2014年6月中旬に、スマトラで村の人を対象に農業研修を実施してきました。
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(ゴムのタネについて説明する農業局の講師と、真剣に話を聞く受講生)
本来は、ブキッ・ティガプル国立公園(以下、TNBT)の中のサダン村及びアイル・ボンバン村の農業グループのおじさんたちを連れて行く予定だったのですが、諸事情により、国立公園のすぐ外のレマン村のおじさん5名を研修に連れ出しました。
今回の研修は、ゴム園の効率的な管理方法を学ぶもので、研修に参加した村人は全員ゴム園を所有しており、研修を受けることで、今後新しいやり方を村に広めてくれる可能性があると見込んで実施しました。
村人にとって、ゴム園を所有することは、銀行にお金を預けるようなもので、貴重な現金収入の元となります。ただ、きちんと管理されたゴム園に比べて、1ヘクタールあたりのゴムの木の本数も少なく、きちんと管理をしないので、収量も多くありません。
今回の研修の目的は、新しいやり方を学んで村に持って帰り、ゴム園から収穫をあげ、生活向上のきっかけにすることです。
研修は4日間で、リアウ州プカンバルにある農業研修センターのAmrizal(アムリザル)さんを中心とした、地方農業局のスタッフ等の協力により実施することができました。
まず1日目は、品種改良されたゴムの木の苗木の作り方を学びました。
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土台となるゴムの木を種から育てる方法、その苗木の幹の部分に、ゴムの液をたくさん出すように品種改良された別の品種のゴムの木の芽を移植する方法を、実践により学びました。
1本の親木を元にして、たくさんの子供たち(苗木)がクローンとして育っていきます。
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(これが、移植する“芽”)
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(“芽”を取る練習中)
現在村人が所有しているゴム園は、森の中にあるゴムの木を親木としていて、品種改良されていないため、病気などには強くても収穫できるゴムの液は、品種改良されたものに比べて少ないのが現状です。
2日目は、アムリザルさんによる講義(農業グループの必要性やマネージメントについて)と、実際に苗木を生産している農家の見学を行いました。
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(立っているのがアムリザルさん)
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(苗を生産している農家の見学)
生産現場では、木の芽を移植する専門のスタッフが働いていて、実際に芽が出て順調に育ったものの数を確認して、出来高制で給料が支払われているようでした。
実際、移植した芽がすべて順調に育つことはなく、素人がやっても多くは失敗するそうです。
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(幹の途中から生えている緑の部分が移植した“芽”から生えた部分)
ゆいツールとともに活動している地元のNGOのRiki(リキ)さんは、村で親木から芽を移植する専門のスタッフを育成して、村で苗が生産できるようになったら、農業局が買ってくれるだろうし、売り上げは農業グループの収入として活用することができる、ということを話していました。
実際にそうなるまではまだ長い時間がかかるとしても、そこを目標にがんばってみてはどうだろうか、と私も思いました。
3日目は、プカンバルからほど近いバンキナンという地域の農業グループを訪ねました。彼らが所有するゴム園を見学し、自分たちが所有してるゴム園との違いを認識することができました。ゴムの本数、植えられているゴムの木の種類、1日の収量、管理方法、なにもかもが村とは違い、村人は小さいエリアで十分な収量をあげられることを学びました。
また、肥料をつくるために牛を飼っている牛舎も見学しました。
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(ゴム園で記念撮影。ゴムの木が整然と並んでいます。)
4日目は、朝、アムリザルさんから、活動計画を作ることの大切さについて話があり、今後SERAIがサポートして、レマン村で農業グループを立ち上げること、そのあと苗木などの支援を行うことなどを確認しました。
その後、プカンバルから車で小1時間のところにあるルンビオの森(たびたびゆいツールの活動で訪れている場所)で、住民が守っている森を散策したり、魚の養殖を見学したりしました。
夜は、住民グループと、森林の管理の歴史や管理方法などについて意見交換を行いました。
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(魚の養殖場見学。川の中に専用の船を浮かべて、その中で養殖しています。)
研修に参加した村人は、村で今回学んだことを生かすことを約束してくれました。
ゆいツールは、9月に現地を訪れ、活動の進捗を確認する予定です。
果たして、村人のやる気が持続しているかどうか、そこが重要なポイントだと思っています。
(山)
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