今日は珠洲市議会9月定例会の一般質問。
以下、私の質問原稿です。
質問の要旨は9月3日のブログをご参照ください。
正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います。
戦後70年の節目の年、国会前をはじめ全国各地で連日、憲法守れ、戦争法案絶対廃案、憲法読めない総理はやめろ、そんな叫びが響き渡っています。
まず、参議院の審議が大きなヤマ場を迎えた安保関連法案、いわゆる戦争法案についてお聞きします。
昨年の7月1日、まさに安倍政権が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を閣議決定するというその日に私は一般質問でこの動きに対する市長の見解を問いました。この時の答弁は「珠洲市長として、珠洲市議会においてお答えする見解は持ち合わせておりません」とのことでした。
その後、この閣議決定を受けて集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法改正案など10法案を一括した平和安全法制整備法と、米軍などの戦争を自衛隊がいつでもどこででも支援できるようにする国際平和支援法案が国会に提出されました。法案が違憲であることはすでに多くの憲法学者らが指摘し、連日の国会審議の中でも明らかとなっており、廃案を求める国民各界各層の声が日増しに強まっています。
にもかかわらずこの戦争法案に対して、自治体の首長からはほとんど発言が聞かれません。安全保障は国の専管事項だから、あるいは安倍政権に対して弓は引けない、そんな政治判断かもしれませんが、自治体の行政のトップとしてそのような対応が果たして許されるのか、そういう観点から以下3点、質問をさせていただきます。
自衛隊法をはじめとした安全保障関係の法令の中で地方自治体の法定受託事務、つまりそもそも国の仕事だけど、法律で自治体に事務処理が義務づけられているのは自衛官募集と国民保護計画の策定だけかと思います。1998年制定の周辺事態法、2003年に制定された有事関連3法、翌2004年に制定された有事関連7法、ここには国民保護法も含まれますが、これら現行の有事関連法の中には自治体に対して義務付けではなく協力を要請するという規定を設けているものがあるかと思います。市として把握している規定をすべてお聞きしたいと思います。
例えば今回の改正案で重要影響事態法と名称が変わる周辺事態法は、地方公共団体の長に対してその有する権限について必要な協力を求めることができると定めています。なぜ緊急事態にも関わらず協力要請というある意味まだるっこしい規定になっているかと言えば、日本国憲法は内閣に全権限を一元化する非常事態条項を設けていないからです。戦力保持も交戦権も否定し、万が一の戦争という事態を想定していませんから当然のことです。これでは戦争はできないということで自民党は緊急事態法の制定をめざし、珠洲市議会も2012年12月議会で、緊急事態法の制定を求める意見書を、私を除く全議員の賛成で可決しています。しかし、そのような憲法を超越する緊急事態法は制定されていません。現在の法体系の下では、いかなる緊急事態であっても基本的人権は尊重され、地方自治の規定も生き続けます。政府がやりたい放題できる法体系にはなっていないわけです。したがって、国からの協力要請に対して市長の判断が問われる局面が多々あるものと私は思います。安全保障は国の専管事項だと言われてきましたが、皮肉なことに有事法制は市長を安全保障の当事者の1人として押し上げたのではないかでしょうか。市長の所見をお聞きします。
集団的自衛権の行使を含む新たな安保法制によって、戦争への協力を求められる自治体のリスクは確実に高まるわけで、議会で答える見解を持ち合わせていないなどということはあってはならないと私は思います。憲法尊重擁護義務を負う市長として、そして市民の安全を守る立場にある市長として決して口をつぐむことなく、多くの国民、市民とともに安保法案反対の声を上げていくべきだと思いますが、あらためて見解をお聞きしたいと思います。
次にふるさと納税制度についてお聞きします。
この制度は「ふるさと」という表現で郷愁を誘い、納付先の選択があたかも納税者の権利を拡大させたかのような印象を与えますが、基本的には自治体間の地方税の奪い合い競争であり、それを国が煽っているだけのことです。本来なら地方六団体こぞって政府税調に中止を求めるべき欠陥制度だと私は思います。地方財政論の重鎮である神野直彦東大名誉教授は、財政民主主義が揺らぐ、受益者負担の原則に反する、地域コミュニティの崩壊を助長する、歳入の見通しが不透明になるといった問題点を指摘し、民主主義の破壊につながると厳しく批判していますが、まったく同感です。
そういう意味で、珠洲市がこの間、全国的に加熱する特産品競争に参入せず、納付者の思いを大切にしながら冷静な対応をしてきたことは私なりに評価してきたつもりです。しかしながら安倍政権は地方創生の目玉として今年度はさらに制度拡充を図り、さらに来年度からはふるさと納税企業版を創設する方針まで示しました。こうした中、市長は先の6月議会で特典競争への参入を検討すると方針転換を表明したわけです。そこで以下3点お聞きします。
制度が拡充され、もはやお題目の「ふるさと」すら吹っ飛んだと私は思います。皆さんそれぞれ我が家の家計だけで判断するならば、珠洲市民であってもズワイガニが欲しければお店で買うより輪島市に納税したほうが得、牡蠣が欲しければ穴水町に納税した方が得をします。さらに、東京や大阪など都市部の自治体も税金流出を傍観し続けるわけにはいかないと特典競争に参入する動きが出てきました。自治体間の仁義なき戦い、ふるさとなき戦いです。制度を利用しやすくすればするほど制度の矛盾が露呈し、先ほどの神野教授が指摘した矛盾が一層噴出し、制度自体が破たんするのではないかと私は思います。市長はふるさと納税制度の将来展望をどのように見ておられるでしょうか。
