北國新聞(2022年1月15日)
北陸中日新聞(2022年1月15日)
志賀原発の新規制基準の適合性審査会合が1月14日、オンラインで開催された(会議映像はこちらから3:02:50あたりから志賀原発の審査開始)。
昨年11月の原子力規制委員会の現地調査後初めてとなる会合で、北陸電力は福浦断層の位置や長さの特定、敷地内断層の活動性評価に関する指摘を受けての追加調査計画を説明した。
北電の説明に対して、規制委(規制庁)からは様々な意見や注文がつけられた。
原子炉の東側約1kmという至近距離にある福浦断層の長さについて、北陸電力は前回審査会合で従来の2.7kmという評価を見直し3.2kmに変更した。しかし、依然断層南端の位置が特定されておらず、3.2kmで止まるのか規制委の懸念は消えていない。今回の審査会合でも南端の特定を巡る調査について、規制委からは具体的な調査方法を巡って次々と質問や要望が出された。
敷地内断層の評価を巡る追加調査に関しては、福浦断層を巡る調査のような具体的な調査方法が示されたわけではないので個々具体の細部にわたる指摘はなかったが、追加調査に関する留意点を北電側に念押しするコメントがあった。
冒頭に紹介した昨日の北國新聞はs基地内断層の活動性について「春にも結論」との大見出しを掲げたが、今後の審査の行方や私たちの注目点にもかかわる「留意点」なので紹介しておきたい。
これは14日の審査会合で北陸電力が示した敷地内断層に関する追加調査内容である。
審査会合のテーマが今年度に入ってから敷地周辺断層に移り、敷地内断層の活動性評価についてはほぼ結論が出たとの印象があるかもしれないが、この追加調査内容を見ていただければまだまだ北電が説明しなければならない重要な項目が多く残っていることがわかる。
今回あらためて留意点として指摘されたのは、
①コメント124について
後期更新世以降の活動性がないとする(活断層ではない)とする敷地内断層と高位段丘Ⅰb面に分布する堆積物に変位・変形をもたらしている(活断層である)福浦断層の、それぞれの微細構造の比較は鉱物脈法の適用を検証する上で重要。薄片を追加で示して違いを詳しく説明することは当然必要だが、特に福浦断層から得られた薄片全てを示して両者の整合がとれないことがないことを示すことが重要。
②コメント123について
調査の目的に記載された通りだが、判断が明確にわかるデータを示してほしい。
この指摘については若干補足しておきたい。
これは昨年1月15日の審査会合で北陸電力が示した「敷地内断層の活動性評価」のP7だが、右から2列目を注目していただきたい。
S-1のM-12.5"孔以外は全て「最新面が不明瞭かつ不連続になっており」その上で「不連続箇所の変質鉱物に変位・変形は認められない」としている。冒頭の北國新聞の記事によれば、北電力はすでに「明瞭なデータが確認されている」と述べているそうだが、果たして一点の曇りもない明瞭なデータか注目しなければならない。
③コメント117について
S-2・S-6の影響で地層が山側に傾斜していることがないと説明していることについて、そうしたことはないという説得力あるデータを示してほしい。
これは、有識者会合の評価書で指摘されたS-2・S-6の活動性について、依然北陸電力は説得力あるデータを示せていないということ。
この他、コメント118に記載された35m盤トレンチの説明性についても注文がつけられた。
北陸電力は上載地層法による35m盤トレンチがダメなら鉱物脈法でいき、35m盤トレンチは参考データにするとさらりと方針転換を示している。しかし35m盤トレンチはS-4の活動性を否定する重要なデータとしてこれまで示されており、方針転換ならば何が明らかになり、何が課題として残ってるのかしっかり総括することが求められた。当然だ。
以上、北陸電力が「春にも結論」、それも「北陸電力の評価を了承」という結論を期待しているのはわかるが、審査会合でのコメントを見る限り、果たしてすんなりいくかどうかは現時点ではまだまだ不透明だということを指摘しておきたい。
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