北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

一般質問 今回の原稿

2019-03-05 | 珠洲市議会
今日の一般質問の原稿です。
ご笑覧を。
※正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


1.次期まち・ひと・しごと創生総合戦略及びまちづくり総合指針の次期計画の策定について
昨年6月のSDGs未来都市選定を受け、今議会に提案された来年度予算案は「SDGs未来都市」元年予算と命名されました。珠洲市の提案のタイトルは「半島の突端“未来都市”への挑戦」、そして具体的に取り組む事業は「能登半島の先端にレジリエントな『知』と『共創』のSDGsプラットホームづくり」と名付けられています。事業の具体的な内容については、昨年3月26日付けで内閣府に提出された「SDGs未来都市等提案書」が最も詳しいように思いますので、今回はこの提案書を参照しながら、珠洲市が本当に未来都市に向かって進んでいくのか、様々な角度からお聞きをしたいと思います。
 お断りしておきますが、私はSDGsが盛り込まれた国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」は賛同しますが、これを受けて日本政府が示したSDGs実施指針は数多くの問題点を含んでいると受け止めています。なにより国内で格差と貧困を拡大させてきたアベノミクスをベースとした諸政策をSDGsと無理やり絡めた感が否めません。またゴール16には「平和」が掲げられていますが、国連が描く「平和」と安倍内閣が描く「平和」との違いも明らかです。最近テレビを見ているとなんでこの人が、という人がSDGsのバッジをつけているのをよく見かけます。そういう意味で、珠洲市の提案が内閣府のSDGs未来都市に選定されたからといって無条件、無批判にその内容を肯定するものではありませんし、提案内容自体、市民や議会での議論を経てまとめられたものでもありませんから、市の行政計画に取り入れる時には吟味が必要だと思っています。

まず、来年度で計画期間を終えるまち・ひと・しごと創生総合戦略、そしてその翌年に計画期間を終えるまちづくり総合指針の次期計画の策定について、SDGs未来都市選定を踏まえ以下5点お聞きします。
 まず5年間の計画期間となっている総合指針について、次期計画は2030年を目標年度とし、1年前倒しで来年度、総合戦略と同時に見直してはどうかという提案です。
 現計画策定にあたっては事実上両計画同時並行で作業が進められましたが、計画期間には1年のズレがあり、現状では総合戦略は来年度改訂作業をおこない、総合指針はその翌年度となります。これまでの議会答弁を踏まえて総合指針と総合戦略の関係を整理しますと、まず将来に向けた総合指針があり、総合戦略は具体的な地方創生を進める実施計画として総合指針の中に位置づけされるという関係にあります。したがって、まず総合指針を策定し、その翌年に総合戦略を策定するならいざしも、順序がその逆となることは好ましいことではありません。加えて現計画は両者5年の計画期間ですが、総合指針は将来に向けた総合的な指針です。この際、2030年までを視野に入れてはどうかと考えます。
なぜ2030年か、以下その理由を述べます。
そもそも2030年なんてどんな社会になっているか誰も予想もできないだろうという声もあろうかと思います。しかし実はSDGs未来都市の提案書では2030年の本市のあるべき姿を掲げ、それを踏まえたゴールやターゲット、具体的な取り組みを記載しているわけです。それだけではなく2030年は各分野で注目されている時代の節目です。国立社会保障・人口問題研究所は2030年問題として高齢者が人口の3分の1を占め、同時に深刻な労働力人口不足時代になると指摘しています。中身は暗い話ばかりですので省きます。一方、4年前にオックスフォード大学の研究者が「雇用の未来」という論文を公表し、AIやロボット、IoT、ビックデータなどの社会実装によって2030年前後には現在の職業のうち約半数が7割りの確率で消滅するとの予測を発表し、大きな衝撃を与えました。先端技術の進化予測はこれにとどまりません。2030年には人間のように様々な知的作業をこなすことができる人口頭脳、すなわち汎用AIの実用化にめどが立ち、第4次産業革命を引き起こすとも言われています。汎用AIの登場は劇的な経済構造の変化の幕開けとなり2045年には全人口の1割しか働かない社会がやってくるとの予測すらあります。S Fの世界ではなく安倍政権が成長戦略として示した「未来投資戦略2018」も、第4次産業革命がもたらす新たな社会システムを「Society5.0」とし、その実現に向けた戦略を掲げており、人口減少社会はAIやロボットなど新技術を社会に取り込むうえで優位性があるという捉え方をしています。2030年をどのように迎えるか、まさに珠洲市の未来を左右する正念場です。総合指針は2030年までを計画期間とし、総合戦略と同時に見直すべきと思いますがいかがでしょうか。