2点目、短期的には特典競争に参入することはやむを得ないと思います。ただし後発の珠洲市として、新たな納税者と返礼品を売買するような関係だけで終わってほしくはありません。納税の自己決定権が生かされるよう珠洲市政やまちづくりへの様々な提言を求めたり、あるいは市内の宿泊特典を付け「自分のふるさと」という意識をもってもらう関係づくりを進めるなど、制度本来の趣旨を最大限生かしていくべきだと思いますがいかがでしょうか。
3点目、北海道ニセコ町長や福島県飯館村長ら7自治体の首長らは先月、ふるさと納税を自治体間の住民税の奪い合いに終わらせず、その本来の趣旨を生かし、まちづくりや住民自治に貢献してもらう観点から「ふるさと住民票」を納税者に交付する制度を提案しています。ふるさと納税者だけでなく市外に住む固定資産税納入者や国土交通省がかねてから提唱している複数地域居住をする人、さらには広く本市にゆかりのある方も対象にして「ふるさと住民票」を交付し、珠洲の応援団を拡大していってはどうかとも思いますがいかがでしょうか。
次に移住者の受入促進についてお聞きします。
先月、県が銀座に開いたアンテナショップ「いしかわ百万石物語 江戸本店」に立ち寄ってきました。ご存じのように店内は県内の特産品の販売や飲食コーナーだけではなく、観光案内や移住相談コーナーも設けられています。ここで伺った話やいただいた資料を少し紹介させていただきます。
これは穴水町のパンフレットです。穴水町での暮らしを16ページにわたって懇切丁寧に紹介しています。
かほく市のパンフはA3の二つ折りですが、高松サービスエリアで私たちもよく目にする「住宅取得最大256万円サポート」を目玉に、新居にも子育て支援にもやさしいまちをアピールしています。
金沢市は14ページにわたって高齢世帯も意識しながら街中への移住奨励制度を詳しく紹介しています。
能美市もA3の二つ折りですが子育て支援、学びの環境の充実を前面に押し出しています。
一番充実しているのは七尾市で、16ページにわたって世界農業遺産に認定された歴史や文化、環境の魅力をアピールし、さらに別冊で手厚い住宅支援策や安心の暮らしを紹介しています。
さて珠洲市ですが、市長はご存じでしょうか。A4ペーパーの裏表だけ。内容以前にガッカリするやら、恥ずかしいやら。もちろんパンフだけで移住を決める人はいませんが、最初の出会いは大切です。
昨年の9月議会で私は増田寛也氏が提唱した自治体消滅論を批判し、近年、消滅自治体と名指しされた田舎の自治体に都会から若者が移住する流れがあり、特にその傾向は東日本大震災以降顕著になっていると指摘し、このような時代の流れを受けとめることが大事だと指摘しました。
これに対する市長答弁は、田園回帰の流れは里山マイスター事業を通して実感しており、ひきつづき大学連携事業などを通じながら本市の魅力や質を高め、田園回帰の流れをつかんでいきたいとのことでした。
確かに珠洲には里山マイスターの取り組みがあり、域学連携も他の自治体に先行したものがあります。これらを通じて珠洲に移住した人たちは目的意識が明確で、田舎で暮らしていくたくましさも備えています。まずはこの強みを発揮して移住者を受け入れていく、その方針は間違いではないと思います。
一方、アンテナショップには、田舎暮らしへの憧れ、あるいは興味、関心がある、まだその段階という方もこられます。移住先も山陰地方や九州、長野など全国各地の田舎を対象に検討している方もいます。ここに来られる方は40代が7割を占めるそうです。先ほどパンフレットを紹介したように他の自治体は田舎暮らしに憧れるような人たちにもしっかり間口を広げてアプローチし、我が町の特徴、強みをアピールしています。
さて、今週末に11回目となるふるさと回帰フェアが東京で開催され、珠洲市も参加を予定しているようです。本市が受け入れ対象と考えているのはどのような層の人たちでしょうか。
また、本市への移住を決断する際に何が重要な要素と考えているのでしょうか。
本市へ移住したいという明確な目的意識をもった人だけでなく、田舎暮らしに憧れる若い都市住民の中にも珠洲との出会いで人生の転機が訪れる人が少なからずいるのではないでしょうか。積極的にアプローチし、田園回帰の流れをさらに大きくつかんでいくべきだと思いますがいかがでしょうか。
次に6月議会でも質問しましたマイナンバー制度、そして今議会で改正案が提案されている個人情報保護条例についてお聞きします。
法律では番号法ですが、内閣官房のホームページなどではマイナンバー社会保障・税番号制度として紹介されています。番号法、マイナンバー、いずれも制度の本質を隠すネーミングだと私は思います。いまのコンピューター社会、自分に番号が割り当てられること自体は全く目新しい話ではありません。年金番号や運転免許証の番号、病院の診察券や図書館の利用券にも番号が付いています。今回の番号法に基づくマイナンバー制度の最大の特徴は、これらの番号を統一し、共通番号とする点にあります。これによって行政の効率化が部分的には進むかもしれませんが、それに以上に情報の悪用価値が上がり、流出のリスクが飛躍的に高まります。管理社会への懸念も強まります。共通番号は世界各国の常識であるかのような暴論もときどき耳にしますが、全国民強制、生涯不変、官民共通利用は韓国やシンガポールなど世界でもごく一部の国にしかなく、韓国では情報の大量流出、なりすまし被害が年々深刻化しています。
そんな共通番号制度のスタートが目前に迫ってきました。6月議会では法定受託事務、つまり国の仕事だから自治体は勝手に抜けることはできない仕組みであるにもかかわらず、珠洲市にも多額の費用負担があることが明らかになりました。今回はもっとも懸念される情報流出リスクを中心にお聞きしたいと思います。
