まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

『模倣犯』

2007-11-29 12:23:07 | モブログ

ようやく読み終わりました。
予約を申し込んでおいた「楽園」があまりに手元に来ないので、痺れを切らして読み始めたのですが、絶対以前読んだよなと思ったのですが・・・・
なんのなんの、さっぱり覚えていない。本当に読んだのかと疑いすらわいてきました。この上下2巻、2段組みの分厚い本。読み終えるのに骨が折れました。そして読後、ものすごい疲労感に襲われてしまいました。

もうぐいぐい引っ張っていくその筆力に圧倒され続けて、寝る間も惜しんで(ほんとよ)読みふけりました。
ピースこと網川浩一、栗橋浩美という二人の犯人の悪意ある犯罪、胸の悪くなるような思考に、宮部さん、もうちょっと何とかしてくれと思いつつ、この話がどう展開していくのかと、ドキドキしながら読み進めました。
3部構成になっていることすら忘れていたのですが、さすがに栗橋浩美の犯罪中心で描いた2部は、やや説明的、話が散漫になるところがあってだれましたが、それを一気に3部のピース登場で盛り上げていく所など、宮部さんさすが。
それにしても、1995年から週刊誌に書き始めて足かけ4年連載したこの小説の犯罪形態が、少しも古く感じない、それどころかフィクションにすら思えないという今の日本の社会を、宮部さんは予見していたのでしょうか。
単行本にするために、さらに加筆校正に時間をかけようやく2001年に発行したというもうその一点だけでも驚異的です。恐るべし宮部みゆき。

表紙イラストは「大橋歩」さん。
この少年が気になるのです。順当に考えれば、彼は『塚田真一』君だろうなとは思うのですが、ひねくれて、犯人のピースかヒロミのどちらかとしばしにらむわけです。
でも、やはり塚田君で落ち着きました。上巻は少年が小さい、不安そうに自分を抱えている、それが下巻になると、画面半分に少年が描かれ、意志的な強い瞳がグッと迫ってくる。物語の塚田君がその通りに成長していくので、やはりひねくれて考えるのは止めました。

『楽園』、図書館に問い合わせたら、3人目までこぎつけたそうです。『模倣犯』の登場人物、前畑滋子がまた登場するようですから、彼女のことを忘れる前に、私のところに来てください。

コメント
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