「さよなら志賀原発!全国集会in金沢」開催翌日(7月1日)、実行委員会とさようなら原発1000万人アクションは石川県に対して下記要請書を提出し、質疑・意見交換を行った。
回答は下記の通りだが、その後の質疑の中で県は今年度の原子力防災訓練を実施する方向で検討していること、県の避難計画は必要な見直しはしなければいけないと考えていることなどをを明らかにした。
本年元日に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震は、2007年3月の能登半島地震をはるかに上回る大きな被害をもたらしました。石川県地域防災計画(地震災害対策編)では、能登半島北方沖を震源とするマグニチュード7.0の地震を想定していましたが、その被害予想は県全域で全壊120棟、死者7人、避難者2781人というものです。地震規模の予測は今回の地震の8分の1と過少評価で、現実に起きた被害は県内だけでも全壊は8000棟以上、死者282人(6月18日現在)、避難者は最大で4万人を超え、想定よりも桁違いに大きなものでした。本震発生後も強い余震が続き余震域は東西に広がり今なお警戒が必要な状況で、今後、志賀原発近傍とくに原発の前面海域を震源とする地震発生の危険性も指摘されています。
今回の地震で、原発の地震リスクが改めて注目されています。志賀原発も被災し、原発敷地での震度は震度5強でしたが複数の損傷や不具合が生じ、敷地にも複数の段差や地割れが生じました。変圧器やタービン等の損傷は、いまだ復旧のめどは立っていません。この地震の最大震度7は志賀原発の真北わずか11kmの地点で観測されており、原発直下で震度7だったらもっと大きな被害が出ていたことは確実です。志賀原発が2011年3月以降ずっと停止していたことは、まったく不幸中の幸いというほかありません。
今回の地震で、原子力防災計画は複合災害の際にはまったく機能せず「絵に描いた餅」であることが明らかになりました。大地震と原発事故の複合災害が起きたら、住民らは道路寸断で避難できず、家屋損壊により屋内退避もできず放射能にさらされ続ける事態に陥ります。しかし、国も北陸電力も能登半島地震から何ら教訓を学ぼうとせず、「原子力は重要な電源であり、カーボンニュートラル実現のためにも原子力を活用すべき」という基本姿勢を変えていません。
私たちは「志賀原発は次に大地震に耐えられない!」そんな危機感と「志賀原発の廃炉こそ脱原発社会への突破口!」との意気込みを共有する全国の仲間と共に『さよなら!志賀原発 全国集会 in 金沢』を、昨日、開催したところです。
集会参加者の脱原発への熱い思いを踏まえて、石川県に以下の要請をいたします。
1.今回の能登半島地震の教訓を踏まえると、地震の予知は不可能であり、原発震災が起きれば住民の命と安全は守れないことが明らかな中で、原発の再稼働などあり得ない。実効性ある防災計画の策定よりも、志賀原発の廃炉を検討するほうがより現実的である。原発廃炉の実現に向けて関係機関との調整を速やかに開始すること。
(原子力安全対策室長)
志賀原発は現在、規制委員会の審査会合で敷地周辺断層についての活動性について審査が行われている。規制委は今回の能登半島地震で得られた知見を踏まえた対応状況について、審査の中で確認していくとしている。
規制委には地震による影響をしっかり検証してもらい、厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかり説明責任を果たしていただくよう強く要望していきたい。
2.地震と原発事故の複合災害に対応できるような実効性ある防災計画・避難計画は可能だと考えているのか。県の認識を明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
原子力防災は国の特別法の下で、国の責任の下、防災対策を実施することとされている。国においては、原子力災害時の避難先、移動手段の確保や避難ルートの確保を緊急時対応として取りまとめているところである。志賀原発においても内閣府が事務局となって志賀地域原子力防災協議会が設置され、現在とりまとめ作業が行われている。
この協議会の作業部会で先般、能登半島地震を踏まえ30km圏内の道路の被災状況などを調査して結果を取りまとめて公表した。この調査結果を踏まえ、原子力担当大臣も記者会見において志賀地域の作業部会で必要な検討を進めていくと述べている。