まず情報の管理責任についてです。共通番号制度は番号法によって実施が決まり、法定受託事務とされていますが、国の事務とされているのは個人番号の付番と個人番号カードの交付だけかと思います。個人番号が付いた特定個人情報の管理責任はあくまで珠洲市にある、そのように理解してよろしいでしょうか。
次に、今議会では番号法の施行に伴う特定個人情報の取り扱いについての規定を改める個人情報保護条例改正案が提案されています。この改正を受けて提供された特定個人情報が仮に第三者に漏えいし、市民が被害を被った場合、珠洲市が責任を負うこともありうるのでしょうか。
特に懸念されているのが、運営の委託を予定する地方公共団体情報システム機構が管理する中間サーバーからの情報漏えいです。おそらくは全自治体、すなわち全国民のデータがここで集中管理されることになると思われますので、セキュリティが破られたら大変な事態となります。セキュリティは万全でしょうか。このセキュリティとはサイバー攻撃など外部からの侵入に限りません。アメリカCIAのスノーデン氏の例を持ち出すまでもなく、内部の人、あるいは容易にアクセスできる人による情報持ち出しも、共通番号の経済的悪用価値が高いだけに懸念されます。例えば警察関係者がすべての住民情報を収集した場合、珠洲市として察知できるでしょうか。マイ・ポータルで市民は自己情報へのアクセス履歴を確認することが可能でしょうか。
関連して6月議会の答弁では、珠洲市は個人情報保護評価を終えているとのことでしたが、特定個人情報保護委員会がリスク対策は十分とお墨付きを与えていた年金データの大量流出が明らかになったのは6月1日のことでした。国のリスク評価に対する信頼が大きく揺らいだわけですが、珠洲市の個人情報保護評価は年金データ流出事件の原因分析や対策を踏まえたものでしょうか。
あと一点、来月から個人番号通知カードが全世帯に簡易書留で送られてくるわけですが、全国平均では少なくとも5%の世帯に届かない可能性があると見られているようです。珠洲市は比較的少ないだろうとは思いますが、それでもゼロではないでしょう。届かなかった人への対応をお聞きします。また、今後、自分の個人番号を把握していない場合、どのような不都合、不利益が予想されるのかについてもお聞きしておきたいと思います。
次に新病院改革プラン策定についてお聞きします。
珠洲市総合病院は平成23年度から3年間、黒字が続いてきました。しかし、昨年度は実質的には黒字ですが、新会計制度導入による退職引当金の一括計上で会計上は赤字、そして今年度は予算の段階で赤字が想定されています。全国的にみても平成19年に示された公立病院改革ガイドラインを踏まえた改革プランの策定で黒字病院は増えましたが、平成25年度からは減少に向かっており、珠洲市総合病院も全国的な傾向と軌を一にしているようです。こうした中、今年3月に総務省が新たに示した新ガイドラインを踏まえた新病院改革プランの策定作業に今年度中に着手するとのことです。今回の新ガイドラインによって、珠洲市を含め全国の自治体病院が再び黒字路線へと向かえば結構なことですが、どうも雲行きは怪しいのではないか、そのあたりの懸念から以下質問をさせていただきます。
今回示された新ガイドラインですが、これは前ガイドラインで示された改革が狙い通り進んでいないという総務省の危機感から出されたものです。前ガイドラインの内容、あらためて確認しますと、経営の効率化による病院経営の黒字化を促しただけでなく、再編・ネットワーク化を掲げて病院の統合を促し、あるいは経営形態の見直しを掲げて独立行政法人化や指定管理の導入、あるいは民間への譲渡を進めました。新ガイドラインは再編・ネットワーク化や経営形態の見直しをもっと進めろという基本方針の下、県が定める地域医療構想に事実上の強制力まで持たせたのが大きな特徴です。地域医療を担う公立病院の重要性を謳いつつも、経営の厳しい病院は統合や民営化の方向へ持って行こうとする方針がさらに強まったとみておかなければいけません。
そこであらためて問われる経営内容ですが、昨年度から導入された新会計制度が曲者と言わざるをえません。昨年度の決算が出されましたが、退職引当金の一括計上を除いて、仮に従来から同様の経営内容であっても財務諸表は悪化するようになったのではないでしょうか。旧会計制度からの主な変更点と経営判断への影響をまずお聞きしたいと思います。
8億7600万円余の累積赤字についてもお聞きします。その要因として、私は消費税の損税や診療報酬のマイナス改定など病院の経営努力の範囲外の要因がかなり大きいのではないかと思いますがいかがでしょうか。特に消費税については、病院が仕入れる物品や委託料には消費税がかかりますが、医療サービスは非課税ですから決算上は損税として多額の経費負担を強いられます。ちなみに平成25年度は8827万円、8%に引き上げられた平成26年度は1億3773万円にも上ります。似たような構造である輸出企業は消費税還付金、いわゆる輸出戻し税があり、トヨタなど輸出関連大企業は史上空前の内部留保を貯めこんでいます。病院に対しても同様の制度があれば巨額の累積黒字を蓄えることができたわけで、笑えない税制の歪みがあります。還付金制度など税制改正が是非とも必要だと思いますが、関係団体の動きなど把握しておられるならばあわせてお聞かせいただきたいと思います。
さて、こうした経営外の事情もある中で、今年度の病院事業会計予算は2億4000万円の赤字を見込んでいます。新病院改革プランは経常黒字化と、それを維持するように求めているわけですが、2017年4月には消費税の10%への引き上げが予定されており、さらに経営が圧迫されること必至です。6月議会では今後の経営について、地域包括ケア病床の設置とともに医療スタッフの有効配置も示されましたが、黒字化を迫られる中、医療スタッフの労働条件が悪化することはないのか心配されます。そのようなことは医療スタッフの不足につながり、労働環境のますますの悪化へと悪循環に陥るわけで、あってはならないわけですが、労働環境は悪化させないという見通しをぜひお聞かせいただきたいと思います。
