猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

そこにあるのは。

2009年01月21日 19時01分39秒 | お出かけ

 

花瓶を買って、骨董店を出、向かったのは、こんな場所。
店主と談笑しながら、「もう閉館時間に間に合わなくてもいいや」と言ったら、
「あそこは美しいから、ぜひ見てきなさい」と。

 

旧岩崎邸は、英国人・ジョサイア・コンドル設計の美しい建物。

三菱創設者・岩崎家本邸として、1896年(明治29年)完成。

 

靴を脱いで上がります。

思わず息をのむ。

 

往時は、15000坪の敷地に、20以上の建物があったというが......

今は、3棟を残すのみ。

 

圧倒的な財力と、
職人の意地が生み出す神の技。

 

本格的なヨーロッパ式邸宅は、木造二階建て、地下室つき。

ジャコビアン様式、イギリス・ルネサンス様式、トスカナ式、イオニア式......
カントリーハウス。

それらが混在した、稀有の建築。

 

このサンルームは後年作られたとか。

どこをとっても美しい。
どこを向いても隙がない。

 

結合した和館は書院づくり。

かつては550坪あったということだけれど.......

今は、小ぢんまりと、その美しさを伝える。
(どうやら国は庁舎建設のために和館の大部分を壊したらしい。アホか!)

 

ここの職員さんは毎日こんな美しい場所で働けて幸せだなぁ。

 

撞球室(ビリヤード場)は洋館と地下道でつながり。

スイスの山小屋風。

 

小さな窓の、隅々に至るまで。

オイルヒーターさえ、この美しさ。

 

どこをとっても美しい。

どこを向いても溜息ばかり。

 

 

有無を言わせない財力が、誇りを持って作らせたのは、
これもまた、職人たちの誇りの塊。

 

写真なんかじゃ伝わらない、圧倒的な美しさ。
この柱を見たとき、思わず感嘆の声をあげてしまったのは
我々だけではないだろう。

 

長い歴史の中では、
GHQに接収されたり、財産税で物納されたり、
いろいろあったようだけど。

ようやく5年前より、通年公開され......

都立の、有料公園として、機能する。

 

ちなみにここは、岩崎家でも、年に1度の親族の集まりや、
来賓を招いてのパーティでしか使わなかったとか。

 

これが往時であったなら......

我々など、近づくことも叶わなかったろうが。

今は、束の間、夢が見られる。

美しく、繊細で、威厳があって、重厚で。

静かな光を放つ夢。

 

一階と二階では少し趣も違い。

和館もまた美しい。

 

往時のすべても見たかったけど。

この時代に生まれたからこそ、誰もが入れることを思えば......

「現代に生まれて本当によかった」と。

旧岩崎邸は.......

心より、そう思わせる場所。

 

岩崎さん、コンドルさん、そして、職人さんたち......
こんなに美しいものを遺して下さって、ありがとう。