県としても、避難計画が今のままでいいとは思っていない。今後、具体的な対応について、今後、国の対応も十分に見極めながら、必要な対応をしていきたい。
3.能登半島地震を体験して、毎年実施されてきた原子力防災訓練がいかに非現実的なものであるか、誰の目にも明らかになったと考えるが、県はどのように認識しているのか明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
これまでも防災訓練は防災体制の確立、技術の向上、住民の防災意識の高揚を図ることを目的に実施してきた。内容は道路の寸断を想定してヘリや船を使った訓練や道路の応急復旧の訓練なども実施してきた。今後の訓練の内容は現在検討中である。訓練の想定を考える中で、今回の地震を受けて、国とも協議を行いながら、より現実に即した訓練にしていきたい。
4.県地域防災計画(地震災害対策編)で、長年にわたり地震の想定が過少のまま見直されなかったことが、今回の地震被害をより大きくしたことは明らかである。なぜ見直しが行われなかったのか、その原因を明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
国による調査研究と評価が必要。例えば断層帯の位置や過去や将来の活動も含め、その調査研究とその評価が必要となる。県はこれを震災対策に活かすため、想定の基礎となる長期評価に反映して、早期に公表するよう求めてきたが、いまのところ行われていない。それにより、見直しは行われてこなかった。R4年3月に国の会議において、本県に関係する断層帯の長期評価の実施時期は未定と説明がなされたこと、奥能登地域で地震が頻発していたことから、長期評価の公表を待たずに昨年の8月、地震被害想定の見直しに向けた議論を進めるということで昨年8月に着手した。
5. 志賀原発の使用済み核燃料プールには核燃料があり、原発が稼働していなくても放射能災害が発生する危険性は常にある。現在は県、志賀町、北陸電力との三者間でのみ安全協定が締結されているが、県内の全市町が県、志賀町と同等に原発運転の同意権を定めた安全協定を締結するよう、県が主導すること。
(原子力安全対策課長)
安全協定は法律に基づくものではない。当事者同士が住民の安全・安心のために十分に議論を尽くして内容が固まっていくものと考えている。県としては、市町から要請があれば助言や相談にあたるなど、納得のいく合意形成がなされるよう努めていく。
6. 国に対して原子力災害対策指針の抜本的な見直しを求めること。
(原子力防災担当課長)
指針は国の特別措置法に基づき原子力規制委員会が策定するものとされており、その指針に基づき、県も原子力防災計画や避難計画を策定している。
今回の地震を受け、原子力発電所の立地道県でつくる原子力発電関係団体協議会で規制委に対して原子力災害対策指針はこれまでの自然災害や最新の知見、国内外の状況を踏まえて、今後、継続的に改定をしていくこと、さらに自然災害により建物や道路が損壊した状況下での避難や屋内退避に関わる対応について、あらためて検討し、速やかに示すなど、指針の見直しを求めている。
7.北陸電力対して、今回の能登半島地震による志賀原発の被害状況について、徹底的な情報開示を求めること。県としても県民の命と安全を守る立場から、自ら調査を行い、その結果を県民に明らかにすること。
(原子力安全対策課長)
今回の地震で、北陸電力は社内規定に基づき現場確認を行っている。1、2号機の油漏れや地震による使用済み燃料プールの水漏れ、周囲に飛散したということを確認し、1月1日に県と志賀町は報告を受けている。同日報道発表を行っている。発電所の状況について北電は国に報告し、現地の原子力規制事務所の検査官が現場確認を行っている。それについては1月10日と2月7日の原子力規制委員会定例会で報告され、安全縄問題となることはないと確認されている。
県は1月12日に立ち入り調査を実施し現地の状況確認を行っている。3月27日には安管協を開催し、北電に説明を求め、地震への対応を確認している。なお、安管協で北電が説明した資料や議事録等は県のHP上で公開している。北電の説明状況について、県は対入り調査をし、現場を確認しており、齟齬がないこと確認している。
