2018年 春
雲切れて東風解凍
薄晴れや猫の背伸びも春浅し
街灯に木蓮の芽やいと怪し
古本や余寒の風に寄り添って
春泥の乾きし跡に草は立ち
昼の陽や花がら摘みに春きざす
ふと見れば出窓を濡らす春の雨
休日にブランコ揺れて切れる雲
早春の珈琲の湯気雀飛ぶ
踏みしめし老婆の道に梅一輪
春の星探して見れど床に就く
春炬燵うどんの汁の甘さかな
春寒やそぞろ歩きの心地無さ
暦見て昨日の過去の若布汁
木の陰に春の愁いや風立ちぬ
木の陰に春の愁いや風吹きぬ
笑顔して春装いしカフェの窓
ちんまりと花も息する根分けかな
寒戻り花がら摘みも無口なり
春なれど頬杖ついて雨眺む
うつむきてすれ違い去り春の闇
空の青珈琲すすりて春の宵
白髪増え小便したき春の夢
雲切れて菫の花は寄り添いて
雲切れて菫の花は寄り添いぬ
暖かき猫の歩みの日向かな
親方の剪定談義日永し
春一番枯れ葉持ち上げ何いずる
土の香や花種蒔いて握り飯
コンビニの灯り背中におぼろ月
コーヒーの残りしカップや春炬燵
空家立ち春の嵐の静けさや
星一つ春の結露は淡きかな
立ち止まり何を憂うか春寒に
窓開けし春の雨音町霞み
雨やみて破れし路傍草は萌ゆ
肌寒し春のつれなさもどかしき
空き地にも古草消えて朝の雨
春風の走りし跡に路地の花
春風の走りし跡や路地の花
公園の木々の影さえ春らしき
風もなく急ぐあてなし春の空
ようようと月は消えゆき花辛夷
花冷えの雨の滴は今落ちて
忙しき影の移りや草は萌ゆ
春陰や花は一輪歩を止めて
小雨降る春の彼岸の夜空かな
騒がしき雀始巣
寒戻る逝きしあの日の鳥の声
焼海苔や瞼重たし握り飯
春雨に換わる信号人は無く
夜桜や人を見おろし何語る
フリージアの香りも薄き春半ば
春の蚊や開けた箪笥に惑い飛ぶ
春の蚊や開けた箪笥に惑いし
咲きそろう夜桜揺れて窓眺む
コップ酒苦き灰汁ありほうれん草
花吹雪市電の響き柔らかき
満月に菫の花は寄り添いて
花弁に交じりて舞し春落葉
宴も去り街灯一つ朧月
葉桜の花びら一枚届きおり
大人びて隣の娘の春休み
春の雲流れもせずに漂えり
プリムラの株は分かれて明けの空
昼下り廊下の隅の春埃
空晴れて袋も軽し春キャベツ(2014年春)
雲切れず餡の少なき蓬餅
四葉無く荒れた花壇や苜蓿
春疾風空き缶転げ空に舞う
ベランダの花も匂わず春の夜
一番茶予約の誘い声はずみ
コンビニの馴染みとなりて春の朝
春の朝花殻摘みに声かけり
風呂あがり花の新芽に春夜風
春の草むしりし山は柔らかき
春雨の雨音軽し夜は更けて
花落とし季節はうつり桜草
陽ざし射し鳥はさえずり雨光る
ゆうらりと春蚊現れ朝餉かな
ゴミ出しや小道に入れば風ひかる
うつむきて公園笑い我一人 (東京には山がない)
春愁や花に訊きても風の音
春の夜にビニール傘の影薄し
過ぎ去りし春の嵐に小鳥鳴き
春夜空夏も近づき月昇る
巣鴉や小枝揺さぶり鳴きもせず
草の芽やのびて花咲く路地の影
夜風吹き春も終わりと月動く
夏近し月を見上げて人思う
横たわる春の名残の花を活け
春終わる母の手の皺茶を淹れし
