まい、ガーデン

しなしなと日々の暮らしを楽しんで・・・

ドラマは現実を越える

2015-12-08 12:59:15 | TV

日曜日のNHK特集は『無届介護ハウス』の実態を取り上げていた。
もう観たくないなあと思いつつ、やはり目を背けてはいられない。
実は2015年1月20日(火)のクローズアップ現代で、すでに『無届介護ハウス』のことが放映されていて。
私は、ああ、やっぱりこういう施設が存在しているんだって、感想を簡単にメモしていた。
それと今回の放送はほとんどダブっている。

1月で取り上げた江戸川区のある無届介護ハウス。

この施設は、国が求める老人ホームの基準を満たしていない。
廊下の幅が狭く、部屋もすべてが個室というわけではない。
消火器などはあるが、今はスプリンクラーは設置されていない。
しかし、安い料金で高齢者を受け入れるためには施設の改修に費用はかけられないという。

7年前に入居した86歳の女性の例。
介護を頼れる家族はいない。
体調を崩して入院して以来、自宅で1人で暮らすのが難しくなり、収入が少ないため、
入れる施設はここだけだと区役所から紹介されたと言う。
家族は? の問いに 「いない、誰もいない。 自分の行くところがないから、ここが一番いい。」



その無届介護ハウスの方が実態を知ってもらいたいと経営者の方が取材に応じてくれて。
「今の日本で老人ホームをやるには(個室が)1人何平米以上と決まっていますから、これを確保しなきゃいけない。
だけどこういう民家だからできない。それだけ工事をしてやるまで採算的な問題になってくる」

「行政からの依頼を受けたり、病院からの依頼を受けて、うちみたいな所を探してくる。
やっちゃいけないというのであればやめます。でも、入っている人はどうするんですか。」 


この言葉を聞いたとき
「あれ?どこかで耳にしたセリフだ」って
そうよ、ドラマ版「任侠ヘルパー」だわ。ツヨシクン演じる彦一が、
施設を取り壊しに来た厚生省役人に向かって言い放った啖呵だわって。


2009年7月から始まったドラマは、その筋の者が親分を決めるのに介護施設でヘルパーの仕事を経験して・・・
というとんでもない非現実的な設定ではあったが、内容は実にシリアスで深いものだった。
そして、ドラマが取り上げていた1話1話の内容が未だに今日の介護の実態を映し出しているという現状に胸が痛くなる。

サブタイトルが全11話中

・頑固ジジイの涙(老人のおむつの問題)
・阻止せよ 老人虐待  ・詐欺ヘルパー現る  ・認知症患者の恋 ・非婚アラフォーのシングル介護 

等々でも推察できるように社会問題や介護問題を取り上げた展開がされていて、当時は私も両親の介護に佐渡通い
をしていたから本当に共感を持って観ていた。

確か最終話だったと思う。
介護難民を引き受けて世話している施設に厚生省の面々が機動隊を引き連れて来た際のやり取りだったと思う。 

厚生省役人 「ヘルパーの数も明らかに不足、今後何か問題が起きたらどうするつもりですか」

彦一 「だったらお国が何とかしてくれよ。あいつら現に行き場がないんだよ。俺たちが見捨てたら、
     てめえらが引き取って面倒見てくれるのか」

厚生省役人 「認可もない医療も健康管理の体制もない、そんな劣悪な状況に高齢者を押し込んで介護施設を名乗る、
         そんなもの介護と呼ばないんだよ」

彦一 「じゃあなんなんだよ、介護ってのは。教えてくれよ、頭わりいから教えてくれよ」

厚生省役人 「分かんないのだよ、頭のいい俺にも。たぶん答えはないだろう」

彦一 「あんたら答えも分かんないで制度作ってるのかよ。
     目の前にいる人間を見殺しにしなければ成り立たない制度だったらいっそのことつぶしたらどうだ。
     目の前にいる弱い奴らほっとくことはできねえ」

と、この後はドラマだから厚生省vs彦一たちその筋の者たちとの大乱闘になるわけで。

 (写真はすべて 京都 光明寺)

放送からもう6年も経つというのに、そんなにも月日が経っているというのに、特集を観る限り未だなんの解決もみていない。
彦一の台詞は、日曜日放送で無届ハウスのことで役所の指導を受けた介護ハウスの経営者の方の気持ちをそっくりそのまま、
代弁しているに違いない。
それを考えてもこのドラマの持つ意味は大きいと思う。明らかにドラマは現実を越えて問題を提起していたわ。
介護に携わっているお役所の方々はぜひ観てください、と声を大にして言うわ。
解決は一朝一夕にはできないと思うけれど。

コメント
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