先週の「にっぽんの芸能」(NHK-Eテレ)は「大和楽の世界」と題して、大和楽の「花を恋い」「おせん」「四季の花」の3曲が演奏された。中でも「おせん」は興味深かった。この「おせん」は昭和8年(1933)に朝日新聞で連載された邦枝完二作の新聞小説「おせん」をモチーフとしている。この小説の挿絵が代表作となった大正・昭和初期の日本画家 小村雪岱(こむらせったい)の描いたおせんのしどけない姿が当時人気となったそうだ。
おせんというのは、江戸中期、谷中の笠森稲荷門前の水茶屋「鍵屋」の看板娘だった「笠森おせん」のこと。当時、水茶屋には小奇麗な看板娘を置いて客を呼び寄せたが、おせんは、浅草「柳屋」のお藤、二十軒茶屋の「蔦屋」のおよしとともに江戸の三美人として人気を博したという。看板娘は、印象的な髪形や化粧を施し、男たちの視線を惹きつけた。また、おせんは鈴木春信の浮世絵「笠森お仙」シリーズなど、いわゆるブロマイドや、看板娘の名入り手拭いなどのグッズも売られていたという。彼女たちに会いたい一心で大勢の客が水茶屋に押しかけ店は繁盛したという。まさに今日の「会いに行けるアイドル」の走りである。
▼大和楽「おせん」
作詞:邦枝完二 作曲:宮川寿朗
三味線(大和櫻笙・大和久子・大和久涛)
唄(大和美世潯・大和左京・大和礼子)
おせんというのは、江戸中期、谷中の笠森稲荷門前の水茶屋「鍵屋」の看板娘だった「笠森おせん」のこと。当時、水茶屋には小奇麗な看板娘を置いて客を呼び寄せたが、おせんは、浅草「柳屋」のお藤、二十軒茶屋の「蔦屋」のおよしとともに江戸の三美人として人気を博したという。看板娘は、印象的な髪形や化粧を施し、男たちの視線を惹きつけた。また、おせんは鈴木春信の浮世絵「笠森お仙」シリーズなど、いわゆるブロマイドや、看板娘の名入り手拭いなどのグッズも売られていたという。彼女たちに会いたい一心で大勢の客が水茶屋に押しかけ店は繁盛したという。まさに今日の「会いに行けるアイドル」の走りである。
▼大和楽「おせん」
作詞:邦枝完二 作曲:宮川寿朗
行水のおせん 描いた紅筆を
水に落とした 夕間暮れ
廻り灯籠が くるりと廻る
江戸の昔を 今の世の
夢の雪岱 あで姿
帯は空解け 柳腰
咲いた桔梗の ひと片が
仇に散ったか 蚊帳のかげ
こうもり来い 行燈の光を
ちょいと見てこい
道行のおせん かくした青すだれ
萩に流れる 蚊やりをよそに
廻り灯籠が くるりと廻る
水に落とした 夕間暮れ
廻り灯籠が くるりと廻る
江戸の昔を 今の世の
夢の雪岱 あで姿
帯は空解け 柳腰
咲いた桔梗の ひと片が
仇に散ったか 蚊帳のかげ
こうもり来い 行燈の光を
ちょいと見てこい
道行のおせん かくした青すだれ
萩に流れる 蚊やりをよそに
廻り灯籠が くるりと廻る
三味線(大和櫻笙・大和久子・大和久涛)
唄(大和美世潯・大和左京・大和礼子)