庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

植物図鑑にないこと ミツバベンケイソウの無性芽 エゾシロネのランナー 追記放射能

2022年01月30日 | 庭の花たち

今年もミツバベンケイソウの枯れた茎に無性芽が発生しました。

無性芽はミツバベンケイソウの花が終わって、地上部が枯れる前に茎の葉腋に発生します。


この無性芽は地上に落ちて新しい株に成長します。

最初に無性芽を見たのは2007年12月の初冬でした。

最初に確認した無性芽
 植物図鑑などには無性芽についての記述がなかったので、ネット検索をしたところ、よく似たチチッパベンケイソウには無性芽ができるとありましたが、ミツバベンケイソウでは全く見つかりませんでした。
 そこで県民大学の先生に聞きましたところ、茨城の山のミツバベンケイソウには無性芽は発生しないとのことでした。
それでも庭のミツバベンケイソウには無性芽が発生したので、ある大学の植物園にメールで問い合わせたところ、子持ちミツバベンケイソウというのが北岳で発見されて新種登録されたことを教えていただきました。
 ということで、それでは茨城のミツバベンケイソウはコモチミツバベンケイソウなのかと思いました。それで、どうしても茨城の山で無性芽のついているミツバベンケイソウを見てみたくなり、2017年の正月3日に、帰省中の息子に奥久慈の山へ探索に連れて行ってもらいました。

ようやく見つけた無性芽

奥久慈の山で確認したミツバベンケイソウの無性芽。日当たりのよい岩場では無性芽が成長し始めていました。

自生地の一例
 こうして、茨城のミツバベンケイソウには無性芽が発生しないと信じられていたのですが、無性芽ができることが証明されました。
その後庭で無性芽の発生する条件等を検討した結果、秋冷で地上部が枯れ始めるころに無性芽が発生する条件がわかってきたほかにも、ネナシカズラに寄生されたときにも無性芽が発生することがわかり、何らかの条件で地上部が枯れ始めるときに発生することがわかってきました。
 新種登録されたミツバベンケイソウは、その後シノニムとされたようで、今では標準和名には掲載されていないように思われます。
 
 このように過酷な条件で植物を栽培すると、植物図鑑にも記載されていない、珍しい生態を見せることがあります。


これは2011年にエゾシロネの茎の頂上か伸びてランナー状になったものです。

これも2012年にエゾシロネの葉腋から発生したランナーです。
図鑑では茎の基部・根元からランナーを伸ばして新しい株になると説明されていますが、葉腋や頂上からランナーが出ることは書いてありません。

これはランナーの先端が肥厚してチョロギのようになったものです。大きいほうは着地して肥厚したものを引き抜いたものです。
 その後エゾシロネは庭から消えてしまいました。高山性のエゾシロネにとっては、真夏の庭は劣悪な環境だったわけです。



古い水槽に土と石を入れて、苔などを植えて楽しんでいます。

ガラスの蓋をしたのでほぼ密閉状態です。
 このため水槽内は湿度が非常に高い状態です。
苔は気持ちよく生育しています。
ところが
マンネングサは葉が小さくなってしまいました。特に名前はわからないが、タイトゴメに似たマンネングサは茎も細くなり、葉も小さくなってしまいました。
シャコバサボテンの葉も小さいのが出てきました。
イトラッキョウは蕾を出すも、咲かずに花は枯れてしまいましたが、葉は長く伸びて元気そうです。
遊び心で始めた水槽内での栽培ですが、常態とは違った植物の生態にびっくりしています。

追記
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エゾシロネの異常については原発事故の影響が考えられます。
このエゾシロネの葉腋には本来花が咲く場所であるのに、花が咲かないで異物ができたこと、その異物からランナーが出たことは、下記ブログのミツマタとミツバツツジの異常な姿とも似ていることです。しかも発生時期も同じです。

①2015年8月24日の「深山探索 幻の花を訪ねて ミツマタの怪しい生態に出会う。」
②2016年4月7日の「深山探索 ミツマタの異常 花穂に花ではなく枝が咲く。ミツマタではなく四つ股も多数」
③2018年05月16日「栃木深山探索 ミツバツツジの異常」 
 (3件ともそれぞれのタイトルで検索できます。)

これらの場所は放射能がかなり強く降ったといわれる栃木県南西部の山中です。当時は山菜やキノコの採取はしないことと道端に立札がありました。また現地の人のはなしでは、公表された値よりかなり強いのだと聞いたことがあります。

セシウム137の積算沈着量予測 ネットから引用
この表ではミツマタやミツバアケビのある場所よりも、茨城から東京にかけてのほうが濃い色が広範囲に染まっています。エゾシロネはまさにこの都市部の地域内で異常になったわけです。


エゾシロネの葉腋には通常はこのように花が咲くのですが、

この写真では、花が咲かないで、ミツマタの花が枝になってしまったのとよく似ています。
これらミツマタとミツバツツジの異常は木本に発生したものですが、草本のエゾシロネにも同様の異常が発生したわけです。原発事故の影響があったことが強く疑われます。

福島の現地に近い森では、モミの木の幹の先端が欠けて出なくなった木が他の地域よりもかなり高い比率で頻発しているという調査があります。

モミの異常 ネットから引用

モミの異常 ネットから引用
草木にはこのような異常があるのに、動物にないといえるでしょうか。このような事実は一般の方は見る機会が少ないと思います。必要以上に不安をあおることになるからでしょうか。
そして今はかなり少なくなってきているとの報告もあります。
それでも半減期が30年とかとすれば、まだまだホットスポットがあっても不思議ではないと思いますね。

針葉樹は影響を受けやすいとあるが、ミツマタもミツバツツジも広葉樹で、この調査地点よりはるか150km以上は離れた場所である。また放射性物質は木の芽の部分などに集まりやすいという報告もあったと思います。そのために花の部分や茎の頂上に異常が現れやすいとも言えます。

核のゴミの最終処分も決まっていないのに、見切り稼働からすでに半世紀以上。いまだに処分できないで増える一方。稼働は40年とか区切りしても、廃炉方法も決められていない。事故の被害・人、財産、故郷・などなど言い尽くせない。あまりにも甚大なのに、天災と同じく責任はどこにもない。100万人の一斉避難など絵に描いた餅。廃炉したほうが仕事が増えて関係者の生活はかえって安泰では。一切目をつむって稼働し続ける意味があるとすればただ怠惰。すでに反対、賛成の議論の時ではない。いやもう遅すぎ。一刻も猶予はない。こんなことを考えるのは非国民なのでしょうかね。

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コメント (1)
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