「希望格差社会」
山田昌弘・著(筑摩書房)
最寄の駅に気になる人がいる。
駅の階段に住んでいる年配のオジサンだ。
オジサンは、駅の改札につづいている階段の一番下の段
を枕にして寝ている。
1月に入ってからは、かなり冷え込む日も多かったから
「どうするんだろう?」と気になっていたが、どこから
か薄手の布団を持ってきていた。
起きている時は、紙パックの日本酒「鬼ころし」をお供に
その日のスポーツ新聞を読んでいたりする。
オジサンが、どうして階段に住んでいるかは分からない。
しばらく姿が見えなかったのだが、その間は、社会福祉
関係の施設かどこかに保護されていたのかもしれない。
しかし、結局、オジサンは戻ってきて、今日も階段に座
っていた。
社会学者の山田昌弘氏の著書「希望格差社会」によると、
一度「負け組」に入ると努力をしても報われない社会に
なっている。
「勝ち組」と「負け組」の差はどんどん拡大する傾向にあり、
これは「経済的な格差」だけでなく、「負け組」は将来に
希望が持てないという「希望の格差」につながっているという。
本書の中では、「希望の格差」を作り出す社会の仕組みが、
教育や雇用の問題などを例にあげて解説されている。
どんなに豊かになっても、苦労や困難はある。
それを乗り越える力となるのが「希望」。「負け組」になると、
目の前に厳しい現実を抱えるだけでなく、希望も持てなくなる。
そんな社会の仕組みを解説されるほど、なんとも「お先真っ暗」
という気がしてきた。
駅の階段にいるオジサンのことを想う。
オジサンは、仕事もなく、住む家もない究極の「負け犬」なの
かもしれない。
あのオジサンは、これからの人生に希望を抱いているだろうか?
希望を抱くことも難しいだろうか?
オジサンは、今日、階段に座っていた。
雨が降っていたので、布団はきちんとたたんで、大きなビニール袋
に収納していた。
湿ってしまったのか、手袋を階段の手すりに干していた。
オジサンが、希望を抱いているかどうかは分からない。
しかし、私には、少なくとも悲観はしていないようにみえる。
むしろ、「希望格差社会」の中で生き抜いていくための、たくましさ
を感じるのである。
山田昌弘・著(筑摩書房)
最寄の駅に気になる人がいる。
駅の階段に住んでいる年配のオジサンだ。
オジサンは、駅の改札につづいている階段の一番下の段
を枕にして寝ている。
1月に入ってからは、かなり冷え込む日も多かったから
「どうするんだろう?」と気になっていたが、どこから
か薄手の布団を持ってきていた。
起きている時は、紙パックの日本酒「鬼ころし」をお供に
その日のスポーツ新聞を読んでいたりする。
オジサンが、どうして階段に住んでいるかは分からない。
しばらく姿が見えなかったのだが、その間は、社会福祉
関係の施設かどこかに保護されていたのかもしれない。
しかし、結局、オジサンは戻ってきて、今日も階段に座
っていた。
社会学者の山田昌弘氏の著書「希望格差社会」によると、
一度「負け組」に入ると努力をしても報われない社会に
なっている。
「勝ち組」と「負け組」の差はどんどん拡大する傾向にあり、
これは「経済的な格差」だけでなく、「負け組」は将来に
希望が持てないという「希望の格差」につながっているという。
本書の中では、「希望の格差」を作り出す社会の仕組みが、
教育や雇用の問題などを例にあげて解説されている。
どんなに豊かになっても、苦労や困難はある。
それを乗り越える力となるのが「希望」。「負け組」になると、
目の前に厳しい現実を抱えるだけでなく、希望も持てなくなる。
そんな社会の仕組みを解説されるほど、なんとも「お先真っ暗」
という気がしてきた。
駅の階段にいるオジサンのことを想う。
オジサンは、仕事もなく、住む家もない究極の「負け犬」なの
かもしれない。
あのオジサンは、これからの人生に希望を抱いているだろうか?
希望を抱くことも難しいだろうか?
オジサンは、今日、階段に座っていた。
雨が降っていたので、布団はきちんとたたんで、大きなビニール袋
に収納していた。
湿ってしまったのか、手袋を階段の手すりに干していた。
オジサンが、希望を抱いているかどうかは分からない。
しかし、私には、少なくとも悲観はしていないようにみえる。
むしろ、「希望格差社会」の中で生き抜いていくための、たくましさ
を感じるのである。
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