不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Ciampi s'imciampa

2004-05-18 04:45:39 | ニュース
いやぁ、このニュース、もっと早く書きたかったのに。
イタリア大統領チャンピ。
ローマ法王に負けず劣らず「おじいちゃま」です。

そのおじいちゃま大統領が自宅で転んで鎖骨骨折。
イタリアの大統領って仕事はいまひとつよくわからない。
アメリカの大統領とは違って
私の感覚では、どちらかというと日本の天皇みたいな感じ。
最終決定を下すのは大統領ですが、
常に「シンボル」みたいな存在。
でもご公務に忙しいんですね。
怪我する前には
パヴィアの修道院で開かれたコンサートに出席して
そこから自家用機で戻ってきた直後の事故だったそうですが、
なんといっても帰宅が真夜中でしたからね。
おじいちゃまには厳しいと思われます。
階段を踏み外して転げ落ちて
鎖骨を折ったということらしいです。
幸い軽い怪我ですんだようで、何よりです。

なぜこの記事が書きたかったかというと、
タイトルにあるように
なんだか駄洒落っぽいタイトルが気に入ったからです。
チャンピ・シンチャンパ。
イタリア語でも駄洒落ができる!(まぁ当然ですが)

でも実はこの記事で思い出したのは
数年前の自分の鎖骨骨折。
あれは辛かった。痛かった。

フィレンツェからバスで3時間ほどのところにあるスキー場に
朝早くからスノーボードをしに行って、
そこでこぶを飛び損ねて右肩から着地&激突。
スキー場の救急診療所に運ばれたのはいいけれど、
医者がいなくて散々待たされる羽目に。寒かったのに。
で、そこにはレントゲンもないし、
適当に(これが本当に適当に)応急手当を受けたのですが、
「手に負えないから街の病院に連れて行く」といわれ
しかもそこに一泊する必要があると宣告を受けました。
そんな山奥の見知らぬ病院に
一人で一泊なんてとんでもない。
何が何でもフィレンツェに帰ってそっちの病院に行くと言い張り
「それなら俺は責任取らないからな、
その旨手紙を書くからサインしろ」といわれ
痛み止めの注射を打たれ「医者に責任無し」の手紙を持たされ
一人バスに揺られてフィレンツェに戻ったのでした。

フィレンツェに到着したのは20時ちょっとすぎ。
そのまま救急病院に行ったけれど、
そこでも相当待たされて
挙句の果てに「担当医は20時で帰りました」と。

キュウキュウビョウインジャナイノデスカ、ココハ?

気を取り直して、そこにいる先生に様子をみてもらうことに。
山小屋でしてもらった応急処置を見て
「これ自分でやったのか?こんないい加減な応急処置」と蔑まれ
これじゃぁ治るものもなおらねぇとまで言われ・・・。

とりあえず「レントゲン写真を撮ってこい」と、
薄暗い病院の渡り廊下のそのまた先の遠いところまで
寒さに震えながら出向いていくことに。
これまた薄暗い部屋に通されて
レントゲンを撮ってもらったのはいいけれど
なんだか全然ちゃんと映ってない・・・。
私が見てもそれは全然役に立たないレントゲン写真。
鎖骨の先の折れていると思われる部分がボケている。
(レントゲン写真でボケるってどういうこと・・・?)
それを見ながら先生は「わからねぇ」とつぶやいていましたが
そりゃぁ、わからないだろうなぁ。
折れた場所が映ってないんだものねぇと思ったものです。
それでも今度はちゃんとした応急処置を施してくれました。
「担当医は明日の朝来るからそのときまた来い。」

いつになったらちゃんと手当てしてもらえるのだろう・・・。

翌朝。
また当然のごとく並ばされ待たされ、
「これのどこが救急病院なのだ」と思った頃に
ようやく診察室に通してもらうことに。
レントゲン写真を見ながら「???」な顔の先生を前に
私の不安はどんどん募っていく・・・。
「折れているんだろうな、たぶん。」
そんな「たぶん」とかで診察しないでくれ・・・。
「ギブスしておこうギブス。さぁ、ギブスもってこい。」
しばらくして看護婦さんがやってきて
先生に話しかけるには
「先生、ギブスの在庫MサイズとLサイズしかありません。」
「この子はSサイズだよな。絶対。ないのかSサイズ。」
「在庫切れです。子供用にしますか?」
「いや、Mサイズでいってみよう。内緒にしておけばわからない。」

あのぉ、私一応イタリア語わかるんですよねぇ・・・。
内緒話でもなんでもないしね、それ。

結局私は体に合わないMサイズのギブスを
一ヶ月はめることになり不自由な生活を強いられることに。
このギブスは石膏ではなくコルセットに毛が生えたようなもの。
コルセットを締めるように背中の部分を紐で締め上げるタイプ。
同居人に毎朝締めなおしてもらうように忠告され
「それならサイズの合ったギブスにしてくれよ」と思いつつも
仕方なしに一月ギブスが緩んでは締め、緩んでは締め・・・。

その間一ヶ月一度も診察はなし。
(来なくていいと言われたので、素直に受け止めて
二度と診察には行かなかった・・・どうせ無駄だし)
一月後にギブスをはずしに行ったはいいけれど。

痛い。
ギブスはずした直後は痛いと聞いてはいたけれど、
それでも痛すぎる。

そのまた一月後に日本へ一時帰国。
接骨院に行ってみると、鎖骨くっついていない。
しかも変な形でくっつき始めている。
恐るべしイタリア救急病院。

チャンピ大統領はもちろん
ちゃんとしたところで治療を受けたと思われます。
お大事に。