北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

北電・再稼働へのシナリオ

2013-06-26 | 志賀原発
 今日は北陸電力の株主総会。
 北陸電力・久和社長は原発からの撤退を求める株主の訴えを拒否し、総会終了後、直下の断層について規制委員会が活断層でないことを認めたら、ただちに再稼働を申請する方針を明らかにした。

 昨年10月9日の渡辺満久教授らとともにおこなった断層調査視察、6月6日の活断層調査の「中間報告」(こちら参照)、昨日の渡辺教授のインタビュー記事、そして今日の発言をつなげると、北電の先稼働戦略が見えてくる。

 ・規制庁の現地調査の焦点も、住民の関心も「S-1断層」のみに誘導する。
 ・周辺の活断層と「S-1断層」の関連はないことにする。
 ・再稼働のハードルを「S-1断層」の活動性だけにし、その否定に全力をそそぐ。
 ・「S-1断層」の活動の否定に成功したら、その一点で住民を安心させる。
 ・地元合意を取り付けて再稼働へ一直線。
 
 まさに6月6日の中間報告を「最終報告」として提出しようとした意図もここにある。
 北電はめったに動かない、最近動いてない、ということに絞って切り抜けようとしている。
 この手抜きの中間報告を「最終報告」として今日の株主総会を迎え、脱原発株主の発言を封じ込め、再稼働に向けて規制委員会を説得できるよう頑張れ!という株主総会にするつもりだったのだろう。

 しかし、当初から渡辺教授は「S-1断層」を地震を起こす主断層ではなく、主断層の揺れに影響を受けて動く副断層だと指摘してきた。直下の断層の場合、短かろうが、浅かろうが、主断層と連動して動くズレが問題となる。

 規制委員会も当然ながら、周辺の活断層との連動性を調べるようあたらめて指摘した。当然である。

 北電のシナリオは若干修正を迫られたと思うが、9月に予定される最終報告で周辺の活断層の活動性を否定してくるのは間違いない。このごまかしを許さない取り組みが必要となる。もちろん、訴訟ではそのあたりの動きも想定して、準備を進めている。

 運動面で注意しなければならないのは、「S-1断層」が大きな焦点であることに違いはないが、それ以外にも問題点はたくさんあるということである。
 新規制基準はシビアアクシデントを想定し、全く不十分だが拡大を防ぐ対策を掲げている。防災対策も同様、周辺住民の被ばく前提の計画となった。住民の被ばくを防ぎきることはできないのである。
 3.11後、津波対策にはじまり、発電所外部の地震対策を盛り込み、いかにも安全対策を強化しているふりをしつつ、実際は危険性がばれた原発を国民に受け入れさせるためのごまかしが繰り広げられている。

 「S-1断層」に目をこらしているうちに原発本体が見えなくなってきたら、北電が狙ったトリックに見事引っかかったことになる。
 


コメントを投稿