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シンテッポウユリ1開花6日目07時落花雌蕊1708220026 posted by (C)雑草
シンテッポウユリの花が散って、残った雌しべには花粉が大量についていました。タカサゴユリは自家受粉するとのことで、このシンテッポウユリも自家受粉するようです。それにしても大量の花粉が柱頭につきましたね。
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シンテッポウユリ1開花6日目07時落花花冠雄蕊1708220027 posted by (C)雑草
落ちた花冠と雄しべは花の形を保ったまま落ちていました。
カノコユリなどは花弁が1枚ずつ分かれて落ちる、いわばサザンカの散り方に似ているのです。ところがシンテッポウユリは花の形のまま散ります。ツバキの散り方に似ています。この散り方が自家受粉を確実にするための自然の知恵ではないかと考えました。
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シンテッポウユリ開花4日目1708210005 posted by (C)雑草
シンテッポウユリが散る日より2日前の花の様子です。花粉が葯からこぼれ始めました。
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シンテッポウユリ開花5日目1708210004 posted by (C)雑草
シンテッポウユリが散る1日前・前日の夕方の様子です。この後夜間にはおそらく散ったと思われます。(早朝にはすでに散っていた)
この散る直前には葯から大量の花粉がこぼれて、花柱や花弁に花粉がついていました。
柱頭についている花粉は人工的につけてしまったものです。
この後で花が散って、柱頭にたくさん花粉が付いた状態が、冒頭の雌しべの写真です。
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シンテッポウユリ3開花5日目07時1708220024 posted by (C)雑草
別の3番花の落花6~7時間前の様子です。花粉がこぼれています。また葯が花柱に寄り添うように集まっています。
雌しべについている花粉は前日に人工授粉したもので、それ以外はまだほとんどついては居ませんでした。
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シンテッポウユリ3開花5日目14時落花花冠雄蕊1708220045 posted by (C)雑草
落花した花冠と雄しべの様子です。花弁にたくさんの花粉がついています。
花弁に花粉がついたということは落花するときには、大きく開いていた花弁が縮まって葯と花柱を密着させるような動きがあったのではと推定できます。このことは未確認なので次年には散り際を観察する必要がありますが、ネットでは「タカサゴユリは花が枯れると花弁が巻き込み自家受粉もする」と説明されたものがありました。
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シンテッポウユリ3開花5日目14時落花雌蕊1708220044 posted by (C)雑草
なるほど、柱頭付近にたくさん花粉がついていました。それもかなりまんべんなく花粉がついています。かなり丁寧に花粉がつけられていますね。落ちた花弁を見ると、花弁を巻き込んだのであれば、花弁がまた咲いているときのように戻ったのでしょうか。ちょっと疑問。
それでさらに花粉を柱頭にまんべんなくつけるメカニズムが働いたのではないかと考えました。
ひとつは花が散るときの花の角度です。
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カノコユリとシンテッポウユリ1708020051 posted by (C)雑草
まだ蕾が若いころはシンテッポウユリの蕾はほぼ真上を向いています。
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シンテッポウユリ1708080012 posted by (C)雑草
それから1時期真下をむきます。
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シンテッポウユリ開花1708170003 posted by (C)雑草
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シンテッポウユリ開花1708170048 posted by (C)雑草
花が咲き始めるころは花冠をやや下向きか、ほぼ水平に近い状態です。
この角度で花が散り始めると、花托から花冠が切り離され、頭のほうがガクンと下がり、花柱と葯が強く触れ合ったりして花粉が花柱についたり、花冠が落ち始めると花冠がスライドしながら茎も揺れて、柱頭にも花粉が着くはずです。
さらに花冠がスライドしてついには花冠が落ちることになります。
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シンテッポウユリ3番花落花側面1708220004 posted by (C)雑草
花冠が花冠の自重でスライドすると、柱頭がこの徐々に細くなってゆく花冠の中を通り過ぎるわけです。
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シンテッポウユリ3番花落花花底1708220001 posted by (C)雑草
花柱が最後に抜け出すのはこんなにも狭いところです。
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シンテッポウユリ3番花落花側面解体1708220006 posted by (C)雑草
組み合わさっている花冠を開いてみると、花粉のついている葯の部分以外は、花弁と花糸にはほとんど花粉がついていません。
柱頭以外は花粉が付きにくく、ネバネバした花柱にのみ花粉が大量につくようになっているようです。
6枚の花被片と6本の花糸はあたかも糊で仮付したかのように互いに軽く密着しています。そのために柱頭についた花粉は、この狭い場所を通り抜けるときに、まんべんなく柱頭になすりつけられるのではないでしょうか。
こうして確実に自家受粉することがでる仕組みになっていると考えられす。
このシンテッポウユリは長崎から球根をいただいて、初めて庭で観察したものです。もう一度来年も散り際を観察して、自家受粉のメカニズムをさらに詳しく確認したいものです。