北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

12月議会 議会基本条例、全会一致で可決

2018-12-14 | 珠洲市議会


12月議会最終日、珠洲市議会として懸案だった議会基本条例が全会一致で可決された。
市民の皆さんには誠に申し訳ない話だが、珠洲市議会は複数の議会改革度調査でいずも下位に低迷している。もちろんランキングのための議会改革ではないが、改革度調査のモノサシが議会の公開度や議会への市民参加、あるいは議会運営・機能強化だと言えば、これはただ事ではないとわかっていただけるかと思う。
こうした現状を脱皮し、足踏み状態の議会改革を何とか前へと進めようと、今任期に入り議会改革特別委員会を新たに設置し、議会広報の発行、予算常任委員会の設置、政務活動費の見直し、議員倫理条例の制定、議員定数の見直しなどが進められてきた。この延長線上、今任期の議会改革の集大成が基本条例の制定である。紆余曲折を経て今議会に入ってからも修正が重ねられ、私も数多くの点で妥協を重ねたが、なんとか最終的に全議員の合意が図られて今日の本会議上程に至った。基本条例については、あらためて少しずつ報告していきたい。

この他、今議会の採決では平成29年度珠洲市歳入歳出決算の認定に私は反対の立場で討論(反対は私一人)。一般会計補正予算も小中学校の空調設備設置に関する予算を巡り賛否が分かれ、私は同志会の皆さんとともに賛成したが新生すずの3議員が反対した。

以下、決算認定に関する討論原稿。ご笑覧を。

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平成29年度珠洲市歳入歳出決算の認定に反対であり、以下、理由を述べさせていただきます。

平成29年度一般会計決算には奥能登国際芸術にかかわる予算が関連事業含め約2億8357万円含まれています。このうちの約1億8421万円は奥能登国際芸術祭実行委員会への負担金となっています。実行委員会はこの負担金を主な収入として、アートフロントギャラリーとの間で総額約2億455万円の業務委託契約を交わしており、その大半となる1億9156万円が作品制作業務委託費となっています。
平成28度の決算認定で私は各作家との契約内容が不明なこと、北アルプス国際芸術祭や瀬戸内国際芸術祭など他の芸術祭と比較してもその金額の妥当性には疑問があることなどを理由として反対しました。しかし、芸術祭開催後、実行委員会が作成した総括報告書やアートフロントギャラリーから市へ提出された実績報告書を見ましても、これらの疑問は何ら解決されていません。
契約金額を明らかにしないことが果たしてアーティスの利益につながるのか、この点も昨年の反対討論の繰り返しとなりますが、あらためて指摘をしたいと思います。
また、海外から参加のアーティストが多いことも、作品制作費を押し上げる理由の一つとして挙げられてきましたが、これについても疑問を呈しておきたいと思います。50組以上の海外アーティストが参加する芸術祭を仕切るディレクターから伺った話では、国によって制度の違いはありますが、多くの国では自国のアーティストが海外の芸術祭などに参加する場合の助成制度が充実いるので、海外アーティストの方が主催団体の負担は少ないとのことでした。
いずれにしましても、民間の財団などが主催する芸術祭ならいざしらず、大半を公費で賄う開催方式をとるならば、作品制作費を含めた予算の透明性を確保することは当然だろうと思います。

加えて、もう一点、奥能登国際芸術祭の開催に係わる事業費総額が最終的にいくらとなったのか、いまだ市からも実行委員会からも示されていないことも問題です。
開催費は当初、3億円を見込むと言われていました。その後、開催前年となる平成28年12月議会で事業費総額は実行委員会予算以外の旧飯塚保育所の修繕・改築費用なども含め4億数千万円程度へと上方修正されました。そして芸術祭が終了し、総括報告書が公表されました。そこでは4年間の実行委員会予算総額としては約4億3453万円であったことが示されましたが、それはあくまで実行委員会の予算だけ、市の直接執行分との合計額は芸術祭から1年が経過しても明らかにされていません。
瀬戸内国際芸術祭や大地の芸術祭などの総括報告書を見ますと、実行委員会予算以外に自治体の関連事業も含めた予算が明らかにされ、事業費総額が把握できます。
奥能登国際芸術祭では、関連事業など市の直接執行分の予算は総額どれだけになるのか。奥能登国際芸術祭準備室、平成29年度は推進室となりましたが、ここの予算のうち実行委員会への負担金を除いた額が市の直接執行分ですが、これがすべてではありません。他の課の事業として執行された芸術関連事業もあるわけです。
10月に開かれた決算委員会とその後の資料請求でようやく市が直接執行した予算が1億2353万円となることが明らかになりました。実行委員会予算総額と市が直接執行した予算を合計すると約5億5806万円に上ります。
さらに、以上の予算に含まれない費用として市職員の人件費があります。芸術祭推進室には企画財政課長を兼務する室長の他、3人の職員が2年間配置されました。開催期間中の受付業務を中心とした市職員の動員の人件費もあります。土日祝日の分は芸術祭予算として補正予算に計上されましたが、平日の人件費は明らかにされていません。そこで室長を除く推進室職員3名分の人件費、これは職員の平均給与費から計算し、職員の平日動員の日当分は職員の平均給料を元に計算したところ約4364万円。あくまで市職員の平均の金額を元にした推計値ですが、先ほどの5億5806万円にこの人件費を加えると6億円を上回るわけです。

本来ならば広く公開される総括報告書でこのような全体事業費が明らかにされたうえで、決算審査ではその中の市の負担額の妥当性、あるいは経済波及効果なども含めた開催効果などが議論されるべきだろうと思います。来場者数と経済効果は過大な数値を公表し、一方で事業費は全体像を示さない、このような手法について、議場におられる皆さん、そして市民の皆さんはどのように受けとめられるでしょうか。このような手法を経て次回開催に向けて準備が進められていることを危惧し、いま目の前にある決算認定にははっきりと反対を表明しなければと私は思います。議員各位の賛同を求め、討論とします。



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