関連して珠洲市総合病院の看護師さんの離職率、公務災害1000人率について、それぞれ全国平均、県平均との比較も含めて現状をお聞きしておきたいと思います。
次に教育関係の質問に入ります。まず就学時検診のあり方についてです。
まもなく来年度入学予定の子どもたちを対象とした就学時検診がおこなわれます。珠洲市では各小学校の校区に住んでいる子どもたちを対象に学校ごとに実施されています。入学する子どもたちの様子を前もって把握しやすいというメリットは否定しませんが、市内の新入生は他市へ行けば二クラス分の人数です。そもそも法律で定められた就学時検診の目的、すなわち保健上必要な助言や就学に関する指導のためならば学校ごとに実施する必要はありません。地域に残した学校に、従来通りすべての機能を残す必要はなく、各学校の負担や経費を考えても、この際、市内1カ所で実施してもいいのではないでしょうか。
関連してその内容ですが、知能検査については、その検査の有効性や必要性自体にも疑問が示されています。中止し、面接などに替えるべきではないか思いますが所見お聞きしたいと思います。
次に小中学校の職場環境の改善について以下4点お聞きします。
田中教育長にはこの間、幾度となく全国学力テストの順位争いの過熱化による弊害を指摘し、改善を求めてきましたが、残念ながら議論はすれ違いで今日を迎えました。今年度の学力テストの結果も石川県全体としては引き続き上位を維持しましたが、成績アップの手段は徹底的に過去問を繰り返すこと、これが全国的に半ば常識となりつつあるのではないでしょうか。県教委も調査結果を指導力の改善、向上につなげるという建前を語る裏で、来年度に向けた学力向上対策として、従来12月に行っていた評価問題、すなわち学力テストの事前の対策問題を2月にも重ねて実施する方針と聞きます。こんな勉強は本来の勉強ではないと思っても、学力テストの成績が下がればなお補習に追われる構図があります。学力テストを翌年に控えた小5、中2を担当する先生の負担は大きく、おそらくそれ以上に校長先生、教頭先生のプレッシャーも大変なものと推察します。特に校長、教頭先生には勤勉手当と連動した人事評価も導入されており、競争の過熱化とこのような管理強化が、管理職の過重な負担、教職員の超勤多忙化、パワハラ、心身の健康障害などの教育現場に多種多様な弊害を生んではいるのではないでしょうか。田中教育長には最後の議会答弁としてぜひ率直な思いをお聞かせいただきたいと思います。
他県と比較し全県的に休職する教職員の割合が高いなど教職員の健康が損なわれていることも繰り返し指摘してきました。休職に至らないまでも薬を服用しながらギリギリの状態で勤務を続けている方もおられます。そこで市内に勤務する教職員の定期健康診断における有所見率の割合とその推移についてもお聞きをしておきたいと思います。
多忙化の解消もしつこいくらい取り上げてきました。その一因として報告書類の増加があります。削減はごく一部、その一方で次々と新しい報告書類が増えていると聞きます。ただ件数が増えているだけではありません。なぜ必要なのか活用目的が不明な報告、提出後の集計報告がなく果たして活用されているのかどうかもわからない報告、あるいは類似の報告を重ねて求められるなど、民間企業ではありえないことです。これでは現場は多忙化に加え教育長が述べてきた多忙感や、さらには徒労感にもつながるのではないでしょうか。県教委の責任も大きいとは思いますが、現場に求める報告書類はこの際、しっかり精査をすべきだと思います。いかがでしょうか。
あと一点は4年前にも提案したICT支援員の採用についてです。この4年間で教室のICT機器やデジタル教材、かなり充実してきました。タブレットも一部で入りました。まだまだ先を走る自治体は多くありますが、ハード面で言うなら最低限のICT環境は整ってきたように思います。私は次の一手こそICT支援員の採用だと思います。能登町から市内の学校に移動された先生は異口同音、能登町のICT支援員の存在は有り難かったと言われます。どなたでも経験はあると思いますが新しい機器を購入したときは最初の設定から基本的な操作方法も含め、必ずと言っていいほど四苦八苦、試行錯誤の期間があります。わかってしまえば簡単なことでも最初は超難問です。自分の趣味で購入したものならいざ知らず、職員室でパソコン相手に悪戦苦闘するのは時間と労力の無駄、そして精神衛生上も決してよくはありません。先生は教育のプロであってもパソコンのプロではありませんし、プロである必要もありません。文科省も推奨していますが、機器のメンテナンスや授業で効果的に活用するための指導助言、校務で使用するソフトウエアの設定や説明など、授業や校務での支援分野はたくさんあります。教職員の多忙化解消にもつながります。ぜひICT支援員を採用する前向きの答弁で締めくくっていただき、多田新教育長へ引き継ぎをお願いしたいと思います。
質問の最後は市長が提案説明の中で述べられた田中教育長の功績についてです。小中一貫教育の導入はその通りです。児童・生徒の読書活動の充実も学校図書館司書の配置や図書予算の増額で、その成果は顕著だと思います。ふるさと教育の推進も、総合の時間の授業実践やふるさと珠洲科の発表を通じて感じられます。加えて「先進的な教育環境の整備」とも言われたわけですが、これは具体的に何を指すのでしょうか。今年度から総合教育会議を主宰し、教育に関する総合的な施策の大綱を定める市長として、8年4カ月にわたる田中教育長の足跡の何を重視するのか注目し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
以下、私の質問原稿です。
質問の要旨は9月3日のブログをご参照ください。
