不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Una bella giornata primaverile

2004-05-16 20:03:29 | まち歩き
とても天気のよい日曜日。
毎年恒例になった
フィレンツェのコルシーニ庭園で開かれる
Artigianato e Palazzoへ出かけてみました。
今年で10回目を迎えたこの展覧会、
今回の出展者数は115で、過去最大とか。

イタリアではまだまだ手工業を営む職人さんが頑張っています。
それでもこの展覧会を主催するコルシーニ家の
住所録に載っている1300の職人さんの連絡先のうち
200あまりがここ数年で店を閉めてしまったということです。

日本でもイタリアでも
伝統工芸を引き継ぐ人材が欠如しているのは
大きな問題なんですね。
こういった職人さんの技を間近に見る機会に恵まれると
伝統工芸っていいなぁ、とか
腕に職があるってすばらしいなぁとか思います。
もし私でいいなら弟子入りしたいと思うところだって
結構あるんですよ。
日本でも職人さんの技をもっとアピールしたら
全く違う世界から飛び込んできて
伝承していってくれる人材が見つかるかもしれないですよね。
別に世襲制でなくてはならないなんて
堅苦しいこと今更言う人もそういないでしょうし。

carro_fiori.JPG
コルシーニ家は代々続くフィレンツェの貴族。
今でもその末裔が暮らしています。
そんなわけで庭園もこんな機会がなければ公開されません。
花を乗せてある台車だって年代モノで
きちんとCorsiniの札が貼り付けてあるんです。
昔はこれをウシに引かせていたんでしょうねぇ。

insetti.JPG
色々あった職人技の中で、実は一番「びっくり」したのはこれ。
草で作った虫なので、
技的に何か突拍子もなく抜きん出ているとかではなく
このクモの群れが日差しの下に並べられているのが
目線の脇に入ってきた瞬間、背筋に冷たいものがはしるほど
本物そっくりに見えたことに「びっくり」。

銀食器を手造りしているおじさんがいて
丁寧に説明してくれましたが、
フォークを一本作るのに4-5時間かかるそうです。
私はもっと時間がかかると思っていたのですけどね。
フォークを作るときってフォークの先の割れた部分は
最後の最後まで繋がったまま、
一番最後に先割れができるんですねぇ。知りませんでした。