徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

那須岳の思い出

2020-08-17 19:24:57 | ファミリー
 こうも暑い日が続くと栃木県の那須にいた時代が思い出されてならない。1983年の春から3年3ヶ月暮らした那須は、わが生涯の中でも最も思い出深い地のひとつである。春夏秋冬それぞれの季節に、美しい日本の風景を見ることが出来た。なかでも一番の思い出は夏の涼しさだ。夏の時季に那須から東京や九州へ出張することもあったが、那須塩原駅に帰り着いてホームへ降り立つと生き返ったような思いがしたものだ。
 ある年の夏、父母が夏休みを利用して那須へやって来た。那須高原にあった会社保養所にうちの家族とともに宿泊した。二日目だったか、父と僕と息子たちは那須岳に登った。頂上に登ってからカメラを持って来ていないことに気付いた。当時はまだデジカメも存在せず、アナログのカメラは持っていたが、使い勝手が悪く、出かける時にいつも携帯する習慣はなかった。せっかくの記念写真が撮れないなぁとあきらめかけていると、父が他に数人いた登山者の一人と交渉を始めた。その人のカメラで撮ってもらい、後日プリントしたものを郵送してもらおうという相談だった。その人は快く承諾し、数日後、熊本に戻った父宛てに写真が送られて来たそうである。律儀な父のこと、お礼状とともに謝礼の品を贈ったのはいうまでもない。


那須岳