夏を呼ぶ雷待ちて雨の音 new
雲切れて東風解凍
薄晴れや猫の背伸びも春浅し
街灯に木蓮の芽やいと怪し
古本や余寒の風に寄り添って
春泥の乾きし跡に草は立ち
昼の陽や花がら摘みに春きざす
ふと見れば出窓を濡らす春の雨
休日にブランコ揺れて切れる雲
早春の珈琲の湯気雀飛ぶ
踏みしめし老婆の道に梅一輪
春の星探して見れど床に就く
春炬燵うどんの汁の甘さかな
春寒やそぞろ歩きの心地無さ
暦見て昨日の過去の若布汁
木の陰に春の愁いや風立ちぬ
木の陰に春の愁いや風吹きぬ
笑顔して春装いしカフェの窓
ちんまりと花も息する根分けかな
寒戻り花がら摘みも無口なり
春なれど頬杖ついて雨眺む
うつむきてすれ違い去り春の闇
空の青珈琲すすりて春の宵
白髪増え小便したき春の夢
雲切れて菫の花は寄り添いて
雲切れて菫の花は寄り添いぬ
暖かき猫の歩みの日向かな
親方の剪定談義日永し
春一番枯れ葉持ち上げ何いずる
土の香や花種蒔いて握り飯
コンビニの灯り背中におぼろ月
コーヒーの残りしカップや春炬燵
空家立ち春の嵐の静けさや
星一つ春の結露は淡きかな
立ち止まり何を憂うか春寒に
窓開けし春の雨音町霞み
雨やみて破れし路傍草は萌ゆ
肌寒し春のつれなさもどかしき
空き地にも古草消えて朝の雨
春風の走りし跡に路地の花
春風の走りし跡や路地の花
公園の木々の影さえ春らしき
風もなく急ぐあてなし春の空
ようようと月は消えゆき花辛夷
花冷えの雨の滴は今落ちて
忙しき影の移りや草は萌ゆ
春陰や花は一輪歩を止めて
小雨降る春の彼岸の夜空かな
騒がしき雀始巣
寒戻る逝きしあの日の鳥の声
焼海苔や瞼重たし握り飯
春雨に換わる信号人は無く
夜桜や人を見おろし何語る
フリージアの香りも薄き春半ば
春の蚊や開けた箪笥に惑いし
咲きそろう夜桜揺れて窓眺む
コップ酒苦き灰汁ありほうれん草
花吹雪市電の響き柔らかき
満月に菫の花は寄り添いて
花弁に交じりて舞し春落葉
宴も去り街灯一つ朧月
葉桜の花びら一枚届きおり
大人びて隣の娘の春休み
春の雲流れもせずに漂えり
プリムラの株は分かれて明けの空
昼下り廊下の隅の春埃
空晴れて袋も軽し春キャベツ(2014年春)
雲切れず餡の少なき蓬餅
四葉無く荒れた花壇や苜蓿
春疾風空き缶転げ空に舞う
ベランダの花も匂わず春の夜
一番茶予約の誘い声はずみ
コンビニの馴染みとなりて春の朝
春の朝花殻摘みに声かけり
風呂あがり花の新芽に春夜風
春の草むしりし山は柔らかき
春雨の雨音軽し夜は更けて
花落とし季節はうつり桜草
陽ざし射し鳥はさえずり雨光る
ゆうらりと春蚊現れ朝餉かな
ゴミ出しや小道に入れば風ひかる
うつむきて公園笑い我一人 (東京には山がない)
春愁や花に訊きても風の音
春の夜にビニール傘の影薄し
過ぎ去りし春の嵐に小鳥鳴き
春夜空夏も近づき月昇る
巣鴉や小枝揺さぶり鳴きもせず
草の芽やのびて花咲く路地の影
夜風吹き春も終わりと月動く
夏近し月を見上げて人思う
横たわる春の名残の花を活け
春終わる母の手の皺茶を淹れし
夏を呼ぶ雷待ちて雨の音 new