※2012.10.21「教育基本条例下の辻谷処分を撤回させるネットワーク」(Tネット)結成集会の報告です。
本当に多くの方々に参加していただき感謝です。辻谷博子
(1)「“君が代条例”の波紋」の一部上映
なぜ、「君が代」不起立なのか、少しでも伝わったならば幸いです。
(2)基調報告
君が代強制条例のもと、37名の不起立大量処分、そのうち、8名が人事委員会に申立を行っています。
いよいよ、これから、人事委員会における処分撤回、そして君が代強制条例違憲の闘いが始まります。
この運動をネットワークと名付けた意味は、異なる立場や考えの多くの人が、共に関わりながら創っていきたいとの思いからです。
憲法と人権が守られる教育を共に考え議論しながら今後の方向性を探っていきましょう。
(3)規約提案(Tネット通信次号に記載)
(4)講演 「教育基本条例」の思想と、私たちに問われていること 伊田広行さん
1.基礎情報
教育基本条例をはじめとする橋下・維新の教育改革の問題点の数々、一言でいえば、人権侵害を引き起こす改革と言えます。
2.橋下市長派のやり方
MBS女性記者に対する口調から感じるのは、DV的口調で悪質な印象操作を行っていると言うことです。
NHKかんさい特集「“君が代条例”の波紋」を観ると、府教委の職員が不起立教員を調査している仕事ぶりは、
アウシュビッツ強制収容所の囚人監視の仕事を思わせます。この条例自体が正しいものなのかどうかを考えない。
(口元チェックの)中原校長に至っては、教育委員会の職務命令に忠実に従っただけで批判にとまどっている。
DV加害者が人を殴っておいて怒られたら戸惑っていると言うのと同じです。
3.対応する考え方、私たちに問われていること
教育基本条例・橋下の思想――自分で考える自立した公務員の否定です。
今の社会の見方 「主流秩序」の観点からとらえる
それに適応し、その上位にいくことを良しとする(=それを幸せとする)社会である。それは秩序の真ん中を50とする
偏差値的な秩序であり、自分より下位のものを見下したり差別し、優越感を持ち、他方で自分より上位のものにあこがれ、
うらやみ、妬み、劣等感を抱くものである。
多様な「サブ秩序」から形成されている。
「金持ちであるかどうか、安定した収入があるかどうかで位置づけられた秩序」(拝金主義)、
「利潤追求、経済成長がよいとする秩序」(成長信奉)、市場競争、グローバリゼーションを良しとする秩序」(市場信奉)、
「ファッションや部屋作り、文化消費など、消費スタイルや生き方をかっこよくすべき、
流行に乗っていることが良いとする秩序」(流行秩序)、「異性愛で男女二分法、男/女らしくあるべしというジェンダー秩序」、
「見た目秩序(美の秩序、美人、かっこいいかどうかの秩序)」、「コミュニケーションがうまいかどうかの秩序」、
「正社員で働き結婚し、子供がいるという、理想の家族像に近いかどうかの秩序」、
「モテるかどうか、恋愛しているかどうかの秩序」、
「若くて元気であるのが当然という秩序」、「性的欲望に無批判的で、性的欲望を利用して成功しよう、
性的快楽の追求が大切という秩序」(性的欲望秩序)「社会的地位が高いかどうかの秩序」、
「学歴が高いかどうかの秩序」(学歴秩序)、「流行的な生活をしているかどうかの秩序」(流行秩序)、
「働いているか、頑張ったか、結果を出したかを重視する、能力主義的価値観の秩序」(能力主義秩序)、
「連帯や助けあいなど嘘で、人など信じられないし皆が競争関係だ、自分さえよければいいというエゴイズムの秩序」
(自己中心主義秩序)、「建前とか適法とか道徳的とか伝統的なことをよいとする秩序」などである。
今の社会は、これらの価値が社会全体を覆っている。そしてその偏差値の上に行くことが社会編成の原理となっている。
社会の仕組みはそれに沿って作られ、政治や行政や企業は、それに沿って運営されている。
●私たちに問われていること
「態度価値」 V・フランクル『夜と霧』
(「創造価値」「体験価値」) どんな態度を取るかということです。
こんな時代に 量で上から考えるのではなく、「一つを数えろ」(園子温)
●どんな、教師、公務員、大人であるか
何を教育するのか、伝えるのか、権利とか自立とは何か、民主主義とは何か
生き方を見せる 〈たましい〉生きる中心軸・原則信念を見せる
生徒に国旗国歌には多様な考えがあると教え、座るのも立つのも自由だと教える
汚い社会、主流秩序の支配する社会で、いかに、ちゃんと生きるかを考えさせる教育を