北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

原子力防災・避難計画で金沢市へ質問書提出

2023-08-25 | 志賀原発


志賀原発の事故で避難住民を受け入れる金沢市に受け入れ課題を中心に質問書を提出し、意見交換を行う。
目的は受入れ課題を明らかにすること。



避難所の運営は地震や洪水など他の災害と基本的に同じと思われているが、原子力防災固有の課題も多くある。
例えば質問2で避難所の駐車場問題を聞いているが、何台来ることが想定されているのか、県から全く連絡はないとのこと。
地震等で地域住民が避難してくるときは基本的には徒歩。
これに対して能登からの避難では、江戸時代ではあるまいし、歩いて金沢まで来る人はいない。自家用車かバス。8割以上が自家用車だと思われるが、県はそういう基本的な調査すらしていない。受け入れ施設によっては明らかに駐車スペースが不足する施設もある。
学校の場合は運動場を駐車場として開放すればほぼ対応できるが、昨年末のような大雪となると受け入れはストップする。道路も渋滞で大混乱必至である。

今年の夏のような酷暑の中、避難施設となっている学校の体育館には冷房設備がない。
冷房の効いた寝室で寝ていた人が、蒸し風呂のような体育館で何週間も過ごせるとは到底思えない。

雪害時、そして猛暑時は原子力防災は破たんである。



避難退域時検査を通過せず、直接避難所へ来る住民もいると思われるが、県は対応を考えていない。混乱するのは現場である。
避難住民の被ばくだけでなく受付担当者の被ばく、汚染のリスクも想定しなければならない。

UPZ(5~30キロ圏)の住民の中には避難指示前に避難を開始する住民も3割近くいると思われるが、避難所開設は避難指示を受けてからとなっており、多くの避難住民が金沢市内を彷徨うことになる。

避難計画が策定されているからOKとは到底ならない。
今回初めて受入れ自治体を訪問し、現時点で対応できない課題が数多く残っていることが確認できた。
これらは金沢市だけではなく、白山市や津幡町、能登町や輪島市、珠洲市自治体にもほぼ共通する課題だと思われる。

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2023年8月25日

金沢市長
村 山  卓 様
さよなら!志賀原発ネットワーク
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
石川県平和運動センター
原水爆禁止石川県民会議
社民党石川県連合

原子力災害対策計画に関する質問書
 東京電力福島第一原発事故から12年が経過しました。いまだ原子力緊急事態宣言は発令中であり、事故収束の目途は立っていません。福島県では、今なお27,399人(福島県発表・2023.3月時点)もの人たちが故郷を追われ、避難生活を強いられています。過酷な避難行動や長引く避難生活の中で亡くなられた震災関連連死とされる人は2,333人を数えます。
 金沢市は志賀原発から30km圏外にありますが、東京電力福島第一原発事故を教訓とし、原子力災害に備えた原子力災害対策計画を策定しています。原子力災害から約46万の金沢市民、そして国内外から金沢を訪れる多くの人たちを守らなければならないという問題意識は私たちも共有したいと思います。
同時に金沢市は石川県避難計画要綱などで七尾市、羽咋市、宝達志水町の避難住民約8万8千人の避難先としても位置付けられています。私たちはこれまで避難元となる自治体担当者と避難行動について意見交換を重ねてきました。様々な課題が浮き彫りとなっていますが、避難行動は受入れ自治体の受け入れ態勢も含めた一連の取り組みの中で捉えていかなければなりません。原子力災害からの避難は、被ばく問題に加え、長距離・長時間の避難行動、そして長期にわたる避難生活という他の災害とは異なる特徴があります。受け入れ態勢は万全か、残された検討課題はないのか、以下質問をさせていただきます。

1. 市役所内の受入体制について
(1) 庁舎内の担当課や必要な要員数、それぞれの担当業務等を聞く。
(2) 避難元自治体である七尾市、羽咋市、宝達志水町と連絡体制や役割分担などの協議は行っているか。また児童生徒数や要配慮者数など基礎的情報の提供は受けているか。
(3) 避難者受入マニュアルは作成されているか。
(4) 避難元自治体で庁舎機能の移転が必要となった場合に備え、代替庁舎の候補施設を選定しておく必要があるのではないか。

2. 避難所の駐車場問題について
(1) 避難所が「周辺地域住民の避難所」として運営される場合は、駐車スペースは大きな問題とならないが、原子力災害の場合は自家用車による避難が大半を占めるため、駐車スペースの確保が重要となる。避難所の中には敷地内に駐車スペースを十分確保できない施設もある。対応方針を聞く。
(2) 避難所とされている学校では、グラウンドを駐車場として使用するかどうかで駐車台数は大きく違ってくる。学校が避難所となった場合のグラウンドの位置付けを聞く。
(3) 積雪時、駐車スペースは大幅に減少し、道路は避難車両で大渋滞となる。雪害レベルとなれば放射能から逃げる車両が立ち往生となり大混乱となる。避難計画の破たんは必至と思われるが、認識を聞く。

3. 避難退域時検査の確認について
(1) 避難所の受付で、避難退域時検査を受けたことを確認できない車両や避難者がいた場合の対応を聞く。

4. 避難所への受入及び運営体制について
(1) 避難所に必要な物資や機材は、避難者数に応じた量が備蓄されているか。受付や生活支援等に対応するのに十分な人員の配置は可能か。
(2) 各避難所で、避難者からの意見や相談等に対応するための相談窓口を設置することは可能か。

5. 福祉避難所の設置について
(1) 各避難所に設置のスペースはあるか。必要な物資や機材、専門人材の確保は可能か。

6. 長期避難への対応について
(1) 重大事故発生時、避難元の自治体は避難生活が数年から10年程度に及ぶ可能性もあると考えている。金沢市としては各施設を避難所として使用する期間はどの程度と想定しているか。
(2) 小中学校、高校、大学など多くの学校が避難所となっている。避難住民の生活と児童、生徒、学生の教育ができる限り共存できるような施設利用計画の策定が不可欠だと思うが、策定状況を聞く。
(3) 子どもたちの保育や教育、住宅の確保、新たな就職の場の確保等、避難生活が長期化した場合の避難者の課題は多岐にわたる。金沢市として支援できること、国や県の支援を求めなければならないこと等を整理しておく必要があるのではないか。

7. 避難所の収容人数について
(1) 金沢市の全避難施設の受入可能人数は46万4千人であり、受け入れスペースとしては十分余裕があるが、避難先として記載されている避難所を個々に見れば、避難対象地区の住民数が収容員数の9割以上となっている施設もある。収容人数を算定する基準となる「避難住民一人当たりの面積」を聞く。
(2) 感染症対策や良好な避難生活環境という観点から収容人数を見直し、避難先施設を再検討する必要があるのではないか。

8. 避難指示がない住民の受入れについて
(1)金沢市が避難者を受け入れる七尾市、羽咋市、宝達志水町はUPZ圏内であり、「すみやかに避難」の指示が出るのは空間線量が通常の約1万倍である500μSv/h以上となってからである。被ばくを回避するため、避難指示前に避難する、あるいは避難指示がない地域からの避難する住民も当然想定される。受入れできるようにすべきと考えるがどうか。

9.金沢市が屋内退避あるいは避難対象区域となった場合の対応について
(1)金沢市が屋内退避あるいは避難対象区域となる場合も想定しているか。
(2)屋内退避指示が出た場合の避難者受け入れ体制に与える影響を聞く。
(3)金沢市が避難対象レベルの汚染区域になった場合の対応を聞く。



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