次に、通告した質問の順序を入れ替えますが、「珠洲市の最大の課題は人口減少対策」という命題は本当に正しいのかという疑問を提起したいと思います。提案書では「人口減少対策」はSDGsで取り組むすべての事業の最終目標とまで述べています。
人口減少対策が重要なことは言うまでもありませんが、目的と手段をはき違えてはいないでしょうか。仮に2030年11,600人という人口ビジョンを達成できても、それだけでは幸せな社会は実現しません。今より大きく進む人口減少社会の中での暮らし方や集落の在り方、働き方などを含めた珠洲市のビジョンを打ち出せない限り住民、特に若い世代は早いうちに珠洲から脱出したほうがいいと思うでしょう。さらに2040年には1万人へと減少していきます。今の珠洲市だけでなく人口が減少した将来の珠洲市にも魅力や安心をイメージできなければU・Iターン者が増えることはないでしょう。人口が減少しても一人ひとりが豊かに安心して暮らし続けられる珠洲市を作ることを最大の課題として掲げるべきだと思います。それが結果的に人口減少に対する歯止め対策ともなるのではないでしょうか。
 その豊かさの指標が「2030年のあるべき姿」の中で記載されています。
「『インクルーシブ・ウェルス』日本一の地域を目指す」
また日本一が出てきたかという問題は、今回はスルーし、今回初登場の「インクルーシブ・ウェルス」についてお聞きします。これは製造資本、自然資本、人間資本を指数化した「包括的な富」という意味で、国連大学と国連環境プログラムが立ち上げたGDPに変わる幸福度指数だと思いますが、提案書の中では製造資本ではなく社会資本に入れ替えています。そういう意味では現時点では本市独自の指標のようです。他所との比較には少なくとも現時点では使えないと思いますが、珠洲市の豊かさを経年比較する指標としては有効だろうと思います。そこでお聞きしますが、今回初登場のインクルーシブ・ウェルスは内閣府向けの単なる政治的スローガンなのでしょうか。総合戦略や総合指針でも掲げ使用していくのでしょうか。「日本一幸せを感じられる珠洲市」との関係についてもわかりやすく説明をいただきたいと思います。

もちろん指標だけでは暮らしは成り立ちません。「2030年のあるべき姿」では、インクルーシブ・ウェルス日本一に続けてこのような記述があります。
「その価値を先端技術によって様々な活動に取り入れながら人口減少や高齢化などの地域課題に適応し続けることのできる柔軟性と多様性を持ち合わせる」
この一文に関しては、私は全面的に賛同します。人口減少、労働力減少の中でも安心して暮らし続けるために鍵を握るのは地域や暮らしへの先端技術の導入です。自動運転車も大きな役割を果たしますが、「Society5.0」は生活やコミュニティ、医療や介護、産業、働き方などあらゆる分野での変革を視野に入れており、取捨選択は必要ですが、私は過疎地こそ先端技術の導入の先端を行くべきだと思います。
私の性分からいえば「Society5.0」で掲げられた先端技術の負の側面、プライバシーなどの人権侵害や、さらには巨大な監視社会、あるいは管理社会につながらないか、新たな巨大利権を生み出さないか、等々の問題に警鐘を鳴らす方が好きなわけですが、たとえ政権が変わろうと、ここに掲げられた諸々の先端技術の開発は世界的な潮流であり、変わることはないでしょう。先端技術の開発動向を視野に入れた市政の方向性と具体策を総合指針と総合戦略にまとめていくべきと考えますが所見をお聞きします。

この問題に関してあと一点、こうしたテクノロジーを暮らしや産業に取り込む動きはすでに多くの自治体で広く進んでいます。スマート農業はよく耳にするようになりましたが、総務省は「地域IoT実装推進ロードマップ」を策定し、教育や医療・介護、働き方、防災など生活に身近な10分野を中心に自治体へのIoT導入の工程や将来像、経済効果などを示し、実証フェーズから実装フェーズへ、そして2020年度以降は地域への普及展開を考えています。県も工業試験場などが中心となり、IoTやAIの導入に力を入れています。こうした動きに後れを取ることなく取り込んでくことは、課題先進地の過疎地だからこそ重要であり総合戦略の重要な課題だと考えますが、市内でのIoTの導入実績、IoTの導入に向けた本市の対応方針をお聞きします。

