Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

終わらない夏

2014-01-02 01:00:00 | 雪3年2部(三人円卓~奉仕活動難航)
 

それから二人は久しぶりのデートを楽しんだ。

共に同じ絵を見て感想を言い合ったり、各々の意見を口にしたりした。

互いの視点は勉強にもなるし、刺激にもなる。


駐車場に向かう二人は、経済学科の精鋭よろしく、話題の企業のことについて会話していた。

さすが一流大学の首席と次席。彼らの視点は鋭く、そしてその頭脳はやはり優秀だ。

「つまり選択ミスなんですよね。ブルーオーシャンは単純にニッチ市場を意味するだけじゃないですからね」

「確かにD社は問題が見えるね」

「みんな具体例を挙げず、抽象的な話ばかりしているんですよ」



「やっぱりそう思う?目の前の利益よりは長期スパンで考えるべきなのに」

「今回のoo日報の記事読みましたか? XX日報と世論調査の結果が全然違ったんですよ」

「質問項目が同じだったのに?ずいぶん偏った回答者の選び方をしたんだね」



「もうだめです!先輩、私と会社やりましょ!」

「本当に? 何の会社にする?」

「うーん‥流通とか?」

そして二人は”青田赤山カンパニー”を仮想して盛り上がった。

同じ学科の二人だからこそ楽しめるその会話は、尽きることはない‥。







その後二人はカフェに移動し、お茶をしながら会話をした。

話題は携帯電話のことだ。

「スマホなのにゲーム入ってないんですか?聡美がやってるの面白かったですよ」



彼は「あんまり興味無くて」と言った。先輩の携帯電話にはゲームアプリは入ってないらしい。

雪の携帯は時代遅れの代物のため、ネットも出来るスマホはやはり魅力的だ。

「雪ちゃんもスマホにしようよ。通話とメールで料金だって結構いくんじゃない?」



雪は頷いたが、やはり基本料金が高いのが引っかかってると頭を掻いた。

先輩は「俺とカップル割しようよ」と彼女に提案するが、雪には雪の言い分があるようだ。

「うーん‥でもどうせ先輩からはあんまり連絡ないし、メールも通知式ばっかだしなぁ」



雪は普段の先輩からのメールで不満に思っていたことを口にした。

「”ゆっくり休んでね”、”おやすみ”、”今日一日がんばれよ”

それで返信出来ますか?言い返す余地を残してくれなくちゃ」




突然のダメ出しに淳が目を丸くする。

不満気な彼女につられるように、淳もまた常日頃の不服を口に出した。

「雪ちゃんもハイハイ言うだけじゃない。もっと早く言ってよ」



二人は互いに拗ねて口を尖らせた。子供みたいに言い合いする。

「今言ってるでしょ?」 「じゃあ俺も今から言えばいいだろ」



ムーッと膨れた二人が顔を見合わせる。



やがて彼がフッと笑い、彼女がプッと小さく吹き出す。

 

二人の仲は今までにないほど温かで、そして気安かった。

夜の帳が下りるまで、そのまま二人はこの調子でふざけ合う‥。










ようやく雪の家の前に着いた時には、すっかり日も暮れてしまっていた。

二人は互いに顔を見合わせては、少し照れたように笑う。

 

雪がその雰囲気に浸っていると、先輩が家の方を見ながら口を開いた。

「家はいつ頃引き払うの?」



雪は「夏休みが終わるまでです」と答えた。先輩が「もうすぐだね」と返答する。

そう、夏休みももう終わるのだ。

雪は感慨深そうに、晩夏の空気の中で口を開く。

「はい、もう終わりなんですね‥。一人暮らしも、塾も、夏休みも‥」



すると雪はあることを思い出して、突然声を上げてカバンの中を探り出した。

淳は疑問符を飛ばしながら彼女の行動を見守る。



そして雪はカバンから小さな箱を取り出すと、

それを彼に差し出した。



「え?これって‥?」と言って箱を受け取る淳に、雪は少し落ち着かない様子で口を開く。

「前に先輩が買おうとしたけど、現金が足りなくて買えなかった時計です。

一昨日チラッと寄って買ったんですが‥渡すかどうか悩んで‥へへ」




淳は蓋に手を掛けながら、彼女に聞いた。

「開けていい?」



どーぞ、と雪は決まり悪そうに言った。少し照れ隠しも含んだ表情で。

そして箱を開けた先輩は、その時計を見て嬉しそうな笑みを浮かべた。



その顔を見て、雪が照れくさそうに少し笑う。



先輩は今まで付けていた腕時計を外すと、雪に向かって手を伸ばした。

「はい」



雪は少しぎこちなくも、彼の腕に時計を付けてあげた。

新しい腕時計をかざして見る彼が、「わぁ」と子供のように声を上げる。



そして彼は雪に近づくと、その長い腕を彼女の両肩にもたれかけながら微笑んだ。

「ありがとう」



突然の接近に雪は動揺しながら、「いいえ‥」と返す。

先輩はもっと彼女に近付きながら、もう一度「ありがとう」と言った。



「分かりましたから‥」と雪が恥ずかしそうに口を開く。

彼は嬉しそうに彼女を抱きしめ、密着した。

「プフフ‥」



思わず吹き出す先輩に、雪が「先輩なんか変な笑い方しますね?」とツッコむが、

彼はお構いなしにまた近づいた。

先輩が背を屈めて、雪の顔を覗きこむ。

二人の前髪が触れ合って、おでことおでこが引っ付いた。

「だ‥だから‥」



雪はどうしていいか分からず視線を下に向けた。目の前に先輩の顔がある。

もっと彼が彼女に近づこうとした瞬間、通りの向こうで声がした。

パッ!



弾かれるように身を離す雪と先輩。

雪は顔を真っ赤にしながら、手で自らを煽いだ。

「あ、あっついですね!暑い暑い!!夏が終わってない!」



ウハハと大きな声を上げて笑う雪に、

先輩が微笑みながら「そうだね」と言った。



その後も雪はわざと大きな声で笑いながら、暑い暑いと繰り返した。

まだ夏は去って行かない。その証拠にこんなにも熱が宿る。

隣で笑顔を浮かべる彼と、あと少し残った季節を過ごしていく‥。




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<終わらない夏>でした。

トキメキですね~~~(^0^)

先輩の嬉しそうな顔ったら‥。ちなみに雪ちゃんが時計を買ったのは、一昨日の塾の前だと推測されます。



「珍しく遅刻?」と聞く亮に、「ちょっと寄り道してて」と雪ちゃん。きっと露店に寄っていたんでしょうね~。

次回は<不在のはずの隣室>です。

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