「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

S&P500ベア型ETF@鎌倉七里ガ浜

2022-06-19 10:23:10 | モノ・お金
私はFRB(米国中央銀行)のパウエル議長のファンである。ファンクラブが存在したら入りたいくらいだ。彼は共和党員で、トランプ大統領時代にそのポジションに就いた。就任してしばらくすると、彼はインフレの可能性が大きいとみて政策金利を引き上げ、インフレの芽を摘もうとした。

ところがトランプ大統領はいつも近視眼的で、FRBの金利引き上げが経済成長を損なうことを嫌い、パウエル議長を大っぴらに批判した。今となっては正しかったのはパウエル議長だったと多くの人が思うことだろう。

(Source: BBC)

トランプ大統領時代最後の2020年に入るなり、急速にコロナ禍が世界を襲い、米国も各地でロックダウンを実施した。米国経済は急速に落ち込み始めた。そこでFRBは再び金利を大幅に切り下げなければならなくなった。その後大変な選挙を経てバイデン大統領の時代となっが、パウエル議長はそのままそのポジションにとどまることになる。米国政府は財政を緩めて、コロナ禍に大盤振る舞いの支出で対応した。

ダイナミックな米国経済は全体的には急速に回復し、コロナ禍なんてなかったかの如くである。しかしコロナ禍対応の金融・財政政策の大盤振る舞いの結果、今度は逆にインフレが抑えがたいものになって来た。

パウエル議長にしてみたら、踏んだり蹴ったりだろう。トランプ大統領の批判に耐えて来るべきインフレに備えていたら、不気味なコロナ禍に襲われ金融を緩めざるを得ず、その後は40年ぶりのインフレに襲われてついでにメディア他から叩かれてしまい、今度はバイデン大統領に「インフレ抑制は中央銀行に任せた」と言われた(この場で ↓ )。


(Source:Bloomberg)

パウエル議長はよくやっていると思うよ。この何年かを振り返り、その運営がどれだけ難しいかを考えたらね。

先週のFOMC(FRBの金融政策を決定する会議)後のパウエル議長の会見は以下のようなものとなった。真面目な会見だ。恨みがましいことも言わない。前大統領にも、現大統領にも、メディアにもね。クリックしてご視聴ください。

Chairman Jerome Powell speaks after Fed raises rates by 0.75 percentage point — 6/15/2022


「ご視聴ください」と言っておいて矛盾するようだが、真面目なパウエル議長の会見はあまりに退屈で長い(笑)ので、視聴してもつまらない。やたら長いこの動画の中で聴きたいのはここだけだ。動画開始後1分を少し過ぎたあたりの「3/4%(=0.75%)政策金利を引き上げることを決定した」という僅か2秒くらいの部分だ。

これは大きな引き上げだ。しばらく見たことがない切り上げ幅である。インフレを抑えこむというFRBの姿勢を、この切り上げで示したとも言える。

米国の消費者総合物価指数はご覧のとおりだ。

【Source:米国労働省】

これが「40年ぶり」と騒がれているインフレだ。話が逸れるが、【Source:米国労働省】とあるのは間違いではない。米国では消費者物価指数のデータを管理するのは労働省だ。商務省ではないのである。

40年前というと、FRBではパウエル現議長の前任(イエレン)の前任(バーナンキ)の前任(グリーンスパン)の前任、つまりポール・ボルカー議長の時代までさかのぼる話である。当時のひどいインフレを退治するべくポール・ボルカー議長が率いるFRBは果敢に行動した。今に比べたら、金利水準ははるかに高かった。かつ日々大きく変動した。市場参加者は毎日大きく変動する金利と戦った。

コロナ禍なんてものがあったが、米国経済は急回復し極めて堅調だ。下のグラフをご覧ください。コロナ禍で跳ね上がった失業率が短期間で低下し、再び史上最低水準である4%以下まで下がっている。経済は強く、FRBが政策金利を0.75%切り上げたくらいでは、そのインフレ圧力は収まりそうにない。


【Source:米国労働省】

ちなみに歴史的には米国で4%以下なんて失業率が長く続いたことはない。ここまで来たら早晩また失業率が上がる(=景気が悪化する)だろうという水準が4%なのである。

翻って日本。最近日銀の黒田総裁があれこれ批判されているし、それも問題があるけれど、日銀なんてのは所詮おカネの調整弁に過ぎない。日本はアベちゃんの言った3本の矢の最後の1本について何もできなかった。経済や市場のダイナミズムや厳しさを受け入れる準備が国民や政治家になければ、その良い面を大きくは享受できない。日本では失業率はたいして上がらないが、賃金はこの30年間ほとんど変わらない。2倍3倍が当たり前の国も多いというのに、日本はみんなのはるか後ろで停止した国になってしまった。

米国のように、経済状況を反映して失業率がこれだけ敏感に反応する経済になれば、日本でも財政政策や金融政策が有効になることだろう。ところが日本では財政や金融をいくら緩めても、経済が反応しない。このままでは沈むばかりだ。

インフレの見込み、またそれを抑制しようというFRBの金融政策を織り込み、米国の長期金利(ここでは10年満期の国債利回り)は急上昇中だ。

【Source:FRB】

米国では日本以上に各種住宅ローンが用意されているが、中心になるのは30年固定金利のローンで、金利が低下すると借換えも日本よりはるかに活発に行われる。「既存ローンのうち借換えられたローンの比率」なんて毎週発表されるくらいだ。

住宅ローン金利も急上昇したものだから、米国の戸建住宅の着工件数(下のグラフ、季節調整済データ)が急減している。5月のそれが前月比でマイナス14.4%となったことが先週発表された。

【Source:米国商務省】

ちょっと怖いね。

米国株式の代表的指数であるS&P500は、2年前のコロナ・ショック(1か月強という極めて短期間だったが、急激な下げ)を跳ね返し、昨年暮れまで上がり続けたが、今年に入って概ね下落を継続している。コロナ禍とは異なり、今は環境、諸条件が悪すぎる。いよいよ本当の景気悪化がありそうと多くの人が思う状態だ。


【Source:Investing.com】

これだけ経済が強いのだから景気先折れはかなり先で、その前にまた株価の大きな上昇があるかと私は想像していたが、今のところそんな気配はない。

FRBは今後も金利を何回か引き上げるだろう。それが原因となって本当にハードランディング的な景気悪化がドスン!と来るかどうかは置いておいて、金利上昇や景気悪化を怖がる株式市場の下げはもうちょっと続きそうだ。

私は年初にS&P500指数のETF(上場投信)をすべて売ってしまったので、株式市場が上げようが下げようがあまり関係ない。しかしそれだと面白くないので、下げ相場用のETFを買っている。Direxion社のDirexion Daily S&P500 Bear 3X Sharesというものだ。先週も買い増しをした。

【Source:Direxion】

これは、S&P500指数の反対の動きをし、かつ3倍のスピードで変化するETFである。つまり株式市場がマイナス10%のリターンとなる時、このETFはプラス30%のリターンとなる。厳密ではないので、長期になるほど数値はズレてくるけれどね。

下のグラフでブルーが普通のS&P500で、オレンジがそのETFだ。ブルーのS&P500指数が変化すれば、その変化の逆の方向にかつ3倍の変化幅がオレンジのETFで見られる。またこのETFは米ドル建てだから、今のような円安ドル高の状況なら、その分の為替益も出る。

【Source:Investing.com Yahoo!Finance】

現在は、株式を買っても債券を買ってもみな総やられ状態だろうから、これくらいしかやることがない。。。やるとしたらね。何もやらないで見ているのが一番いいかもしれない。
コメント (10)
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