庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

イトラッキョウを楽しむ

2021年10月22日 | 庭の花たち

イトラッキョウが今年も咲き始めました。


花が咲くとまず最初に来るのがハナアブです。


今年は花数が多くてうれしい限りです。

花茎の数が何と25本もあります。実生苗を除いてほぼ全株に花が咲いています。
 イトラッキョウは長崎の平戸島産の固有種です。ほかにもコシキイトラッキョウ、ヤクシマイトラッキョウ、キイイトラッキョウなどがあります。
庭のイトラッキョウは長崎の友人が市内のマニアからいただいたものをお裾分けしていただいたものです。イトラッキョウについては全く無知な私は、イトラッキョウということでしたので平戸島産のイトラッキョウと信じていました。
 その後、キイイトラッキョウなるものがあることがわかりましたので、キイイトラッキョウと比べてみました。キイイトラッキョウは花がやや下向きに咲くというので、庭のイトラッキョウは上向き、やや上向きなので平戸島産のイトラッキョウに間違いないと思いました。
 今度は、甑島産のコシキイトラッキョウなるものがあることを知りました。コシキイトラッキョウは花の色がかなり白っぽいとのことです。その点では庭のイトラッキョウは平戸島産と思いました。またイトラッキョウの葉は中実で、コシキイトラッキョウは中空とのことでした。そこで庭のイトラッキョウの葉をつまんでみたのですが、かなり細い葉で、はっきりしないのですが中実のような感触でした。それで、庭のイトラッキョウは平戸島産であるとの思いを強くしました。
 次にヤクシマイトラッキョウなるものがあることがわかりました。ヤクシマイトラッキョウは葉がやや平べったいということで、やはり庭のイトラッキョウはヤクシマイトラッキョウではなくて、平戸島産に違いないと確信しました。
 一度にすべてのイトラッキョウを比べればよいのであるが、最初はヤクシマイトラッキョウは見つからなかったのです。それは近年になってから、ヤクシマイトラッキョウが分類されたためと思います。
 という経過で庭のイトラッキョウは平戸島産と思っているのですが、今回花もたくさん咲いたことだし、もう一度はっきりさせようというわけで、葉の断面を見ようとしたわけです。

これはメスで葉を斜めに切断したものを撮ったものです。視力が衰えて、裸眼では確認できないのですが、画像からどうやら中空のようです。え、と言うことは、庭のイトラッキョウは甑島産のコシキイトラッキョウか。私の友人へこのイトラッキョウをくださったマニアがすごいお方であると思いました。

拡大してみると、はっきりと中空になっているのが確認できました。
でも、たまたま、中空の葉があっただけで、コシキイトラッキョウと決めてよいものか迷っています。花の色の付き方や、シベの様子など細部にわたって調べてみて、なるほど、これぞコシキイトラッキョウだと言えるようにこれからも引き続き勉強してゆきたいと思います。
このように、花の特徴を細部にわたって調べることも楽しみではありますが、視力が衰え、細かい動作も苦手になってきたので、
もっと気楽な栽培することのほうを重点に楽しみたいと考えています。

そのきっかけは、石収集をしている舎弟が来て、海岸の波打ち際の石を探しているときでした。石に草を植えて育てると面白いからと、拾った石を置いて行ったのです。ちょうどヒメオニヤブソテツを植えようとしていたので、この石に植えることにしました。というのはヒメオニヤブソテツは満潮時に海が荒れているときは潮しぶきがかかるような場所に自生しているからです。海水に長年浸かっていて、塩漬けされた砂岩のような石に植えるのがよいと思いました。そしてついでにイトラッキョウも海岸から遠くないようだし、植えてみたのでした。

2018年12月。石の左側にヒメオニヤブソテツ。中央のイトラッキョウ1株。右側にイトラッキョウ2株、石の下にも1株を植えました。
まだ石に植えたばかりで、土が落ち着きません。

2019年6月。石の上の土もおちついて、ヒメオニヤブソテツもイトラッキョウもしっかり根を張ったようです。

2019年10月。イトラッキョウが花を咲かせました。石の下に植えたイトラッキョウは大きな花をつけました。これに比べて石の上は過酷な環境なので、草体も花も小さいです。
この鉢は水抜き穴をセメントでふさいだので、水が漏れずに鉢の中にたまります。石の下に植えたイトラッキョウは常に水浸しです。水は石の上には極力かけないことにしています。石の中にしみ込んだ水が石の上の土を潤して、この水分だけでイトラッキョウは生きています。この水分の少ない環境がかえって石の上の植物を強くしているようです。

2019年12月。花が終わって種ができました。この種を石の上に蒔いたところ、

2020年5月。石の上のわずかな土で発芽しました。

2020年10月。イトラッキョウが花を咲かせました。中央のイトラッキョウ1株だったのが3株に花が咲き、さらにもう1株の計4株になりました。右側の2株植えたほうもそれなりに増えています。

2021年10月。石の上のイトラッキョウは2018年12月に植えた時はわずか3株だったのが25株に増えて、すべての株が花を咲かせました。
(実生苗はまだ咲きませんでした。また、石の下に植えた株は別の鉢に植え替えました。)

ヒメオニヤブソテツも今年はとても元気です。

胞子を葉の裏側にたくさんつけました。この胞子が石の上で発芽するのを楽しみにしています。
とかく鉢植えは水やりをおろそかにして、枯らしてしまいがちですが、岩にしみ込んだ水分は容易に乾燥することがありません。このわずかな水分を必死に求めて石の上の植物はたくましくいきます。このような植物の生きざまを見ていると時間の過ぎるのも忘れてしまうほどなのです。他人様がこの様子をみたら、どう思うことでしょうね。
 
コメント (4)
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