2.奥能登国際芸術祭2020について
奥能登国際芸術祭2020について、SDGsとの関係も含めお聞きします。
先ほどから引用しています提案書によれば、芸術祭は「人口減少による地域経済、産業の停滞」という経済面での課題解決に位置づけられており、「少子高齢化による社会の停滞」という社会面での課題解決との相乗効果が期待されています。そして「2030年のあるべき姿」の中では「先端アートが生活に溢れるスマートシティを目指す」とされ、「誰も取り残さない」というSDGsの哲学の主流化モデルの確立を目指すとも記載されています。SDGs未来都市の選定の経過からして、実行委員会の中で議論を重ねてこの提案書に至ったわけではないと思うわけですが、この提案書に記載された芸術祭に関するこの認識は共有されているのでしょうか。
総合ディレクターがOKといえばそれで十分ということかもしれませんが、個人的な、まったく個人的な好みで言うならば、生活に溢れるほどの先端アートはちょっと勘弁してほしいなと思います。またSDGsの主流化モデルの確立といえば聞こえはいいですが、国連や政府、自治体の期待に応えるまさに優等生中の優等生のような芸術祭に人の魂を揺さぶるようなパワーが期待できるのでしょうか。例えば、最近マスコミに露出する機会も増えたようですが、世界各地に神出鬼没に現れ、現代の社会問題や権力を強烈に風刺するバンクシーの作品のパワーには到底及ばないと思うのは私だけでしょうか。ぜひ実行委員会の中での真剣な議論、市民を巻き込んだ議論を期待したいと思います。

同じく提案書では、芸術祭の開催により「市内経済消費が向上し商品開発や付加価値向上産品の販売に追い風となる」とし、「奥能登一帯にさらなる経済的、社会的インパクトが及ぶことを目指す」とする一方で、開催期間の経済効果は開催目的ではないと明言しています。ひとことで言えば矛盾、うがった見方をすれば「経済効果はあるぞ、大きいぞ」と吹聴して予算を獲得し、それは開催目的じゃないから検証はしない、そんな筋書きではないかと邪推したくもなります。経済効果は目指すのか、目指さないのか、確認をさせていただきます。
芸術祭がどこを向いて進んでいくのか、依然、私から見れば不透明感がぬぐえません。そんな中、今議会に提案された予算案の中には第2回開催に向けた8千100万円余りの予算が計上されています。奥能登国際芸術祭2020はどのような芸術祭を目指すのでしょうか。開催目的やコンセプト、開催概要、実行委員会の組織構成について明らかにしていただきたいと思います。関連して、総合ディレクターの役割や実行委員会と珠洲市との関係に見直しはあるのかないのかについてもお聞きします。

