北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

福島第一停電からみえてくるもの

2013-03-20 | 脱原発
 

北國新聞(3月20日)
 
 使用済み核燃料プールも含め、廃炉まで安定した状態で冷却を続けなければいけない福島第一原発で起こった長時間の停電。大事には至らなかったものの、数多くの問題が浮かび上がったのではないか。

素朴な疑問1.まだ確定ではないのかもしれないがネズミの感電死が配電盤故障の原因ではないかと見られている。これまた得意の「想定外」かもしれないが、あまりにもお粗末な仮設配電盤に重要な冷却を依存している実態を知り唖然。

素朴な疑問2.収束の実態は仮設頼みの綱渡りであることが明らかになった。次々と民主党政権時の政策を転換している安倍政権は、野田政権時の収束宣言をなぜ撤回しないのか。

素朴な疑問3.東電のマスコミへの公表が停電から3時間後。隠す体質は依然として変わらず。昨日の原子力防災の申し入れとも関連するが、新指針では5キロ圏内(PAZ)は一定の緊急事態が起これば放射能濃度に関係なく避難を開始することになる。その緊急事態のひとつには「全交流電源が5分以上喪失」なども含まれている。通報がなかったらたとえ避難の基準が決められていても意味をなさないではないか。

素朴な疑問4.原子力規制委員会の田中委員長は停電から10分後に連絡を受けていたとのこと。東電が公表しないなら、規制委員会が公表すればいいではないか。国への情報の一元化は電力・国の情報隠しを生むという警告ではないか。

素朴な疑問5.福島県へは40分後に通報があった。これも遅いが、福島県からも情報はでなかった。住民に伝える市町村はまたもや蚊帳の外ではないか。

 今月16日には総合資源エネルギー調査会が民主党時代の2030年代原発ゼロ見直し作業に着手した。

 昨日は規制委員会の田中委員長が大飯原発を定検の9月まで運転を認める可能性を示唆した。7月に新基準ができるのだから、当然その基準の下で安全が確認されるまで停止しなければならないはずだ。確実に腰が引け始めてきている。
 安倍政権の再稼働容認方針が、政府から独立しているはずの規制委員会にも徐々に浸透しつつあるのではないか。

 事故原因さえ究明されない中の再稼働容認方針は、福島を忘れたということとイコールである。そんな政権交代による政策転換、風向きの変化が、規制委員会だけでなく国有化された東電の現場にも確実に浸透しつつあるのではないか。
 通報の遅れは、国民の目線を気にしなくてもいいという従来からの東電の体質が、あらためて社会的・政治的に容認されたぞという大いなる勘違いの中での対応だったのではないか。


コメントを投稿