本と猫好きの日日社会メモ

本当の豊かさって何?などとたまに考えつつ、日日生活に流されながら、猫と戯れ本を読む・・そんな毎日を時々アップします。

「国家の命運」薮中三十二著

2010-12-10 00:23:59 | 本・雑誌、読書
本屋の目立つ場所にあって、気になったので買っておりました。
佐藤優さんの本を読んだので、外務省つながりということで読みました。

外務事務次官まで登りつめた方の著作であります。
専門官である(あった)佐藤氏は、表舞台を務める政治家の補佐役として黒子に徹し職責を果たして来られた方で、外務公務員一種である薮中氏は、政治家の横に立って、あるいは政治家の代わりに表舞台で職責を果たして来られた方、佐藤氏の著作がドロドロした内容なのに対し、明るく華やかな内容。
事前の準備があるにせよ、外交は政治家と政治家の駆け引き、議論で物事が決まるものであって、インテリジェンスなどというものがあって映画に出てくるスパイのような諜報活動が行われているなんていうことが、何かウソじゃないかと思えてきます。

それにしても「はじめに」の中に「私は、外交インサイダーとしての立場を利して、個々の政治家について論評したり、暴露的レポートをお届けしたりするつもりは毛頭ない。」という記述があって、あれ?佐藤氏を意識しているのかなあと想像したりもできます。

若干茶化しているように取られるかもしれませんが、章立ては日本が世界の中で考えなければならない項目がバランスよく上がっているように感じますし、なによりわかりやすく書かれていて、素人に読みやすいつくりになっています。

この本の章立てを見ながら、関心あるところについて、もう少し専門的な本を読むとか調べていく。
そんな使い方ができるのでは。

しかし、私がこの本を受け入れ難いのは、著者によると日本の直面する課題に著者なりの処方箋を提示したいとしているところ。
仮にも外交の事務方の頂点を極めた人が「今さら何を」状態です。
ご自身が現役の時に課題に向き合い、課題を解決すべきであったはず。
諸般の事情で自分では実行できませんでした、処方箋を書きますから誰か実行してね!って感じですよね。

政治家あるいは行政の相当レベルの方が引退して、これからの日本の進むべきを示しますっていうのは止めて欲しいですね。

最近、評論家さんとか、学者さんとかやたら危機を煽り、なにがしかの提言をしていますけれど、それって自分の売名、儲けの手段にしてない?って本が多過ぎるような・・多少欠点のある政策だって、方向性が間違っていなければ、実際に作業に着手して継続してこそ効果があり、改善点も見えると思うんです。
本を書くだけ、批判をするだけなら、頭の中にあるものをパソコンに引き出して、ハイ終了ってことじゃないですかねえ?

う~ん・・・なかなか面白い本だったのに、本以外の話にまで拡げて不満をぶつけて、台無しの評価になってしまいましたね。


コメント
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