子供時代11月3日と言えば明治節の日で有り、嬉々として肩を組んで喜び勇び小学校の校門を飛び跳ねてくぐった。それはそれは嬉しい喜びの日であった.明治天皇の業績や遺徳を偲んで、担任の先生からお菓子を貰って帰宅した懐かしい清々しい日であった。今や文化の日、唯のお休みの日とだけになって仕舞った。いま又復活して明治節に戻そうとの願いもあるようである。人の営みは目先と大衆の風向きに押した倒されて、歴史を忘れ簡単に名称などと言うものは、一変されてしまうもので淋しい。今年のこの日は、残念乍ら、霖雨の濡れて苔が生えた僅かな坂道を散歩していた。この日転倒し、翌々日手術の憂き目に逢い、術後の安静の日であった。目を閉じて遥か80年前を偲ぶこと頻りであった。此の時代、文化が進み過ぎて人の心が余りにも空虚で実際が伴わない事柄が余りにも多い。残念至極である。独のアレキサンダーならずとも、体験を重視し歴史を忘れるものは愚であるとは、名言なりとつくづく思う。今夕又も弟子の同門会幹事長より嬉しい激励の電話を貰った。皆がこれほど私のことを考えて呉れていることに、こころから感謝し、嬉しくその限りであると思う。