北野進の活動日記

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今日の一般質問 安保法案関係の答弁を紹介

2015-09-08 | 珠洲市議会
 今日の一般質問、安保法案関係の箇所だけ、まず報告します(実際は一問一答ではありません)。
後ろに私の解説を加えました。
 ※他の答弁は近日中に

<北野 Q1.安保法案と自治体の関係
 参議院の審議が大きなヤマ場を迎えた安保関連法案、いわゆる戦争法案についてお聞きします。
昨年の7月1日、まさに安倍政権が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を閣議決定するというその日に私は一般質問でこの動きに対する市長の見解を問いました。この時の答弁は「珠洲市長として、珠洲市議会においてお答えする見解は持ち合わせておりません」とのことでした。
 その後、この閣議決定を受けて集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法改正案など10法案を一括した平和安全法制整備法と、米軍などの戦争を自衛隊がいつでもどこででも支援できるようにする国際平和支援法案が国会に提出されました。法案が違憲であることはすでに多くの憲法学者らが指摘し、連日の国会審議の中でも明らかとなっており、廃案を求める国民各界各層の声が日増しに強まっています。
にもかかわらずこの戦争法案に対して、自治体の首長からはほとんど発言が聞かれません。安全保障は国の専管事項だから、あるいは安倍政権に対して弓は引けない、そんな政治判断かもしれませんが、自治体の行政のトップとしてそのような対応が果たして許されるのか、そういう観点から以下3点、質問をさせていただきます。
 自衛隊法をはじめとした安全保障関係の法令の中で地方自治体の法定受託事務、つまりそもそも国の仕事だけど、法律で自治体に事務処理が義務づけられているのは自衛官募集と国民保護計画の策定だけかと思います。1998年制定の周辺事態法、2003年に制定された有事関連3法、翌2004年に制定された有事関連7法、ここには国民保護法も含まれますが、これら現行の有事関連法の中には自治体に対して義務付けではなく協力を要請するという規定を設けているものがあるかと思います。市として把握している規定をすべてお聞きしたいと思います。
 
<市長>
 現行の安保関連法案のうち、武力攻撃事態対処法におきましては、地方公共団体は武力攻撃事態等における住民の生命、身体および財産の保護に関し、国の方針に基づく措置の実施、その他、適切な役割を担うことを基本とされております。その他、武力攻撃事態等におきまして、国等から必要とされる要請におきまして協力する、または関係機関と連携することなどが、自衛隊法、周辺事態法、米軍行動関連措置法、および特定公共施設利用法で規定されていることは認識しております。 


<北野 Q2.安保法案は国の専権事項ではなく自治体も当事者
 例えば今回の改正案で重要影響事態法と名称が変わる周辺事態法は、地方公共団体の長に対してその有する権限について必要な協力を求めることができると定めています。なぜ緊急事態にも関わらず協力要請というある意味まだるっこしい規定になっているかと言えば、日本国憲法は内閣に全権限を一元化する非常事態条項を設けていないからです。戦力保持も交戦権も否定し、万が一の戦争という事態を想定していませんから当然のことです。これでは戦争はできないということで自民党は緊急事態法の制定をめざし、珠洲市議会も2012年12月議会で、緊急事態法の制定を求める意見書を、私を除く全議員の賛成で可決しています。しかし、そのような憲法を超越する緊急事態法は制定されていません。現在の法体系の下では、いかなる緊急事態であっても基本的人権は尊重され、地方自治の規定も生き続けます。政府がやりたい放題できる法体系にはなっていないわけです。したがって、国からの協力要請に対して市長の判断が問われる局面が多々あるものと私は思います。安全保障は国の専管事項だと言われてきましたが、皮肉なことに有事法制は市長を安全保障の当事者の1人として押し上げたのではないかでしょうか。市長の所見をお聞きします。 

<市長>
 安保法制において地方自治体が当事者であるかどうかはさておき・・・


<北野 Q3.市長が口をつぐむことは許されない
 集団的自衛権の行使を含む新たな安保法制によって、戦争への協力を求められる自治体のリスクは確実に高まるわけで、議会で答える見解を持ち合わせていないなどということはあってはならないと私は思います。憲法尊重擁護義務を負う市長として、そして市民の安全を守る立場にある市長として決して口をつぐむことなく、多くの国民、市民とともに安保法案反対の声を上げていくべきだと思いますが、あらためて見解をお聞きしたいと思います。

<市長>
 我が国を取り巻く国際情勢が複雑かつ厳しさを増す状況があるものの、安全保障関連法案の審議については国民がこれらの法案に対して十分な理解が得られるようより一層説明責任を果たし、世論の把握に努めるとともに、慎重かつ十分な審議を尽くすことを願っております。


<北野解説>
Q1は意外と知られていない安保法と自治体の関係。事実関係をまず確認。
全国的には金沢でも開催したことがある「非核・平和条例を考える全国集会」での議論がこのテーマの先端のいくと思うが、今回は中山均新潟市議が作成した資料も参考にさせてもらった。

Q2.自治体が安保法の中に位置づけられていて、しかも対応を強制されていない。つまり自治体の対応が問われるわけで、そういう意味では「自治体も安保法の当事者」だというのが私の見解。もっとも市長が答弁で「私も安全保障政策の当事者の1人」と言えるほどこの議論は熟していなのでQ2の答弁はやむを得ないか。Q3の答弁につなげるための問いなので再質問はなし。
ちなみに市長だけが自治体の当事者ではない。議会も市民も当事者意識を持つことが大事。

Q3.答弁をどう読むか。
「十分な理解が得られるよう」=現状十分な理解が得られていない
「一層説明責任を果たし」=まだまだ説明が足りない
「世論の把握に努めるととともに」=国民の声を聞くべき
「慎重かつ十分な審議を尽くすことを願う」=強行採決はだめ
右辺は私の解釈だが、市議会が6月議会で安保法案反対の請願を不採択にする中、市長としては精いっぱいの答弁と受けとめたい。


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