北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

志賀1、2号機は廃炉に!北電本店へ申し入れ

2018-11-07 | 志賀原発


北陸電力が志賀再稼働に向けて勝負をかける原子力規制委員会の適合性審査は、会合を重ねても進捗が全くない。
それどころか会合の度に北陸電力の無能さ、お粗末さが露呈して、一部の再稼働を期待する人たちからも諦めや失望の声が上がっている。
当たり前のことだが、活断層を「活断層でない」と証明すること自体無理なのだ。
そんな志賀原発は2011年3月11日以降止まったまま。
それでも核燃料は原子炉や燃料プールの中にある。
発電はしないが事故の危険だけは続いている。
にもかかわらず北電は再稼働を断念しない。



ということで、今日は県内の反原発、脱原発の団体で構成される「さよなら志賀原発ネットワーク」としては初めて富山市の北電本店へ志賀廃炉を求めて申し入れ。
富山県平和運動センター、原水禁富山県民会議の皆さんも申し入れ団体に名を連ねた。



北陸電力の担当者は「2号機の適合性審査を優先し、タイミングを見て1号機も申請したい。早期の再稼働に向けやれることをやっていく。ご理解を」という、この間の金井豊社長の発言を繰り返したが、発電しない原発を抱え続けることによる経営面でのダメージは深刻。年間500億円前後の維持管理費に加え、1千億円台後半といわれる安全対策費は、まだ今後執行されるものも含んでいるとのこと。再稼働すれば投資は回収できると淡い期待を述べるが、適合性審査で醜態をさらし続けている現状を参加者から次々と指摘され、苦渋の表情を浮かべるしかなかった。
再稼働の見通しが全く立たない一方で電気料金は値上げ、株主への配当もなし、加えて新電力への顧客の移動と、原発再稼働優先路線のツケが経営の各方面に及んでる。こうした動きは原発再稼働を支持し、あるいは容認してきた人たちからも失望を招き、顧客離れを加速させているとの指摘も相次いだ。
こうした指摘は、北電をイジメるためでも、ましてや目の前の担当者をイジメるためのものでもない。
廃炉を決断し会社の方針を転換しなければ北電の経営はさらに悪化し、電力市場自由化の中、倒産の危機の直面する、あるいは他の電力会社に吸収されるといったことも懸念されるからだ。

ところが、私たちの心配などどこ吹く風、北電の原発の安全対策に対する意識の欠如は呆れるほどだ。
申入書に記載した昨年度の規制庁との防災訓練での「最低評価」について、公表しなかったばかりか改善策すらまとめていない。次回の訓練でちゃんとやりますとのこと。
再稼働最優先路線は、停止中の原発の安全対策すら後回しにしている。

今回の北電本店への申し入れで、あらためて停止中の志賀原発がもたらす深刻な経営問題、そして経営へのしわ寄せが停止中の原発の安全対策の手抜きへとブーメランのように跳ね返っている状況が明らかになった。

停止中だからといって廃炉を求める運動を停滞させるわけにはいかない、そんな思いを確認し合った申し入れとなった。



富山の市民グループは3.11後、毎週水曜日のお昼、北電本店前でランチアピールという行動を雨の日も、雪の日も、猛暑の中でも続けている。
今日は運よく水曜日。
申し入れ後、私もアピール行動に参加せてもらった。

本日の申入書は以下の通り。

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2018年11月7日

北陸電力株式会社 社長  金井 豊 様 

さよなら!志賀原発ネットワーク
共同代表 岩淵 正明(石川県憲法を守る会代表) 
共同代表 中垣 たか子(原発震災を案じる石川県民・世話人)
共同代表 新明 宏(石川県平和運動センター代表)
石川県平和運動センター代表 本田 良成
石川県勤労者協議会連合会長 藤田 利男 
金沢地区平和運動センター議長 赤玉 善匡
石川県憲法守る会事務局長 森 一敏(金沢市議会議員) 
北陸プルサーマルネット 林 秀樹 
命のネットワーク代表 盛田 正 
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団長 北野 進
事務局長 堂下 健一
原水禁石川県民会議代表委員 佐野明弘 糸矢敏夫 野村夏陽
石川県議会議員 盛本 芳久(社民党石川県連代表)
原水禁富山県民会議会長 岡崎 信也
富山県平和運動センター議長 山崎 彰
富山県議会議員 菅沢 裕明(社民党富山県連代表)