正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います。
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戦後70年の節目の年、国会前をはじめ全国各地で連日、憲法守れ、戦争法案絶対廃案、憲法読めない総理はやめろ、そんな叫びが響き渡っています。
まず、参議院の審議が大きなヤマ場を迎えた安保関連法案、いわゆる戦争法案についてお聞きします。
昨年の7月1日、まさに安倍政権が集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更を閣議決定するというその日に私は一般質問でこの動きに対する市長の見解を問いました。この時の答弁は「珠洲市長として、珠洲市議会においてお答えする見解は持ち合わせておりません」とのことでした。
その後、この閣議決定を受けて集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法改正案など10法案を一括した平和安全法制整備法と、米軍などの戦争を自衛隊がいつでもどこででも支援できるようにする国際平和支援法案が国会に提出されました。法案が違憲であることはすでに多くの憲法学者らが指摘し、連日の国会審議の中でも明らかとなっており、廃案を求める国民各界各層の声が日増しに強まっています。
にもかかわらずこの戦争法案に対して、自治体の首長からはほとんど発言が聞かれません。安全保障は国の専管事項だから、あるいは安倍政権に対して弓は引けない、そんな政治判断かもしれませんが、自治体の行政のトップとしてそのような対応が果たして許されるのか、そういう観点から以下3点、質問をさせていただきます。
自衛隊法をはじめとした安全保障関係の法令の中で地方自治体の法定受託事務、つまりそもそも国の仕事だけど、法律で自治体に事務処理が義務づけられているのは自衛官募集と国民保護計画の策定だけかと思います。1998年制定の周辺事態法、2003年に制定された有事関連3法、翌2004年に制定された有事関連7法、ここには国民保護法も含まれますが、これら現行の有事関連法の中には自治体に対して義務付けではなく協力を要請するという規定を設けているものがあるかと思います。市として把握している規定をすべてお聞きしたいと思います。
例えば今回の改正案で重要影響事態法と名称が変わる周辺事態法は、地方公共団体の長に対してその有する権限について必要な協力を求めることができると定めています。なぜ緊急事態にも関わらず協力要請というある意味まだるっこしい規定になっているかと言えば、日本国憲法は内閣に全権限を一元化する非常事態条項を設けていないからです。戦力保持も交戦権も否定し、万が一の戦争という事態を想定していませんから当然のことです。これでは戦争はできないということで自民党は緊急事態法の制定をめざし、珠洲市議会も2012年12月議会で、緊急事態法の制定を求める意見書を、私を除く全議員の賛成で可決しています。しかし、そのような憲法を超越する緊急事態法は制定されていません。現在の法体系の下では、いかなる緊急事態であっても基本的人権は尊重され、地方自治の規定も生き続けます。政府がやりたい放題できる法体系にはなっていないわけです。したがって、国からの協力要請に対して市長の判断が問われる局面が多々あるものと私は思います。安全保障は国の専管事項だと言われてきましたが、皮肉なことに有事法制は市長を安全保障の当事者の1人として押し上げたのではないかでしょうか。市長の所見をお聞きします。
集団的自衛権の行使を含む新たな安保法制によって、戦争への協力を求められる自治体のリスクは確実に高まるわけで、議会で答える見解を持ち合わせていないなどということはあってはならないと私は思います。憲法尊重擁護義務を負う市長として、そして市民の安全を守る立場にある市長として決して口をつぐむことなく、多くの国民、市民とともに安保法案反対の声を上げていくべきだと思いますが、あらためて見解をお聞きしたいと思います。
次にふるさと納税制度についてお聞きします。
この制度は「ふるさと」という表現で郷愁を誘い、納付先の選択があたかも納税者の権利を拡大させたかのような印象を与えますが、基本的には自治体間の地方税の奪い合い競争であり、それを国が煽っているだけのことです。本来なら地方六団体こぞって政府税調に中止を求めるべき欠陥制度だと私は思います。地方財政論の重鎮である神野直彦東大名誉教授は、財政民主主義が揺らぐ、受益者負担の原則に反する、地域コミュニティの崩壊を助長する、歳入の見通しが不透明になるといった問題点を指摘し、民主主義の破壊につながると厳しく批判していますが、まったく同感です。
そういう意味で、珠洲市がこの間、全国的に加熱する特産品競争に参入せず、納付者の思いを大切にしながら冷静な対応をしてきたことは私なりに評価してきたつもりです。しかしながら安倍政権は地方創生の目玉として今年度はさらに制度拡充を図り、さらに来年度からはふるさと納税企業版を創設する方針まで示しました。こうした中、市長は先の6月議会で特典競争への参入を検討すると方針転換を表明したわけです。そこで以下3点お聞きします。
制度が拡充され、もはやお題目の「ふるさと」すら吹っ飛んだと私は思います。皆さんそれぞれ我が家の家計だけで判断するならば、珠洲市民であってもズワイガニが欲しければお店で買うより輪島市に納税したほうが得、牡蠣が欲しければ穴水町に納税した方が得をします。さらに、東京や大阪など都市部の自治体も税金流出を傍観し続けるわけにはいかないと特典競争に参入する動きが出てきました。自治体間の仁義なき戦い、ふるさとなき戦いです。制度を利用しやすくすればするほど制度の矛盾が露呈し、先ほどの神野教授が指摘した矛盾が一層噴出し、制度自体が破たんするのではないかと私は思います。市長はふるさと納税制度の将来展望をどのように見ておられるでしょうか。
