この3月29日には毎年卒業式が、荘重にそして厳粛に行われた。昔の小学校の話である。これはもう昔日の翳か! 小学6年卒業時に大汗を顔面一杯に滲ませながら答辞を読み終えた姿の実感が、今でも眼に浮かぶ。父が来賓席でチラッと此方を見た姿も鮮明である。実感として仰げば尊し、蛍の光こそは、いつまでも式場の雰囲気を後影させる。一年生の時の入学式の事も忘れられない。姉達が見繕って着せてくれた、小さな紋付羽織袴姿での昭和8年の4月8日の小学校の入学式の事であった。懐かしい思い出の数々は決して忘れ去られないものである。今日はそれから84年を経過している。後暫く長生きして為すべき諸事を遂行したい。大いに生き甲斐を感じている。