じじい日記

日々の雑感と戯言を綴っております

ディンボチェ滞在

2014-12-06 10:44:50 | ネパール旅日記 2014
 
 11月10日 月曜日 ポカルディの前衛峰(5100m)へ登る

本日は5時出発で高度順化の為にポカルディの前衛峰に登ると言うので4時に起きて準備していた。
昨夜ポットに入れてもらったお湯でポカリを作り準備していたものとソイジョイを一本食べてラムさんが来るのを待っていた。

5時00分、ヘッドランプを灯して出発。
標高4400mの早朝は思ったよりも寒く無いと思ったが、宿の前の道は凍りつき、風の当る場所に出ると手足が痺れた。
足はまだなんとかなるのだったが手が冷たくてたまらなかった。
登山用の手袋では無く100均で買ったカラフルな軍手のような物をしていたのが失敗で、防風効果が殆ど無かった。
フリースの上にダウンを着て股引を履き毛糸の帽子を被っていて手足以外は平気で、寒いのでは無く冷たいのだ。
いや、冷たいと言うよりは痛い、だった。


ディンボチェからポカルディへ登る道から村を見下ろす

ディンボチェの村からさして高くも無いところにタルチョが見える。
目測で計って標高差は300mも有るのかどうか、で、1時間も有れば登れるだろうと思った。

昨日ダイヤモックスを買いに出た時にラムさんがその頂を指差し、明日はあれに登りますと言った。
私は、あんな所で高度順化になるの?標高差で300m、ゆっくり歩いて1時間だね、と言った。
ラムさんは、そんなに簡単でもないですけど気張って登る程でもないです、と言って笑っていた。

痛さを通り越して感覚の無くなった指を擦ったり叩いたりして刺激しつつ歩いたのはそれ程長い時間ではなかった。
東に面した丘は宿のある盆地よりも相当早く陽が当たり、5時半には夜が空け、6時頃には風も止み温かく感じるようになっていた。

私はアイランドピークアタック時の服装を考えていた。
早朝、陽が昇るまでの極寒と夜明け以後、陽が当たってからの暑さ対策をどうするべきかを考えながら歩いていた。
弱点は手足の指先なので打つ手は限られている。
手袋を重ねればユマールやピッケルが握り難くなり、下手に靴下を厚くすれば指がきつくなって血流を疎外し余計に冷たくなる。
結論は、昨年のピサンピークと同じで行くしか無いな、と言う事だったが、それで凍傷などの危険も無かったので我慢出来る範囲は無視する事にした。

夏場はヤクの放牧地になる斜面には「ヤク道」が縦横に走り登山道を無視しても登れた。
先頭を行く私は、なるべく傾斜の緩そうなジグザグ道を拾って歩きラムさんが後を着いて来た。
時々ラムさんから、右方向ですとか、もっと左に行きましょうなどと修正する声が掛かった。
昨年のガイドのドルジとラムさんには大きな違いが有って、常に前で引っ張るようにして歩くドルジに対してラムさんは、自分のペースで歩けと言って私に前を歩かせるのだった。
当然自分のペースで歩く方が楽で結果的には目的地までも早く着いていた。

距離にして2キロ程度で標高差700メートルを登るのは日本の山でもそこそこきつい。
日本の山でもそこそこきつい登りを標高5000メートルでやるのはとてもきつい。
陽が当たるまでは休むと冷えるので歩き続けたが御来光を拝んだ後からは写真を撮る振りをして足を止めていた。

途中の岩陰でキジを撃った時に高度計を見ると5000メートルだった。
そうか、今年も5000メートルの高所でキジを撃てたかと少し感慨に耽りつつ、残り百メートルか、一踏ん張りだなと気合いを入れる。


後のピークはNangkar Tsang5616m 登山道は無い

7時20分タルチョが旗めくピークに到着。
そこから先に道は無かった。
ラムさんがここまでです、と言って腰を下ろしクッキーを取り出し「どうぞ」と言った。
手元の高度計では5100mを少し超えていた。
しかし、目の前には見事な岩凌と尖ったピーク群が見えていてここで終わりと言われても納得がいかなかった。
ラムさんに、この先まで登る事は無いのかと問うと、見た目よりも岩が脆くて難しいとの事だった。

下から見た時に小さな棒が立っているように見えてものは高さ5m以上は有る柱だった。
ヒマラヤの山は下からは小さな丘に見えても登ってみると意外と大きくて厄介な事は経験から覚えたつもりだったがまだまだズレは修正され切っていないようだった。

ラムさんが谷側を覗いてみろと言うので身を乗り出すと身体を預けている岩の向うは切れ落ちていて何も無かった。
しかも岩は体重を預けて押すと動くのだ・・・一瞬で肝が冷えた。
そこから眺めた岩場が3級から4級くらいで美味しそうだったので「ラムさん、ロープ持ってたら楽しそうな岩だね」と言うと、ラムさんもクライミングが好きだそうで、カトマンズの近くにボルトの打ってある岩場が有るから下山したら行きましょうか?と誘われた。
いやいや、もう岩にしがみつくだけの握力は無いので言うだけなのだが。

クッキーを食べ、だいぶぬるくなったポカリを飲んで下山に向かった。
このピークはカラタパールに向かう人やアイランドピークを目指す人が高度順化をするのに登るらしく結構な人が登って来ていた。
自自分らは今朝の一番乗りだったようだ。

5000mの陽射しは強く半袖でも汗をかく程の暑さになっていた。
喘ぎながら登って来る人達を見て閃いた。
ラムさんが早朝のスタートをしたのは、気温の差を教える事や、ヘッドライトで岩場を歩く事の練習だったのかも知れないと思った。

9時頃には宿に戻り朝食を食べ、後は終日休養となった。


 19時00 就寝
 
 11月10日 酸素濃度 データー

 ディンボチェ (4410m)85% 心拍数85 (AM10:30 休憩後)
 



コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする