北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

一般質問原稿です

2012-03-07 | 珠洲市議会
 一般質問終了。
 質問原稿は下記の通り。

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 敵を単純化しバッシングするわかりやすい政治に人気が集まっています。政治学者の山口二郎氏は、今、多くの人々は統治されることを拒否しつつ、強いリーダーシップを求めるという矛盾した状況にあると指摘をしています。自分の願いを強力なリーダーが一気に実現してくれる、そんなことはあり得ません。市民の皆さんの政治参加、そして丁寧な議論の積み重ねで合意を形成していく議会の役割こそ重要だと改めて感じながら、早速質問に入らせていただきます。
 まず、能登とともに世界農業遺産GIAHSに認定された佐渡との交流の促進についてです。
 昨年9月、議会総務委員会は、「トキと共生する佐渡の里山」を掲げる佐渡市を訪れ、GIAHSの活用状況を視察してきました。佐渡と言えばトキ、そして金山、銀山を思い浮かべますが、GIAHS認定と金銀山の歴史に大きなかかわりがあることを初めて知りました。
 江戸時代から昭和の初めにかけてのゴールドラッシュで佐渡の人口は急増しました。米の増産に迫られ、中山間地の開墾が行われ、1,000を超えるため池のある独特の棚田の風景がつくられました。当時としては類のない貨幣経済が島に浸透し、農業に関連した副業も拡大、小規模ながらも豊かな兼業農家が増え、豊かな農村文化、様々な伝統芸能の発展につながりました。特に能が盛んで、全国の能舞台の3分の1を佐渡が占めているそうです。
 トキとの共生を目指し、いち早く生物多様性保全型農業も展開し、佐渡産コシヒカリは「朱鷺と暮らす郷」としてブランド化し、全国のお米屋さんに販売ルートを広げています。GIAHS認定に喜びつつも戸惑いを感じた能登と比べ、一日の長があると感じました。
 県は昨年暮れ、能登・佐渡里山連携会議を発足させ、農業視察や意見交換など、地域間交流を一層推進していく方針を打ち出しました。知名度、認知度が決して高くはないGIAHSですから、両地域が連携しアピールする、あるいはお互いに里山の保全、活用策を学び合うことは大きな意義があります。電話やメールでの情報交換だけではなく、具体的な人の往来、顔の見える関係づくりも大切だと思います。
 そこで一つの提案ですが、能登・佐渡間の往来は金沢から陸路新潟を経由するルートでは、朝出発しても到着は夕方です。珠洲からは年に数回、直接見ることができる佐渡ですが、まさに近くて遠い島です。
 しかし、飯田港から佐渡・小木港への海上ルート、船旅ならば2時間半で佐渡へ渡れます。天候に左右されやすいという弱点はありますが、既に佐渡の船会社が飯田港と小木港間の航路の認可を得ているわけであり、県や里山連携会議に珠洲から佐渡へ、佐渡から珠洲へのルートを活用するよう積極的に働きかけるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 佐渡の視察報告をもう少しつけ加えますと、佐渡はGIAHS認定で立ちどまることなく、その豊かな自然景観から、世界ジオパーク登録を目指し、さらにその先には金を中心とした佐渡鉱山の遺跡群として世界遺産登録を目指しています。一昨年、世界遺産暫定リストに記載されていますから可能性ありだと思われます。北陸新幹線の金沢開業を控え、金沢から能登へ、そして珠洲から佐渡へ、そして新潟へと周る広域観光ルートも決して夢物語ではないと思います。
 半島先端と島という違いこそあれ、珠洲にとっても佐渡の取り組みから学ぶべきことは多く、また、今後の取り組みによっては交流人口拡大による経済効果も期待できるものと思います。里山連携会議の枠組みだけではなく、珠洲市独自でも積極的に交流の機会を設けていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
 新潟市から佐渡・両津港へ渡る航路、そして佐渡・小木港から上越市へ渡る航路は国道350号線となっています。最初は冗談かと思いましたが、海の上を通る国道があることも初めて知りました。いつの日か、珠洲から佐渡への国道ができることを夢見ながら次の質問に移りたいと思います。
 県が音頭をとる「おもてなし力の向上」についてです。
 北陸新幹線の金沢開業まであと3年余りとなりました。北陸新幹線で金沢駅に入る年間座席数は600万席、もちろん年中満席のわけもありませんし、飛行機や在来線からの移行が多くを占めますから、そのまま交流人口の増加というわけではありませんが、県が5年前に発表した新幹線開業予測影響調査によりますと、首都圏からの入り込み客数は5割増え、31万人の増加、うち観光客は18万人とのことです。他地域からの入り込み客も含めた全国からの入り込みは県全体で約1割の増加と見積もられています。
 珠洲に当てはめるなら、仮に平成22年度を基準にしますと、入り込みは年間58万人余りですから、1割アップなら5万8,000人の増加、宿泊者数で見ますと関東からは8,683人ですから、5割増ならば年間4,000人以上の宿泊客の増加となります。
 もちろんこういう机上の計算どおりにいくならだれも苦労はしません。今、金沢や加賀にとどまらず、北陸3県各地域が開業効果を引き寄せるため、様々な取り組みをスタートさせています。まさに珠洲への入り込み客数を増やすための取り組みが来年度予算に盛り込まれましたおもてなし力の向上となるわけですが、ここはやはり目標をしっかり掲げて、市民の皆さんの総力を挙げた受け入れ態勢を築いていくべきだろうと思います。
 そこで、まず北陸新幹線開業による珠洲の交流人口の増加目標をどのように設定されるのかお聞きをしたいと思います。
 来年度予算では、このおもてなし力の向上の一環として、新たに宿泊施設改修費助成制度が提案されました。かつての能登半島ブームの時代と比較すれば、市内宿泊施設の数が激減し、特に民宿は20余りとなっています。
 しかし、例えば1年前に多くのリピーターから惜しまれながら閉館しました能登町の民宿さんなみに代表されるように、能登には、その素朴な料理と温かいもてなしから、全国の旅行者に高い支持を得ている民宿があちこちに存在します。あるいは春蘭の里のように、農家民宿として、修学旅行の子どもたちの受け入れを含め、能登の交流人口を拡大させるパワーを持ったところもあります。
 能登の魅力を肌で感じられる宿泊施設を、民宿を含め、市内でも充実させていくことは宿泊客の受け皿の強化策として重要だろうと思います。むしろ期待を寄せているところですが、若干気にかかる点が2つあります。
 1つは、平成21年7月に策定された珠洲市観光マスタープランにも第5次珠洲市総合計画にも、民泊の推進あるいは農家民宿の推進という表現は見られますが、既存の宿泊施設の方向性については全く触れられていないということです。ちなみに民泊とは民宿に泊まることをいうのではなく民家に泊まること、ホームステイを意味します。これらの計画からは、読みようによっては既存の民宿の役割は過去の能登半島ブームで終わったと読み取れないこともありません。
 そんな中、今回の民宿を含む改修費助成の提案であり、今後の交流人口の拡大に向けて、特に北陸新幹線金沢開業を控え、市内宿泊施設に対するニーズをどのように分析され、そして、その中で民宿に期待される役割についてどのようにとらえておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。
 私が心配する2点目ですが、市長が民間の宿泊施設の修繕支援に言及されたのは、先の12月議会の中板議員の関連質問に対する答弁でした。その中で市長は、「珠洲商工会議所観光部会をはじめとする関係者の皆様方から御要望をいただいたところでもあります」と述べられました。
 市長が触れられた要望書は議長あてにも提出されていますが、これを拝見しますと、表題は店舗改装等補助金制度の創設についてとあります。提出されたのは商工会議所観光部会のほか、NPO法人能登すずなり観光部会、石川県飲食業生活衛生同業組合珠洲支部、石川県旅館ホテル生活衛生同業組合珠洲支部の皆さんです。