3.生物文化多様性条例について
次は今議会に提案された珠洲市生物文化多様性条例についてです。まさにインクルーシブ・ウェルスに関わる条例であり、生物文化多様性を対象にしたという点では、おそらく全国初の条例だろうと思います。各方面から注目される条例になると思いますので、以下7点、多岐に渡りますがお聞きをしたいと思います。
まず、基本的な点ですが、平成25年に生物多様性保全活動計画を策定し、以来5年間、生態系の保全活動に大きな役割を果たしてきました。今回、この計画の対象を生物文化多様性へと拡充して対応する選択肢もあったかと思いますが、あえて新たな条例制定に踏み込んだわけです。その狙いをまずお聞きしたいと思います。
次に、文化多様性についてです。第2条では「生態系に支えられ地域に根差した多様な生業や文化」とありますが、解釈によってはかなり広がっていくようにも思います。本条例案が保全及び持続可能な利用の対象とする「文化」の範囲をお聞きします。具体的にはどのようなものを想定しているのか例示していただければなおわかりやすいかと思います。
 3点目は希少野生生物についてです。県はすでに「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」で希少野生動植物種を指定しているわけですが、本条例案が想定する希少野生生物は県が指定する動植物と同じなのでしょうか。文化多様性の観点などから独自に、より広く認めることもありうるのでしょうか。
4点目、生物多様性保全活動計画では獣害対策の活動としてイノシシなどの駆除・防除と人材育成を進めてきました。今回の条例案では外来生物への対策はありますが、この間取り組みを進めてきた獣害対策についての規定がありません。国の生物多様性基本法や県の「ふるさと石川の環境を守り育てる条例」の枠組みを前提に考ええれば、獣害対策の法体系は別ということかもしれませんが、自治体の制定する条例はそこを統合するところに大きな意義があると思います。獣害、特にイノシシ対策は深刻さを増し、長期戦の様相を呈してきました。農家や狩猟者だけではなく地域ぐるみ、市民ぐるみの長期にわたる対策が求められており、まさに条例で規定すべき課題ではないかと思いますがいかがでしょうか。
 5点目は農作物の在来種についてです。種子法の廃止で在来種、固定種への関心が高まっています。野生生物ではないので自然界の生態系とは位置づけが違うのかもしれませんが、里山の文化多様性を育む大切な生物であることに変わりはありません。大浜大豆や北山菜、その他にもいく種類もあるようですが、その種子の保存・継承は未来への重要な課題だと思います。農家任せにせず、実態調査や保存について、市の責務を規定すべきではないでしょうか。
 6点目、市民や事業者の責務は努力規定が多いようです。実効性をいかに担保するのかお聞きをします。特に第10条に規定された「土地の開発等における配慮」については珠洲版環境アセスメント制度を定めなければ空文化するのではないかと危惧しますがいかがでしょうか。
7点目、最後に組織の問題です。第19条で専任部署を設置するとありますが、自然共生室の存在を追認するだけでしょうか。基本的にはこの間の世界農業遺産の保全・活用の取り組みの延長にあるとはいえ、この条例を踏まえ自然共生室をさらに強化すべきと思うわけですが方針をお聞きします。

4.手話言語条例について
次も今議会に提案された条例ですが手話言語条例についてお聞きします。
全日本ろうあ連盟が中心となった全国的な運動の展開、珠洲市議会を含めた全国の自治体議会から国に対する手話言語法制定を求める意見書提出、さらに平成28年の県ろうあ者福祉大会の本市での開催などの経過を踏まえ、昨年9月議会には大兼政議員からの条例制定を問う質問もあり、今回の条例提案に至りました。県内の自治体では9番目であり、これを契機にこれまでの取り組みをさらに前進させようという姿勢は評価しますが、条例案を拝見し一つだけ残念な点があります。
先行して制定された他の自治体の条例の多くは前文を置いています。手話はかつて、長いろう教育の歴史の中でその使用が厳しく禁止されてきました。手話は蔑まれ(さげすまれ)、ろう者は言われのない差別や人権侵害を受けてきました。そしていまだ偏見が消えたとは言い難い状況にあります。こうした中で、障害者基本法の理念でもありますが、障害は個人ではなく社会にあるという障害の捉え方の転換、そして当事者参加と自己選択、自己決定の保障が手話言語条例を理解する上でも根底に据えられなければなりません。条例では、市は市民の手話に対する理解の促進を図るとされていますが、単に手話が必要な人もいるよねという話ではなく、なぜいま手話言語条例なのか、そして手話は言語であるということをより深く理解するためにも前文で以上のような内容を明記してほしかったと思います。
本市では前文を置くかどうか検討されたのでしょうか。検討したのなら前文なしとした理由もお聞かせいただきたいと思います。
黒柳徹子さんが登場するコマーシャルをもじって言えば、「せっかく後から制定するんですからいい条例を目指したい」とは思われないでしょうか。今年はSDGs未来都市元年ということでもあります。上記の内容に続けて、誰一人取り残さないというSDGsの理念実現にも資する条例であることを明記した前文を加えて条例を再提出すべきとも思うわけですが見解をお聞きします。