2点目、短期的には特典競争に参入することはやむを得ないと思います。ただし後発の珠洲市として、新たな納税者と返礼品を売買するような関係だけで終わってほしくはありません。納税の自己決定権が生かされるよう珠洲市政やまちづくりへの様々な提言を求めたり、あるいは市内の宿泊特典を付け「自分のふるさと」という意識をもってもらう関係づくりを進めるなど、制度本来の趣旨を最大限生かしていくべきだと思いますがいかがでしょうか。
3点目、北海道ニセコ町長や福島県飯館村長ら7自治体の首長らは先月、ふるさと納税を自治体間の住民税の奪い合いに終わらせず、その本来の趣旨を生かし、まちづくりや住民自治に貢献してもらう観点から「ふるさと住民票」を納税者に交付する制度を提案しています。ふるさと納税者だけでなく市外に住む固定資産税納入者や国土交通省がかねてから提唱している複数地域居住をする人、さらには広く本市にゆかりのある方も対象にして「ふるさと住民票」を交付し、珠洲の応援団を拡大していってはどうかとも思いますがいかがでしょうか。
次に移住者の受入促進についてお聞きします。
先月、県が銀座に開いたアンテナショップ「いしかわ百万石物語 江戸本店」に立ち寄ってきました。ご存じのように店内は県内の特産品の販売や飲食コーナーだけではなく、観光案内や移住相談コーナーも設けられています。ここで伺った話やいただいた資料を少し紹介させていただきます。
これは穴水町のパンフレットです。穴水町での暮らしを16ページにわたって懇切丁寧に紹介しています。
かほく市のパンフはA3の二つ折りですが、高松サービスエリアで私たちもよく目にする「住宅取得最大256万円サポート」を目玉に、新居にも子育て支援にもやさしいまちをアピールしています。
金沢市は14ページにわたって高齢世帯も意識しながら街中への移住奨励制度を詳しく紹介しています。
能美市もA3の二つ折りですが子育て支援、学びの環境の充実を前面に押し出しています。
一番充実しているのは七尾市で、16ページにわたって世界農業遺産に認定された歴史や文化、環境の魅力をアピールし、さらに別冊で手厚い住宅支援策や安心の暮らしを紹介しています。
さて珠洲市ですが、市長はご存じでしょうか。A4ペーパーの裏表だけ。内容以前にガッカリするやら、恥ずかしいやら。もちろんパンフだけで移住を決める人はいませんが、最初の出会いは大切です。
昨年の9月議会で私は増田寛也氏が提唱した自治体消滅論を批判し、近年、消滅自治体と名指しされた田舎の自治体に都会から若者が移住する流れがあり、特にその傾向は東日本大震災以降顕著になっていると指摘し、このような時代の流れを受けとめることが大事だと指摘しました。
これに対する市長答弁は、田園回帰の流れは里山マイスター事業を通して実感しており、ひきつづき大学連携事業などを通じながら本市の魅力や質を高め、田園回帰の流れをつかんでいきたいとのことでした。
確かに珠洲には里山マイスターの取り組みがあり、域学連携も他の自治体に先行したものがあります。これらを通じて珠洲に移住した人たちは目的意識が明確で、田舎で暮らしていくたくましさも備えています。まずはこの強みを発揮して移住者を受け入れていく、その方針は間違いではないと思います。
一方、アンテナショップには、田舎暮らしへの憧れ、あるいは興味、関心がある、まだその段階という方もこられます。移住先も山陰地方や九州、長野など全国各地の田舎を対象に検討している方もいます。ここに来られる方は40代が7割を占めるそうです。先ほどパンフレットを紹介したように他の自治体は田舎暮らしに憧れるような人たちにもしっかり間口を広げてアプローチし、我が町の特徴、強みをアピールしています。
さて、今週末に11回目となるふるさと回帰フェアが東京で開催され、珠洲市も参加を予定しているようです。本市が受け入れ対象と考えているのはどのような層の人たちでしょうか。
また、本市への移住を決断する際に何が重要な要素と考えているのでしょうか。
本市へ移住したいという明確な目的意識をもった人だけでなく、田舎暮らしに憧れる若い都市住民の中にも珠洲との出会いで人生の転機が訪れる人が少なからずいるのではないでしょうか。積極的にアプローチし、田園回帰の流れをさらに大きくつかんでいくべきだと思いますがいかがでしょうか。
次に6月議会でも質問しましたマイナンバー制度、そして今議会で改正案が提案されている個人情報保護条例についてお聞きします。
法律では番号法ですが、内閣官房のホームページなどではマイナンバー社会保障・税番号制度として紹介されています。番号法、マイナンバー、いずれも制度の本質を隠すネーミングだと私は思います。いまのコンピューター社会、自分に番号が割り当てられること自体は全く目新しい話ではありません。年金番号や運転免許証の番号、病院の診察券や図書館の利用券にも番号が付いています。今回の番号法に基づくマイナンバー制度の最大の特徴は、これらの番号を統一し、共通番号とする点にあります。これによって行政の効率化が部分的には進むかもしれませんが、それに以上に情報の悪用価値が上がり、流出のリスクが飛躍的に高まります。管理社会への懸念も強まります。共通番号は世界各国の常識であるかのような暴論もときどき耳にしますが、全国民強制、生涯不変、官民共通利用は韓国やシンガポールなど世界でもごく一部の国にしかなく、韓国では情報の大量流出、なりすまし被害が年々深刻化しています。
そんな共通番号制度のスタートが目前に迫ってきました。6月議会では法定受託事務、つまり国の仕事だから自治体は勝手に抜けることはできない仕組みであるにもかかわらず、珠洲市にも多額の費用負担があることが明らかになりました。今回はもっとも懸念される情報流出リスクを中心にお聞きしたいと思います。