 要望の趣旨は、ホテルや旅館、民宿にとどまらず、食堂やレストラン、土産物屋さんなどなど、市内の観光にかかわるすべての施設の魅力アップ、競争力強化のための補助金制度の創設です。
 私は、北陸新幹線開業というある意味では能登の観光を取り巻く環境の大きな変化をとらえ、施設のリニューアルを図り、新たな時代に対応していこうという民間事業者の皆さんの意欲、意気込みには大いに敬意を表したいと思います。しかし、そのために補助金制度の創設をということには賛成しかねます。
 返済不要の補助金がありがたいのは当然ですが、ここにも補助金、あそこにも補助金では、財源が幾らあっても足りません。行革推進プランでは、より選択と集中を徹底していく必要があると言われていた市長ですが、今回の補助制度がばらまき行政の推進への第一歩になりはしないかと心配をします。
 やはり投資に必要な資金は金融機関から借りていただき、売り上げの中から返済していくのが民間の経営の大原則ではないでしょうか。県の制度融資でも、観光施設整備資金融資や民宿整備資金融資なども含め、たくさんのメニューが用意されています。それでもなお既存の制度の融資要件で地域の事業者のニーズにこたえられない面がある、あるいは経営環境の厳しさから、利率、返済期間、返済の据え置き期間などでより有利な条件を望む声があるというならば、珠洲市として独自に制度融資を設けることも検討してはいかがかと思いますがどうでしょうか。
 県内では、金沢市はもちろん、輪島市や七尾市など、多くの自治体で政府系金融機関の融資、県の制度融資に併せ、自治体独自の制度融資を実施しています。限られた市の財源であり、特に補助金については、行政だからこそできる政策分野に重点的に配分していくべきだろうと思います。
 次に、コーポ晴気台についてお聞きをします。
 雇用能力開発機構から雇用促進住宅を取得し、珠洲市の賃貸住宅として管理を始めてから間もなく2年半がたとうとしています。家賃月額3万5,000円ということから、当初は民間アパートの経営を圧迫しないかとも心配されたようですが、入居者は徐々に減少し、現在は41世帯、全部で80戸ですから、入居率は51パーセントにとどまっています。
 確かにエレベーターのない5階建てであり、車がないと不便な場所にありますが、雇用能力開発機構から取得したときに、空き室はリフォームをし、新しい入居者を迎える準備もしているわけですから、もったいない状態とも言えます。
 市内では、コーポ晴気台を除いた市営住宅54戸が満室状態で、さらに空き家対策も行い、定住促進に向けた取り組みがなされていますが、そんな中で、市長は、コーポ晴気台について、U・Iターン者も含め、若年層の定着促進を図る賃貸住宅としていきたい旨、議会で述べておられます。
 もちろん若者の市内定住につながれば何よりですが、隠れた需要がもっと広くあるように思います。シングルマザーの方もいます。年金暮らしの方で、家の周りの草むしりなど、手入れをしなくてもいいという点を魅力に感じる方もいるかもしれません。
 昨今の貧困と格差が拡大する社会情勢にあって、セーフティネットとしての市営住宅の役割は大きく、家族形態の多様化やライフスタイル、ライフサイクルの多様化に対応し、市内の定住促進を図る上で、コーポ晴気台は重要な施設だと思いますが、市の住宅政策におけるコーポ晴気台の位置づけをお聞きしたいと思います。
 そういう観点から見ていきますと、現在の入居者の要件が妥当かどうか再検討が必要だろうと思います。入居はしたいが入居資格に抵触して諦めている人はいないか気にかかります。
 今月号の広報すずでも入居者募集の広告が掲載されていますが、前年の所得金額が126万円以上567万6,000円以下であることとされています。パート勤めで年収は低いが親からの援助がある、あるいは年金暮らしだけれど貯蓄があるという方もいるでしょう。もちろん入居契約に当たっては保証人も立てますから、果たして所得の下限は必要でしょうか。
 また、仕事の関係などでしばらく珠洲に住みたいが、コーポ晴気台では所得が上限を上回ってしまうという方もいるかもしれません。もっと広く門戸を開き、定住促進に積極的に活用すべきであり、入居に当たっての所得制限は撤廃すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、行財政改革推進プランに基づいて来年度から導入予定の一般職の給与改定についてお聞きをします。
