Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

母と娘と長男と

2014-01-19 01:00:00 | 雪3年2部(大家の孫~了)
雪と蓮はそのまま実家へと向かった。

店を手伝ってほしいと言われていたのだ。



開店から半月が経っても、店は繁盛していた。週末ともなると客入りも上々だ。

赤いエプロンをして給仕を手伝う雪と蓮だが、家に入る前にこってり絞られた蓮は唇を尖らせていた。



「唇しまえお客さんの前でっ」と注意する雪、父親からゲンコツを食らわされておでこが赤い蓮‥。

そのまま二人はヒソヒソと、母親と父親の姿を窺いながら会話をする。

「しっかし可愛い息子が遠い異国から帰って来たってのに、この冷遇は一体何?!

家に入るや否や父さんはゲンコツするわ、母さんはずっと俺のこと無視するわ‥」


「そりゃそうよ。あんた何か感じることはないの?」



反省を促す雪の言葉を受けて、蓮は冷静に両親を観察し感想を述べた。

「なんか二人の会話がなくね?」



そこ感じるんかい‥自分の状況を省みるんじゃないんかい‥と言う雪のツッコミは置いといて、

蓮はその敏感さで両親の不和を見抜いた。それについて雪が説明する。

「最近ずっとこうなのよ。お店のことでぎくしゃくしてて‥」



父と母、互いの思いと前を向くベクトルの方向が食い違って、今や両親は会話も無く険悪な雰囲気だった。

大丈夫かな、と心配そうに雪が呟く。



しかし蓮はそんな姉の心配を、取り越し苦労だと言わんばかりに否定した。

それを聞いていた叔父さんも、雪を安心させようと彼女に言葉を掛ける。

「こうやって店も繁盛してんじゃん。そのまま良い方に考えなよ」

「二人とも忙しくていっぱいいっぱいなんだろ。さっき社長がアルバイト雇うかどうか検討してたよ」



だからお前もちょっとは手伝ってやれ、と叔父は蓮に言った後、軽く彼の頭を小突いた。

雪も「そうよ、ニートじゃないんだから」と言って弟に発破をかける。



そんなことをしている内にまた注文がかかり、レジに入り、料理を運び‥。

週末の店は客足が途絶えない。終わらない仕事に、雪はついげんなりしてしまう。



そして先ほど叔父が言った言葉が蘇った。

”アルバイトを雇うことを検討してたよ”



アルバイト‥。

雪の脳裏に、最近失業した彼の姿が思い浮かんだ。



まだ漠然としているが、”彼”と”店でのアルバイト”が、なんとなく頭の中で重なり合う‥。







とっぷりと日も暮れ、店は閉店後の後片付けに追われていた。

そんな中蓮は一人調子の良い態度で、父親に向かって話しかけている。

「父さーん、家の前の花輪見た?!あれ姉ちゃんの彼氏かららしいぜ~!マジ凄くね?!」



このまま大学卒業前に嫁入りするんじゃねーの、と言ってケラケラ笑う蓮に、

父親は「調子の良いことばっか言うな」と窘め、雪はジットリと睨みを利かす。



そんな折、雪の前を布巾を持った母が通りかかった。慌てて雪は声を掛ける。

「あ、お母さんそれ私やるよ」



母親は「そう」と一言言うと、雪に布巾を渡して彼女に背を向けた。

少しうつむき加減に、溜息を吐いて。



やはりどこかおかしい‥。雪はそんな母親の姿を見ながら、恐る恐る口に出してみた。

「ねぇお母さん‥何か怒ってる?」



雪の質問に、母親はかぶりを振った。

雪は母の後を追いながら質問を続けた。「蓮のこと?じゃなきゃ仕事が大変だから?」



大変だったら休んでいて、という雪の労いにも母親はかぶりを振り、やがてポツリと最近あまり眠れないのだと言った。

「閉経後は皆そうなるのよ。あんたもこの歳になれば分かるわ」



母は力無くそう言った後、

また溜息を吐きながら片付けを続けた。



雪はそんな母の小さな後ろ姿を見ながら、心の中に重い鉛を飲み込んだような気持ちがする。

実家戻ったら、気にかけてあげなきゃかな‥



立ち尽くす雪の隣で、蓮が窓を全開にした。

「いや~風が清々しいね~!」



重苦しい気持ちとは裏腹に、夜の空気は幾分秋の気配がして涼しさを感じた。

夏休みもあと僅か、開講までもう幾日も無かった。






夏休み中通った事務所の仕事も、もう残り僅かとなっていた。

翌日の就業時間中に、品川さんが雪を気遣って言ってくれた。

「雪ちゃん、荷物まとめなきゃでしょ?今日は早く上がっていいわよ」



今日引っ越しの荷物をまとめるのだと、雪は品川さんにそう話していたのだった。

ありがとうございますとお礼を言うと、品川さんはニッコリと笑った。

「もう開講だもんね、今にまた皆と顔を合わせることになるわね」



嬉しいでしょう?と問う彼女に、雪は「はぁ‥」と答えつつ内心微妙だった。

開講したら会いたい人も勿論いるが、会いたくない人もいる‥。








皆思い思いの休みを過ごしただろうか、と雪はぼんやり考える。

しかしやっぱりそんなのどうでもいいか、と考えなおす。



ただ二学期も、平凡に静かに過ぎ去って行ったらいい‥

そんな淡い期待と切実な願いを、抜けるような空に祈っていた。





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<母と娘と長男と>でした。

この漫画の韓国の読者層は小学生や中学生だというのに、「閉経期」の話が出てくるとか、リアルすぎてビックリです (゜0゜)

読みこめば読みこむほど大人向けの漫画だな~と思うんですけどね‥。日本でも小学生向け雑誌に載ってたら人気が出たりするのかな??


さて‥とうとう今回から当ブログの記事が日本語版のアップに追いついてしまいました‥。

自分なりに翻訳を頑張るつもりですが、どうしても誤訳するとこも出てくると思います。

もしそんな文章にお気づきでしたら、コメ欄にて教えてもらえると嬉しいです。

そして日本語版がアップされた後で、セリフ等修正しますのでその点ご理解頂けると幸いです。

日本語版しか読んでなくてネタバレNG、という方がいらっしゃいましたら、また日本語版がアップされてから

遊びに来て頂けると嬉しいです^^

手探りで進んでいく当ブログですが、これからもどうぞよろしくお願い致します!!


次回は<それぞれの夏休み終盤>です。

少しダイジェスト風になります。

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