回答は下記の通りだが、その後の質疑の中で県は今年度の原子力防災訓練を実施する方向で検討していること、県の避難計画は必要な見直しはしなければいけないと考えていることなどをを明らかにした。
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2024年7月1日
石川県知事
馳 浩 様
馳 浩 様
さよなら!志賀原発 全国集会 実行委員会
さようなら原発 1000万人アクション
志賀原発の廃炉と原子力政策の転換を求める要請書
本年元日に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震は、2007年3月の能登半島地震をはるかに上回る大きな被害をもたらしました。石川県地域防災計画(地震災害対策編)では、能登半島北方沖を震源とするマグニチュード7.0の地震を想定していましたが、その被害予想は県全域で全壊120棟、死者7人、避難者2781人というものです。地震規模の予測は今回の地震の8分の1と過少評価で、現実に起きた被害は県内だけでも全壊は8000棟以上、死者282人(6月18日現在)、避難者は最大で4万人を超え、想定よりも桁違いに大きなものでした。本震発生後も強い余震が続き余震域は東西に広がり今なお警戒が必要な状況で、今後、志賀原発近傍とくに原発の前面海域を震源とする地震発生の危険性も指摘されています。
今回の地震で、原発の地震リスクが改めて注目されています。志賀原発も被災し、原発敷地での震度は震度5強でしたが複数の損傷や不具合が生じ、敷地にも複数の段差や地割れが生じました。変圧器やタービン等の損傷は、いまだ復旧のめどは立っていません。この地震の最大震度7は志賀原発の真北わずか11kmの地点で観測されており、原発直下で震度7だったらもっと大きな被害が出ていたことは確実です。志賀原発が2011年3月以降ずっと停止していたことは、まったく不幸中の幸いというほかありません。
今回の地震で、原子力防災計画は複合災害の際にはまったく機能せず「絵に描いた餅」であることが明らかになりました。大地震と原発事故の複合災害が起きたら、住民らは道路寸断で避難できず、家屋損壊により屋内退避もできず放射能にさらされ続ける事態に陥ります。しかし、国も北陸電力も能登半島地震から何ら教訓を学ぼうとせず、「原子力は重要な電源であり、カーボンニュートラル実現のためにも原子力を活用すべき」という基本姿勢を変えていません。
私たちは「志賀原発は次に大地震に耐えられない!」そんな危機感と「志賀原発の廃炉こそ脱原発社会への突破口!」との意気込みを共有する全国の仲間と共に『さよなら!志賀原発 全国集会 in 金沢』を、昨日、開催したところです。
集会参加者の脱原発への熱い思いを踏まえて、石川県に以下の要請をいたします。
要 請 事 項
1.今回の能登半島地震の教訓を踏まえると、地震の予知は不可能であり、原発震災が起きれば住民の命と安全は守れないことが明らかな中で、原発の再稼働などあり得ない。実効性ある防災計画の策定よりも、志賀原発の廃炉を検討するほうがより現実的である。原発廃炉の実現に向けて関係機関との調整を速やかに開始すること。
(原子力安全対策室長)
志賀原発は現在、規制委員会の審査会合で敷地周辺断層についての活動性について審査が行われている。規制委は今回の能登半島地震で得られた知見を踏まえた対応状況について、審査の中で確認していくとしている。
規制委には地震による影響をしっかり検証してもらい、厳格な審査を行い、地元住民はもとより国民の理解と納得が得られるよう、しっかり説明責任を果たしていただくよう強く要望していきたい。
2.地震と原発事故の複合災害に対応できるような実効性ある防災計画・避難計画は可能だと考えているのか。県の認識を明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
原子力防災は国の特別法の下で、国の責任の下、防災対策を実施することとされている。国においては、原子力災害時の避難先、移動手段の確保や避難ルートの確保を緊急時対応として取りまとめているところである。志賀原発においても内閣府が事務局となって志賀地域原子力防災協議会が設置され、現在とりまとめ作業が行われている。
この協議会の作業部会で先般、能登半島地震を踏まえ30km圏内の道路の被災状況などを調査して結果を取りまとめて公表した。この調査結果を踏まえ、原子力担当大臣も記者会見において志賀地域の作業部会で必要な検討を進めていくと述べている。