申 入 書

 2011年3月11日の東日本大震災以降、志賀原発は1号機、2号機ともに停止したまま、すでに7年半以上が経過しました。この間終始一貫して貴社は「志賀原発の早期再稼働を目指す」として、2014年8月に2号機の新規制基準への適合性審査(安全審査)を申請しました。この時点では原子力規制委員会の有識者会合による敷地内断層の調査及び審査がまだ継続中で、実質的な審査が開始されたのは2016年4月に有識者会合の評価書が提出された後、2016年6月のことです。
 しかし、それから2年以上たっても審査は一向に進んでいません。去る9月21日の審査会合では、貴社が提出した資料に説明不足や誤記などの不備があまりに多いことが指摘され、委員からは「論外」、「時間の無駄」といった言葉が飛ぶ有様でした。それ以前の審査会合でも記者の見解はたびたび否定され、委員の質問に十分な説明ができずにいる担当者の無様な姿に住民らは「こんな会社が原発を建設し、動かしてきたのか」、「これでも、まだ原発を動かす気なのか」と不安を募らせています。
 2号機の審査が進捗せず再稼働の目処が立たない状況ですが、1号機は審査申請の目処さえ立たっていません。貴社の経営陣は「敷地内の断層は動かない断層であることをご理解いただけるものと確信している」という趣旨の発言をいまだに繰り返していますが、1号機、2号機ともに再稼働の見込みがないことは明らかで、社内でも「(志賀原発は)“本当に動くのか”と危機感が増している」と、地元紙にも報道されているのが実態です。 
 2016年4月、透明性・中立性の条件をクリアした4名の専門家からなる有識者会合が、2年以上にわたる審査会合を経て原子力規制委員会に提出した「評価書」の結論は『敷地内破砕帯のS-1、S-2・S-6は、いずれも将来活動する可能性が否定できない』というもので、これは新規制基準に照らせば『志賀原発の敷地には原発を建設してはならない』ということに他なりません。今まで北陸電力を信用していた住民にとって記者の主張がことごとく否定された衝撃、そのショックの大きさは計り知れません。この時点で1号機、2号機ともに廃炉の判断をするべきでした。

 志賀原発が停止していても、大雪の冬も猛暑だった今年の夏でも電力供給には何ら問題は生じていません。その一方で、原子炉建屋への雨水流入や大雨によるモニタリング・ポスト床上浸水など、原発の安全性に関する問題は次から次へと起きており、停止中であってもゆるがせにはできないはずの原子力の安全管理体制や防災体制に緩みが生じているのではないかと危惧されます。長期停止による運転員の志気の低下も気がかりです。
 また、昨年度実施された原子力規制委員会と電力事業者による事故を想定した訓練では、貴社は「原子力規制委員会との情報共有」において最低評価でした。理由は「社内の情報共有システムがダウンし発電所の情報が伝わらなかった」という極めてお粗末なもので、こんなことでは到底過酷事故には対応できません。「北陸電力には原発運転の資格なし」と、あらためて言わざるを得ません。
 さらに、9月6日に発生した北海道電力管内の全域停電では、原発の再稼働を優先して火力発電所の更新が後回しになっていた、いわば「原発依存が招いた“人災”」ではないかという指摘があります。この指摘は北陸電力にとっても決してよそ事ではありません。
 台風による停電でオフサイト・センターが機能停止するなど、昨今多発している自然災害に対する原発の脆弱さも深刻な問題で、原発の存在自体が北陸電力にとっても大きなリスクであるという事実が明らかになっています。

 電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、これ以上危険にさらされることのないよう、以下、申し入れます。

【 申入れ事項 】

1.志賀原発1号機は速やかに廃炉にすること。
2.新規制基準適合性審査が続いている2号機も、直ちに審査の申請を取り下げ、廃炉にすること。


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