不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

O flos colende

2004-05-19 14:17:48 | 日記・エッセイ・コラム
フィレンツェのドゥオーモを管理する
Opera di Santa Maria del Fioreが主催するコンサート
今年は8回目で4月・5月・6月・9月の4回開催。
無料コンサートなんですよね。
この辺がイタリアの太っ腹。懐の深さ。

2回目にあたる昨日はサン・ジョヴァンニ洗礼堂で
1400年代の宗教音楽を中心に。
男性9人女性一人の構成で
コーラスと管楽器&弦楽器の演奏。

洗礼堂の中は構造上
たいてい音響効果が高くなっているのですが
この日もマイクなし・アンプなしの演奏で
非常にゆったりとした穏やかなコンサート。
本当に心が洗われるような素朴な音楽で
日々の疲れもどこかに溶けていく感じです。

coro.JPG

この日の楽器は
小型ハープ、リュート、ヴィオラ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、
ダブルフルート、ボンバルダ、トロンバ、トロンボーン、
シンフォニア、チャルメラ(!)

チャルメラって聴くとどうしてもラーメンしか思い出せないけど
そういえばちゃんとした楽器だったんですよねぇ。
高音の柔らかな音色でした。屋台チャルメラとはちょっと違う!

ボンバルダというのはダブル・リードの木管楽器。
14世紀から17世紀にかけてよく使われた楽器で
名前は14世頃に使われていた
大砲(Bombarda)に由来するんだそうです。
オーボエの前身となる楽器です。

シンフォニア(Symphonia)という楽器は初めて見ましたが
肩から斜めがけにかけられた箱の横に
ぐるぐる回す取っ手がついているような感じ。
(あまり近くで見られなかったのが残念)
写真はこちら
これも中世の楽器で平らになっている底部に
4本もしくは6本の弦を張ってあるようです。
いまひとつ謎の構造(私にとっては楽器は常に謎)ですが、
左手で小さな鍵盤を押さえて
右手でぐるぐると外側の取っ手を回し音を出すんですね。
鍵盤の数は10から15のヴァリエーションがあるらしいです。
しかしながら、まったくもって素朴な楽器です。

音楽的センスのまったくない私にしてみれば
このあたりの楽器ことは未知の世界。
しかし、人類ってこの世に誕生してからずっと
身の回りに「音」を配して暮らしているわけで
音楽の及ぼす影響力って
計り知れないものだということに改めて感服。
たまには飾り気のない宗教音楽もいいものです。

次回は6月18日フィレンツェのドゥオーモにて開催。