと思います。

いま、戦後50周年の節目に当たり、われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、人類社会の平和と繁栄への道を誤らないことであります。
 わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。


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