徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

町芸者の生まれた街

2023-06-21 21:34:16 | 音楽芸能
 今日は霧のような細かい雨が時折降っていたが、寺原町のかかりつけ医に定期的な診察を受けに行った。受診後、すぐ裏を流れる坪井川を眺めてしばらく過ごした。ボンヤリしているとどこからか三味の音が聞こえるような気がした。



 寺原町は、明治から昭和初期にかけて熊本のお座敷文化を支えた町芸者「土手券」発祥の地。昭和初期に坪井川の河川改修が行われ、流路が変わったので正確な位置関係はわからないが、下の地図(大正7年頃)の一番下の「流長院」の上にある「庚申橋」のたもと坪井川土手沿いに町芸者たちが住んでいたらしい。「土手券」の名の由来である。「券」とは「券番(検番)」のこと。当時は舟運が盛んだったので町芸者も普通に舟を操っていたらしい。地区の祭では坪井川に舟を浮かべ、舟上では土手券たちが音曲を奏でて賑わったという。



 当時の風景を思い浮かべながら、と言っても見たことはないので想像するしかないが、さぞや情趣豊かな風景が展開したであろう。「都々逸」や「さのさ」なんぞが聞けたらもう最高だ。