徒然なか話

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小津安二郎から本居宣長 そして帆足長秋・京

2016-11-14 21:43:55 | 歴史
 今夜の「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)はゲストに俳優の佐野史郎を迎え、小津安二郎監督に憧れる佐野が希望した小津監督ゆかりの三重県松阪市を訪ねた。
 小津監督は東京生まれだが青春時代を松阪で過ごしたという。小津家は松阪の豪商の後裔。実は小津家の一族には江戸時代の国文学者で「古事記伝」で知られる本居宣長(もとおりのりなが)がいる。

 4年ほど前、八千代座交流施設で行われた「古事記伝写本 特別公開」を観たことがある。
 今から1300年前に書かれ、日本最古の歴史書と言われる「古事記」は、江戸時代後期、本居宣長が執筆した「古事記伝」によって注釈が加えられ、以後、今日まで古代史研究の基礎となっている。その本居宣長の原本は現在一部しか残っていないが、その写本が唯一全巻残っているのが、山鹿で神職を務めていた帆足長秋(ほあしちょうしゅう)とその娘・京(みさと)が書写した写本である。京は幼少より聡明な娘で、父の教えを受けて国学に関心を抱き、詩歌や書道を嗜んだ。15歳の時、父母に伴われて山鹿から約80日に及ぶ長旅の末に松阪の本居宣長を訪ね、松阪に約80日間滞在、「古事記伝」を書き写した。その聡明さと達筆に宣長も舌を巻いたと伝えられる。


帆足長秋とその娘みさと(山鹿市立博物館)