5.自衛隊の住民基本台帳閲覧について
自衛隊の住民基本台帳閲覧についてお聞きします。
安倍首相はさる2月10日の自民党大会で「残念ながら新規隊員募集に対して、都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります」と訴え、協力を得るため「憲法にしっかりと自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とう」と呼びかけました。都道府県というのは市区町村の誤りでのちに国会答弁で「自治体の6割以上」に修正されました。さらに岩屋防衛大臣は、募集対象者の情報提供について、全国1741市区町村のうち、4割からは氏名や住所などの情報提供、3割は該当情報を抽出して閲覧、2割は防衛省職員が全部を閲覧して自ら抽出という方法で協力しており、資料提供にも閲覧にも協力していないのは約1割の自治体だと明らかにしています。ところがそれでも「閲覧対応は協力拒否」という安倍総理の見解は変わりません。
多くの自治体は住民基本台帳法に基づき適切に対応しているものと思いますが、在任中の改憲を悲願とする安倍総理は、国民からも、与党内からも改憲支持の声が広がらないことに業を煮やし、フェイクで改憲世論を高めようとしています。当然ながら多くの自治体からは疑問や戸惑いの声が上がっています。
そこで以下2点お聞きします。まず、自衛隊から本市への依頼内容と、それに対するこれまでの対応をお聞きします。
2点目、本市はこの間、住民基本台帳法に基づき閲覧で対応してきたものと理解していますが、これをもって「協力拒否」と批判し、さらに「協力拒否」をする理由は、憲法に自衛隊が明記されていないからだとも述べているわけですが、総理発言に対する市長の見解をお聞きしたいと思います。

6.学校の多忙化解消の取り組みについて
質問の最後は、学校の多忙化解消の取り組みについてです。
中央教育審議会の「学校における働き方改革特別部会」が1年半にわたる審議を経てさる1月25日答申をまとめました。学校現場をブラック職場化させている給特法の見直しが最大の注目点でしたが、結果的に現状維持ということで多くの関係者を失望させました。しかし、現在の学校教育は多くの教員の長時間にわたる献身的なサービス残業で成り立っていることを認め、このままでは新しい時代の教育に対応していけないという危機意識を表明しています。文科省はこの答申公表に合わせて教員の時間外勤務時間の上限を月45時間、年間360時間とするガイドラインを示しました。教職調整額4%分を引いても、月40時間近いサービス残業を容認するという、ある意味労働基準法違反のガイドラインですが、現状月80時間を超える時間外勤務を強いられている教員が多くいる中、最低限遵守すべき緊急避難的ワークルールかと思います。ガイドラインは現状では法的拘束力はありませんが、実効性を担保するための方針等の策定を教育委員会に求めています。
そこでお聞きしますが、本市教育委員会が昨年策定した「教職員の多忙化改善アクションプログラム」、そこでは勤務時間外の在校時間が過労死ラインといわれる月80時間を超過している教員の割合を平成30年度から3年間でゼロにするとしています。抜本的な見直しが迫られていると思うわけですが、教育長に対応をお聞きします。

質問の2点目。私はこの間の多田教育長はじめ教育委員会の皆さんの多忙化解消に向けた頑張りを承知しているつもりですが、今回ガイドラインに示された上限時間は、もはや教育委員会や学校現場の努力や工夫だけでは逆立ちしてもできないだろうと思います。文科省もそこはわかっているわけで、ガイドラインは新たな方針等の策定にあたって、市長と認識を共有し、連携した取り組みを求めているわけです。ガイドライン公表以降では、2月22日に総合教育会議が開催されています。多忙化解消に向けて協議を行ったのかどうか、行ったのならばその内容についてもお聞かせいただきたいと思います。

質問の3点目は4月から本格実施となる若手教員早期育成プログラムについてです。教員の大量退職、大量採用という急激な世代交代時期にあたり、多くの若手教員が研修で頻繁に学校を離れ、本人の負担はもちろんのこと学校運営にも大きな支障を来たしてきました。この問題はこれまで私も指摘してきましたが、この度、校外研修から校内での実践研修へとシフトする方針が示されました。この方針転換自体は評価しますが、県教委が作成したスターブックを見ますと、校内に若手研修コーディネーターを配置し、大きな役割を担うことになるようですが、当然ながら新たな負担増が懸念されます。スクラップ&スクラップを掲げる教育長はこの問題にどのように対応されるのか対策をお聞かせいただきたいと思います。

質問の最後はプログラミング教育についてです。AIが進化し、IoTが身近な暮らしの中であふれる時代を迎える中、次代を担う子どもたちは、コンピューターを魔法の箱と捉えるのではなく主体的に使いこなさなければなりません。デジタルの価値の消費者ではなく創造者になってほしいとも思います。小学校必修化を1年後に控えるわけですが、まさに2030年の社会も視野に入れた構想を打ち出していただきたいと思うわけです。本市の基本的な取組み方針をお聞きします。この分野でも教員の新たな負担増が懸念されます。現場に丸投げは論外ですが、外部との連携も含めしっかりしたサポート体制が必要だろうと思います。負担増の回避に向けてどのような対応を考えておられるかも合わせてお聞きし、質問を終わります。


コメントを投稿