 私は市職員の人事管理制度の検討に当たって、2点留意しておかなければならないことがあると思っております。
 1つは、現在の市職員の年齢構成が非常にいびつな形になっているということです。4歳ごとの区分を見ていきますと、最も多いのが56歳から59歳までの年代で67人、全職員435人に占める割合は15.4パーセントとなっています。ところがその下の44から47歳、48から51歳、52から55歳までの世代は一番上の世代と比較するとほぼ半減です。課長補佐や主幹クラスの層が薄いわけで、今後、その下の40代前後、係長クラスの皆さん、職員の皆さんには職務上、勤続年数以上の大きな期待がかかっていることになります。中堅職員の皆さんの能力をいかに伸ばすかが人事管理上の大切な課題になっていくものと思います。
 もう一つ留意すべきは、現在の国、地方を含めた公務員制度改革の大きな流れについてです。起点は2001年の小泉内閣時代に決定された公務員制度改革大綱ですが、この大綱はILO、国際労働機関から条約に違反するとの勧告を受けています。労働協約締結権付与をめぐる国会審議が不透明な中、新しい給与システムが先行することも問題と言わなければなりません。
 以上のような珠洲市固有の課題と公務員制度改革の大きな流れを踏まえて、以下、質問させていただきたいと思います。
 今回の一般職の給与改定について、勤務実態と合わなくなった手当など、廃止や見直しが当然と思われるものも多く含まれています。ただ最大のポイントである定期昇給の抑制については、大幅定数削減に続く定昇抑制で、モチベーションの低下につながらないか気にかかりますが、職員組合との合意もできているようですので、これ以上は申しません。
 心配なのは勤務評価の給料や勤勉手当への反映です。
 ただ年を重ねるだけで給料が上がっていく年功序列型の賃金体系は民間から見ても非常識。成果や能力を適切に評価して、任用や給料に反映していく制度こそが職場全体のモチベーションを高める上でも有効だという考え方かと思います。
 実は給与総額の削減がメーンの制度改正ですが、能力や事業実績をより重視するので、頑張った職員は収入が下がらないよと、そういう民間企業がよく使ってきた手法です。
 市長は、従来から勤務評価は行ってきたと述べ、この新しい給与システムの導入に特段の課題を感じておられないようにも感じましたが、私は職場環境に大きな変化をもたらす制度変更ではないかと思っております。
 そこで、まず、勤務評価の給与への反映について、今後の導入のスケジュールと導入に当たってのどのような課題があると考えておられるか、まずお聞きをしたいと思います。
 30年前、私が就職した会社は、当時としては珍しく、能力、成果主義が導入されており、入社3年目の冬のボーナスが同期の社員の間で10万円は違っていたと記憶をしております。日本全体としては90年代以降の経済のグローバル化の中で導入が一気に拡大していきました。
 ところが、民間企業が先を争って導入してきた能力成果主義ですが、多くの矛盾や弊害が指摘され、見直しの動きも進んでいます。大きな転機は2001年、いち早く成果主義を導入した富士通が、その弊害から抜本的な人事管理の見直しを表明したいわゆる富士通ショックです。くしくも小泉内閣が民間追随の人事管理制度を盛り込んだ公務員制度改革大綱を発表した年です。
 富士通が自ら明らかにした弊害について少し紹介をさせていただきますと、まず成果主義と目標管理のもとで社員が失敗を恐れ、高い目標に挑戦しなくなり、企業全体のチャレンジ精神がなくなり、ヒット商品も生まれず、市場競争力が低下した。2つ目に、地味な通常業務がおろそかにされ、評価されない仕事や部署の社員のやる気を阻害している。3つ目として、自分の目標達成で精いっぱいになり、問題が起きても他人に押しつけようとするなど、利己的な人材を育成し、チームワークが阻害されているなどの点が指摘をされています。