まず情報の管理責任についてです。共通番号制度は番号法によって実施が決まり、法定受託事務とされていますが、国の事務とされているのは個人番号の付番と個人番号カードの交付だけかと思います。個人番号が付いた特定個人情報の管理責任はあくまで珠洲市にある、そのように理解してよろしいでしょうか。
次に、今議会では番号法の施行に伴う特定個人情報の取り扱いについての規定を改める個人情報保護条例改正案が提案されています。この改正を受けて提供された特定個人情報が仮に第三者に漏えいし、市民が被害を被った場合、珠洲市が責任を負うこともありうるのでしょうか。
特に懸念されているのが、運営の委託を予定する地方公共団体情報システム機構が管理する中間サーバーからの情報漏えいです。おそらくは全自治体、すなわち全国民のデータがここで集中管理されることになると思われますので、セキュリティが破られたら大変な事態となります。セキュリティは万全でしょうか。このセキュリティとはサイバー攻撃など外部からの侵入に限りません。アメリカCIAのスノーデン氏の例を持ち出すまでもなく、内部の人、あるいは容易にアクセスできる人による情報持ち出しも、共通番号の経済的悪用価値が高いだけに懸念されます。例えば警察関係者がすべての住民情報を収集した場合、珠洲市として察知できるでしょうか。マイ・ポータルで市民は自己情報へのアクセス履歴を確認することが可能でしょうか。
関連して6月議会の答弁では、珠洲市は個人情報保護評価を終えているとのことでしたが、特定個人情報保護委員会がリスク対策は十分とお墨付きを与えていた年金データの大量流出が明らかになったのは6月1日のことでした。国のリスク評価に対する信頼が大きく揺らいだわけですが、珠洲市の個人情報保護評価は年金データ流出事件の原因分析や対策を踏まえたものでしょうか。
あと一点、来月から個人番号通知カードが全世帯に簡易書留で送られてくるわけですが、全国平均では少なくとも5%の世帯に届かない可能性があると見られているようです。珠洲市は比較的少ないだろうとは思いますが、それでもゼロではないでしょう。届かなかった人への対応をお聞きします。また、今後、自分の個人番号を把握していない場合、どのような不都合、不利益が予想されるのかについてもお聞きしておきたいと思います。
次に新病院改革プラン策定についてお聞きします。
珠洲市総合病院は平成23年度から3年間、黒字が続いてきました。しかし、昨年度は実質的には黒字ですが、新会計制度導入による退職引当金の一括計上で会計上は赤字、そして今年度は予算の段階で赤字が想定されています。全国的にみても平成19年に示された公立病院改革ガイドラインを踏まえた改革プランの策定で黒字病院は増えましたが、平成25年度からは減少に向かっており、珠洲市総合病院も全国的な傾向と軌を一にしているようです。こうした中、今年3月に総務省が新たに示した新ガイドラインを踏まえた新病院改革プランの策定作業に今年度中に着手するとのことです。今回の新ガイドラインによって、珠洲市を含め全国の自治体病院が再び黒字路線へと向かえば結構なことですが、どうも雲行きは怪しいのではないか、そのあたりの懸念から以下質問をさせていただきます。
今回示された新ガイドラインですが、これは前ガイドラインで示された改革が狙い通り進んでいないという総務省の危機感から出されたものです。前ガイドラインの内容、あらためて確認しますと、経営の効率化による病院経営の黒字化を促しただけでなく、再編・ネットワーク化を掲げて病院の統合を促し、あるいは経営形態の見直しを掲げて独立行政法人化や指定管理の導入、あるいは民間への譲渡を進めました。新ガイドラインは再編・ネットワーク化や経営形態の見直しをもっと進めろという基本方針の下、県が定める地域医療構想に事実上の強制力まで持たせたのが大きな特徴です。地域医療を担う公立病院の重要性を謳いつつも、経営の厳しい病院は統合や民営化の方向へ持って行こうとする方針がさらに強まったとみておかなければいけません。
そこであらためて問われる経営内容ですが、昨年度から導入された新会計制度が曲者と言わざるをえません。昨年度の決算が出されましたが、退職引当金の一括計上を除いて、仮に従来から同様の経営内容であっても財務諸表は悪化するようになったのではないでしょうか。旧会計制度からの主な変更点と経営判断への影響をまずお聞きしたいと思います。
8億7600万円余の累積赤字についてもお聞きします。その要因として、私は消費税の損税や診療報酬のマイナス改定など病院の経営努力の範囲外の要因がかなり大きいのではないかと思いますがいかがでしょうか。特に消費税については、病院が仕入れる物品や委託料には消費税がかかりますが、医療サービスは非課税ですから決算上は損税として多額の経費負担を強いられます。ちなみに平成25年度は8827万円、8%に引き上げられた平成26年度は1億3773万円にも上ります。似たような構造である輸出企業は消費税還付金、いわゆる輸出戻し税があり、トヨタなど輸出関連大企業は史上空前の内部留保を貯めこんでいます。病院に対しても同様の制度があれば巨額の累積黒字を蓄えることができたわけで、笑えない税制の歪みがあります。還付金制度など税制改正が是非とも必要だと思いますが、関係団体の動きなど把握しておられるならばあわせてお聞かせいただきたいと思います。
さて、こうした経営外の事情もある中で、今年度の病院事業会計予算は2億4000万円の赤字を見込んでいます。新病院改革プランは経常黒字化と、それを維持するように求めているわけですが、2017年4月には消費税の10%への引き上げが予定されており、さらに経営が圧迫されること必至です。6月議会では今後の経営について、地域包括ケア病床の設置とともに医療スタッフの有効配置も示されましたが、黒字化を迫られる中、医療スタッフの労働条件が悪化することはないのか心配されます。そのようなことは医療スタッフの不足につながり、労働環境のますますの悪化へと悪循環に陥るわけで、あってはならないわけですが、労働環境は悪化させないという見通しをぜひお聞かせいただきたいと思います。
