北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「大地の芸術祭の里」視察報告2 ~大規模投資とかさむ維持管理費~

2018-06-07 | 奥能登国際芸術祭
「大地の芸術祭の里」十日町市は芸術祭会期中だけでなく、いつ訪れてもアートを楽しめる地域全体が里山現代美術館である。
(参照:視察報告1)
当然ながら、それだけの施設を充実させ、多くの作品を展示するとなると予算が心配となる。



こちらは越後妻有里山現代美術館キナーレの内部。
48メートル×48メートルの正方形の回廊型の美術館である。



ショップや、カフェ、温泉施設まで整っている。
さて気になる建設費はというと、3,251,421千円。
なんと32億である。
毎年の維持管理として指定管理委託料39,000千円である。
2003年竣工なので、修繕やリニューアルもしなければならない。



まつだい農舞台も2003年竣工で今年はリニューアル。



レストランもアーティストが設計している。
建設費は802,945千円。
維持管理費として指定管理委託料16,000千円となってる。



里山科学館越後松之山「森の学校」キョロロは、建設費 148,301千円
維持管理費は、教育委員会直営施設なので人件費は含まず10,311千円。



旧清津峡小学校の体育館を改修した清津倉庫美術館は、改修費125,583千円、維持管理費2,000千円(指定管理料)を予定している。

大地の芸術祭は第1回から第3回までは新潟県の広域行政振興策の一環として取り組まれており、ハード、ソフト両面で県の手厚い支援があった。キナーレや農舞台、キョロロなど当初の拠点施設整備は新潟県の補助事業として整備されている。
しかし、その後の維持管理、そして修繕やリニューアルなどは基本的には十日町市の事業として実施されてる。国の補助事業なども最大限活用しているようだが、この3年間の予算をみても、実行委員会の負担金として約1億円、さらに十日町市の単独事業として以上のような施設の改善、維持管理、さらに作品維持管理、誘客促進などの事業に714,581千円(うち一般財源224,574千円)をつぎ込んでいる。



この単独事業の中には作品の維持管理費も含まれている。
十日町市、なかでも松代、松之山地区は豪雪地帯で有名である。
上のグラフはキョロロ内に表示されている毎年の最大積雪量である。4~5メートルに上ることも珍しくない。



当然、移動できる作品は倉庫に保管することになるが、移動できない作品もある。
春から秋の草刈りだけなら大きな負担にはならないが、作家と連絡を取り、一つずつ確認しながらの修繕作業は大変である。
年度ごとの維持管理を示すと  (単位:千円)
2014年 20,873
2015年 21,426
2016年 10,011
2017年 13,333
2018年 18,774
これはすべて一般財源となる。
決して十分な予算ではなく、最低限の補修を必要に迫られる中でなんとか実施しているのが実情とのこと。
回を重ねるたびに常設作品を増やしてるのだから予算が追い付かないのも当然だ。



さて、大地の芸術祭は十日町市と津南町が共同で実行委員会を組織し、開催している。
今夏の第7回の開催に向けた実行委員会予算(3か年合計)は6億円を超えるとのこと(昨年の実行委員会総会時点の予算で542,900千円)。
これに加えての十日町市の単独事業である。
総額13億円を超えるビッグイベントである。十日町市の一般財源で見ても3億円を超えることになる。

さて、これだけの予算をつぎ込み、また当初に建設された拠点施設(ハコもの)もある中で、どれだけの人が訪れているのか。
これは次回報告したい。

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