県としても、避難計画が今のままでいいとは思っていない。今後、具体的な対応について、今後、国の対応も十分に見極めながら、必要な対応をしていきたい。
3.能登半島地震を体験して、毎年実施されてきた原子力防災訓練がいかに非現実的なものであるか、誰の目にも明らかになったと考えるが、県はどのように認識しているのか明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
これまでも防災訓練は防災体制の確立、技術の向上、住民の防災意識の高揚を図ることを目的に実施してきた。内容は道路の寸断を想定してヘリや船を使った訓練や道路の応急復旧の訓練なども実施してきた。今後の訓練の内容は現在検討中である。訓練の想定を考える中で、今回の地震を受けて、国とも協議を行いながら、より現実に即した訓練にしていきたい。
4.県地域防災計画(地震災害対策編)で、長年にわたり地震の想定が過少のまま見直されなかったことが、今回の地震被害をより大きくしたことは明らかである。なぜ見直しが行われなかったのか、その原因を明らかにすること。
(原子力防災担当課長)
国による調査研究と評価が必要。例えば断層帯の位置や過去や将来の活動も含め、その調査研究とその評価が必要となる。県はこれを震災対策に活かすため、想定の基礎となる長期評価に反映して、早期に公表するよう求めてきたが、いまのところ行われていない。それにより、見直しは行われてこなかった。R4年3月に国の会議において、本県に関係する断層帯の長期評価の実施時期は未定と説明がなされたこと、奥能登地域で地震が頻発していたことから、長期評価の公表を待たずに昨年の8月、地震被害想定の見直しに向けた議論を進めるということで昨年8月に着手した。
5. 志賀原発の使用済み核燃料プールには核燃料があり、原発が稼働していなくても放射能災害が発生する危険性は常にある。現在は県、志賀町、北陸電力との三者間でのみ安全協定が締結されているが、県内の全市町が県、志賀町と同等に原発運転の同意権を定めた安全協定を締結するよう、県が主導すること。
(原子力安全対策課長)
安全協定は法律に基づくものではない。当事者同士が住民の安全・安心のために十分に議論を尽くして内容が固まっていくものと考えている。県としては、市町から要請があれば助言や相談にあたるなど、納得のいく合意形成がなされるよう努めていく。
6. 国に対して原子力災害対策指針の抜本的な見直しを求めること。
(原子力防災担当課長)
指針は国の特別措置法に基づき原子力規制委員会が策定するものとされており、その指針に基づき、県も原子力防災計画や避難計画を策定している。
今回の地震を受け、原子力発電所の立地道県でつくる原子力発電関係団体協議会で規制委に対して原子力災害対策指針はこれまでの自然災害や最新の知見、国内外の状況を踏まえて、今後、継続的に改定をしていくこと、さらに自然災害により建物や道路が損壊した状況下での避難や屋内退避に関わる対応について、あらためて検討し、速やかに示すなど、指針の見直しを求めている。
7.北陸電力対して、今回の能登半島地震による志賀原発の被害状況について、徹底的な情報開示を求めること。県としても県民の命と安全を守る立場から、自ら調査を行い、その結果を県民に明らかにすること。
(原子力安全対策課長)
今回の地震で、北陸電力は社内規定に基づき現場確認を行っている。1、2号機の油漏れや地震による使用済み燃料プールの水漏れ、周囲に飛散したということを確認し、1月1日に県と志賀町は報告を受けている。同日報道発表を行っている。発電所の状況について北電は国に報告し、現地の原子力規制事務所の検査官が現場確認を行っている。それについては1月10日と2月7日の原子力規制委員会定例会で報告され、安全縄問題となることはないと確認されている。
県は1月12日に立ち入り調査を実施し現地の状況確認を行っている。3月27日には安管協を開催し、北電に説明を求め、地震への対応を確認している。なお、安管協で北電が説明した資料や議事録等は県のHP上で公開している。北電の説明状況について、県は対入り調査をし、現場を確認しており、齟齬がないこと確認している。
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