関連して珠洲市総合病院の看護師さんの離職率、公務災害1000人率について、それぞれ全国平均、県平均との比較も含めて現状をお聞きしておきたいと思います。
次に教育関係の質問に入ります。まず就学時検診のあり方についてです。
まもなく来年度入学予定の子どもたちを対象とした就学時検診がおこなわれます。珠洲市では各小学校の校区に住んでいる子どもたちを対象に学校ごとに実施されています。入学する子どもたちの様子を前もって把握しやすいというメリットは否定しませんが、市内の新入生は他市へ行けば二クラス分の人数です。そもそも法律で定められた就学時検診の目的、すなわち保健上必要な助言や就学に関する指導のためならば学校ごとに実施する必要はありません。地域に残した学校に、従来通りすべての機能を残す必要はなく、各学校の負担や経費を考えても、この際、市内1カ所で実施してもいいのではないでしょうか。
関連してその内容ですが、知能検査については、その検査の有効性や必要性自体にも疑問が示されています。中止し、面接などに替えるべきではないか思いますが所見お聞きしたいと思います。
次に小中学校の職場環境の改善について以下4点お聞きします。
田中教育長にはこの間、幾度となく全国学力テストの順位争いの過熱化による弊害を指摘し、改善を求めてきましたが、残念ながら議論はすれ違いで今日を迎えました。今年度の学力テストの結果も石川県全体としては引き続き上位を維持しましたが、成績アップの手段は徹底的に過去問を繰り返すこと、これが全国的に半ば常識となりつつあるのではないでしょうか。県教委も調査結果を指導力の改善、向上につなげるという建前を語る裏で、来年度に向けた学力向上対策として、従来12月に行っていた評価問題、すなわち学力テストの事前の対策問題を2月にも重ねて実施する方針と聞きます。こんな勉強は本来の勉強ではないと思っても、学力テストの成績が下がればなお補習に追われる構図があります。学力テストを翌年に控えた小5、中2を担当する先生の負担は大きく、おそらくそれ以上に校長先生、教頭先生のプレッシャーも大変なものと推察します。特に校長、教頭先生には勤勉手当と連動した人事評価も導入されており、競争の過熱化とこのような管理強化が、管理職の過重な負担、教職員の超勤多忙化、パワハラ、心身の健康障害などの教育現場に多種多様な弊害を生んではいるのではないでしょうか。田中教育長には最後の議会答弁としてぜひ率直な思いをお聞かせいただきたいと思います。
他県と比較し全県的に休職する教職員の割合が高いなど教職員の健康が損なわれていることも繰り返し指摘してきました。休職に至らないまでも薬を服用しながらギリギリの状態で勤務を続けている方もおられます。そこで市内に勤務する教職員の定期健康診断における有所見率の割合とその推移についてもお聞きをしておきたいと思います。
多忙化の解消もしつこいくらい取り上げてきました。その一因として報告書類の増加があります。削減はごく一部、その一方で次々と新しい報告書類が増えていると聞きます。ただ件数が増えているだけではありません。なぜ必要なのか活用目的が不明な報告、提出後の集計報告がなく果たして活用されているのかどうかもわからない報告、あるいは類似の報告を重ねて求められるなど、民間企業ではありえないことです。これでは現場は多忙化に加え教育長が述べてきた多忙感や、さらには徒労感にもつながるのではないでしょうか。県教委の責任も大きいとは思いますが、現場に求める報告書類はこの際、しっかり精査をすべきだと思います。いかがでしょうか。
あと一点は4年前にも提案したICT支援員の採用についてです。この4年間で教室のICT機器やデジタル教材、かなり充実してきました。タブレットも一部で入りました。まだまだ先を走る自治体は多くありますが、ハード面で言うなら最低限のICT環境は整ってきたように思います。私は次の一手こそICT支援員の採用だと思います。能登町から市内の学校に移動された先生は異口同音、能登町のICT支援員の存在は有り難かったと言われます。どなたでも経験はあると思いますが新しい機器を購入したときは最初の設定から基本的な操作方法も含め、必ずと言っていいほど四苦八苦、試行錯誤の期間があります。わかってしまえば簡単なことでも最初は超難問です。自分の趣味で購入したものならいざ知らず、職員室でパソコン相手に悪戦苦闘するのは時間と労力の無駄、そして精神衛生上も決してよくはありません。先生は教育のプロであってもパソコンのプロではありませんし、プロである必要もありません。文科省も推奨していますが、機器のメンテナンスや授業で効果的に活用するための指導助言、校務で使用するソフトウエアの設定や説明など、授業や校務での支援分野はたくさんあります。教職員の多忙化解消にもつながります。ぜひICT支援員を採用する前向きの答弁で締めくくっていただき、多田新教育長へ引き継ぎをお願いしたいと思います。
質問の最後は市長が提案説明の中で述べられた田中教育長の功績についてです。小中一貫教育の導入はその通りです。児童・生徒の読書活動の充実も学校図書館司書の配置や図書予算の増額で、その成果は顕著だと思います。ふるさと教育の推進も、総合の時間の授業実践やふるさと珠洲科の発表を通じて感じられます。加えて「先進的な教育環境の整備」とも言われたわけですが、これは具体的に何を指すのでしょうか。今年度から総合教育会議を主宰し、教育に関する総合的な施策の大綱を定める市長として、8年4カ月にわたる田中教育長の足跡の何を重視するのか注目し、質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
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