 3期連続赤字で業績低下にあえぐソニーも成果主義の弊害が指摘をされています。プレイステーション2を最後に、かつてのウォークマンを生んだような画期的な商品はなくなり、短期的な利益に目を奪われ、さらにうつ病の社員も急増したと指摘をされています。
 総務省は成果主義導入の旗振り役を務めていますが、一方、経済産業省は民間企業における成果主義の弊害を深刻に受けとめ、人事マネジメントの関する研究会を立ち上げ、2006年8月に報告書をまとめました。
 これを読みますと、多くの従業員のモチベーションの低下、チームワークの低下、コミュニケーション不足による組織力の低下、納得感、公平感の欠如による人材育成機能の低下を挙げ、予想もし得なかったマイナス要素が出てきていると指摘をしています。
 珠洲市の場合、目標管理は導入しないとのことであり、全く同列では論じられないかもしれませんが、職員個人間の評価の違いを短期間で切り取って給与に反映するという仕組みは同じであり、民間企業の成果主義導入の弊害から学ぶべき点は多いのではないかと思います。
 中堅職員の能力を大きく引き上げることが重要な課題である珠洲市において、単年度の成果も重要ですが、そこに一喜一憂することなく、今後の珠洲市を担う大きな器を持った職員の育成を期待したいと思います。
 副市長は、勤務評価の給与への反映は職員を差別するためのものであると明言をしておられます。市民に目を向けず、副市長をはじめ、上司の顔色をうかがう小さな職員が増えやしないかとなお心配になります。制度導入を決めるに当たり、民間企業の失敗から何を教訓として学ばれたかお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、教育行政について2点伺います。
 昨年12月、金沢市内で現職の教員が急性の心不全で亡くなりました。直接的な原因はわかりませんが、多忙を極める勤務状態の中での悲劇です。ところが服務監督権者である金沢市教育委員会も任命権者である県教育委員会も直近3カ月の勤務状態について全く把握できていませんでした。
 教職員組合が行った勤務実態調査では、県下の教員全体の学校における超過勤務時間の平均は一月当たり82時間、自宅での持ち帰り仕事も含めると103時間というすさまじい労働実態が明らかになっています。珠洲市内でもほぼ同様の調査結果となっています。一般に時間外労働が100時間を超えると過労死が想定される極めて危険なレベルと言われています。
 異常な勤務実態は病気休職者の数にも端的にあらわれています。県全体で2003年は43人でしたが、2010年は8割増の77人、特に注目しなければならないのは、この中で精神疾患による休職が16人から52人へと3倍以上に増加している点です。まさに疲れ果て、燃え尽きている実態があらわれています。
 先の12月議会で、私は厚労省通達、文科省通達に従って教職員の勤務実態について把握するよう求めましたが、教育長は学校訪問や学校長会を通じて把握しているとのことであり、勤務実態調査は行わない旨答弁がありました。
 各学校の校長先生が現場の多忙化状況を以前にも増して気にかけておられることは私なりに承知をしていますが、厚労省通達、文科省通達が求める労働時間の把握ができていないことは事実です。
 したがって、通達が求めている労働時間の客観的記録、これは3年間の保存義務が課されているものですが、作成すらなされていません。
 なぜこのように通達を遵守しない教育行政を10年以上にわたって続けておられるのか理解に苦しみます。ぜひ理由を明らかにしていただきたいと思います。
 文科省が打ち出す方針が絶対であり、常に正しいというつもりはありません。おかしなものもたくさんあります。その一つが東日本大震災後に作成された放射線教育の副読本です。
 福島第一原発の事故による環境汚染と食物の汚染が依然深刻な状況にある中、子どもたちの健康、命をいかに守るかが文科省としても最重点課題であると思います。ところがこの副読本は、放射線医療など、放射線が暮らしに役立っていることを前面に出し、直面する被曝の危険性について全く触れていません。それどころか、年間100ミリシーベルト以下の被曝なら命や健康に影響がないかのような、現在の被曝研究の成果を無視するような記載さえあります。
