徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

福連木(ふくれぎ)の子守唄 ~ 哀しい少女たちの唄 ~

2013-05-22 16:02:11 | 音楽芸能
 父が天草の大矢野島(現在の上天草市)に赴任した昭和10年頃、天草は大小100余りの島々に20数万人の人が暮らす貧しい地方だった。父の備忘録にも40名ほどのクラスの4分の3が、弁当に「かんちょ(上天草の言葉でさつま芋のこと)」を持ってきていたと記されている。当時はまだ「からゆきさん」の風習も残っていたことは、以前このブログに書いたが、少女を子守奉公に出す風習もまだ残っていたようだ。そんな少女たちの哀しい心情を歌った唄がこの「福連木の子守唄」である。戦後、商業ベースに乗ったことで全国的に有名となった「五木の子守唄」と同じような経緯で生まれた民謡だが、こちらは熊本県内ですらまだあまり知られていない。しかし歴史的にはどちらが古いのかよくわからないらしい。福連木というのは現在では天草下島を本渡から下田へ山越えする県道の途中にある山村のことだ。父が生きていた頃は夏になると、父の大好きな下田温泉へ家族で行ったものだが、いつも福連木を通って行ったことを思い出す。


2013.5.3 水前寺成趣園・能楽殿 「江津湖物語と水前寺をどり」
振付 中村花誠
立方 こわらべ(あかね/みわ/ゆりあ/れいな/めぐみ/かな/ゆうあ)

▼福連木の子守唄

♪ねんねこばっちこゆうて ねらん子は叩け
    叩ちゃって ねらん子はじごねずめ

♪ねんねこばっちこは 守り子の役目
    そい云うて ねらきゃて楽をする

♪おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先やおらぬ
    おっても 盆べこもきしゃされず

♪おどんぎゃ死んだ時や だあぎゃ泣やてくるきゃ
    山のからすと 大親様と

♪おどんぎゃ死んだ時や うらん道端いけろ
    登り下りに 花もらう

♪花はたつっちゃ しばん葉はたつな
    椿 つつじの花たてろ