 実は文科省の副読本には前科があります。昨年の3.11前まで出していた「原子力ワールド」という副読本では、「大きな津波が遠くからおそってきたとしても、発電所の機能がそこなわれないように設計しています」など、根拠のない原発の安全性をPRし、必要性を説いてきました。3.11後、急遽回収されたことは言うまでもありません。それにも懲りず、今回の副読本というわけです。
 私は3.11後の放射線教育の課題は、第1に低線量被曝や内部被曝の危険性を正しく伝えること、第2に、子どもたちが放射能の危険から自らの健康を守るためのすべを学ぶこと、第3に、放射能汚染がいかに地域社会に甚大な影響を及ぼすかを知ること、以上の3点に整理できると思いますが、この副読本で果たして学ぶことができるのでしょうか。
 見本となる副読本が市内の小中学校に配布され、一部の学校では購入を決めたともお聞きをしていますが、私は子どもたちの命を守るという観点に逆行するこのような副読本は配布すべきではないと考えます。
 先生らの命を守るための勤務実態調査には背を向け、子どもたちの命を守るという観点が抜け落ちた副読本は配布する教育委員会。私には全く理解ができません。教育行政の転換を期待し、最後の質問に移ります。
 輪島市の梶市長が宮城県の災害廃棄物、いわゆる震災がれきの受け入れの意向を表明しました。輪島市や市議会が安全性について調査や議論を重ねる一方で、輪島市クリーンセンターがある美谷町やその下流の光浦町では受け入れ反対の立場を明確にし、市へ再検討を求める要望書も提出をしています。地元の漁師さんは、こんなふうに反対の思いを語っておられました。
「わしらにすりゃ、国の規制値の上とか下とかという話はどうでもいいがや。福島の原発から出た放射能が輪島で出てきたというだけで終わりや」。
 実際、環境省の資料によりますと、輪島市が受け入れを検討している名取市や石巻市の焼却施設の焼却灰からは、国のがれき処理の基準値は下回りますが、低レベル放射性廃棄物として管理しなければいけないキロ当たり100ベクレルという基準を大きく上回る放射能が検出されています。昨年8月時点での測定結果ですが、セシウム137の半減期は30年ですから、その後も大きな変化はないはずです。風評被害はもちろん、周辺環境への影響、そして農作物や海産物を通じての体内被曝を心配する声は決して杞憂ではありません。
 私は、震災がれきの受け入れは能登全体にもろもろの影響を与える問題であり、輪島市だけで決めるべき問題ではないと思います。珠洲市はじめ近隣市町との協議、同意が必要と考えますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
 梶市長の今回の動きは私にとって非常に残念でありますが、その一方でさすが梶市長と感心もしました。能登半島地震で全国の皆さんにお世話になった恩返しをしたい、義援金や支援物資を送っておしまいではいけない。被災地のためにもっともっと力になりたい。人一倍そんな思いを強く持ち、行動に移されたものと理解をしております。
 能登半島地震では、確かに輪島市に最も大きな被害が集中しましたが、奥能登全体が被災地であったわけであり、恩返し、そして被災地支援の思いは奥能登2市2町として共有できるものと思います。震災がれきの受け入れが唯一の支援方法ではありません。今なお高いレベルの放射線被曝にさらされている福島の子どもたちを奥能登に招待し、ゴールデンウィークや夏休みを過ごしてもらう、そんな被災地支援の取り組みを奥能登広域圏で協力して進めてはいかがでしょうか。
 市長の前向きな答弁を期待しまして、質問を終わらせていただきます。御静聴ありがとうございました。

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 濱田議員、米田議員の質問も踏まえ、最終日に向け、予算の修正案提出の準備中!
明日は総務常任委員会。

 北國新聞(3月8日)の記事です(追加) 

 
 


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