北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

3月議会一般質問 安倍政権の施策の悪影響を問う

2013-03-12 | 珠洲市議会
 今日の一般質問の原稿です。長いですが、よかったらご一読ください。

 答弁については、内容に満足しているわけではなく、反論、討論してみたいことたくさんありましたが、残念ながら一般質問は討論の場ではありません。
 全体を通じていずれも聞いたことについては丁寧かつ詳細な答弁だったので、今回は再質問なしです。
 次号の市議会通信で報告します。

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   3月議会 一般質問

 東日本大震災から昨日でちょうど2年をむかえました。福島第一原発は依然事故の収束をみず、廃炉に向けた苦闘が続いています。死者、行方不明者の人数に加え、昨日の新聞では震災関連死の欄がありました。避難生活や事故によるストレスからの体調変化などで亡くなった方の人数です。実に2552人、うち原発関連死は1000人を超え、避難生活のさらなる長期化で被害が広がることが懸念されています。
 震災後、文明史的な観点からこの大震災を捉え、日本社会の転機にしていかなければという論調を多く見かけました。ところが日本を取り戻すという安倍政権が発足し、株価に一喜一憂する震災前の日本に見事に逆戻りした感があります。かつての小泉政権の郵政叩きの焼き直しのような日銀叩きが功を奏し、70%を超える支持率を維持していますが、原発を取り戻す、軍隊を取り戻す、格差社会を取り戻す、さらには教育への国家介入も取り戻そうとする動きは大いに警戒をしなければならないと思っています。

 そこでまず、安倍政権が打ち出す諸施策に対する評価と課題についてお聞きします。
 アベノミクスに株式市場は浮かれ、円安進行で輸出関連企業の決算も大いに期待できそうです。しかし多くの給与生活者や年金生活者、そして後ほど触れる生活保護受給者など低所得者にとっては、収入が上がらなければ物価上昇の直撃を受け、生活は厳しさを増します。
 一次産業も例外ではありません。円安でガソリンはじめ石油関連製品の値上がりが続き、漁業関係者からは燃料代の高騰が経営を圧迫するとの声が聞かれます。物価の上昇は一次産業の生産コストの上昇を招きますが、今後、仮に消費が拡大しても一次産品の生産者価格の上昇につながる保証はありません。一次産業を取り巻く環境はますます厳しくなると思いますが、アベノミクスに対する評価と対策をまずお聞きします。 
 さらに重要なのはTPP問題です。安倍首相は先の日米共同声明で、日本がTPP交渉に参加する場合にはすべての物品が交渉の対象であることを確認し、今週中にも参加表明をするやに報道されています。例外品目が認められる保証はありません。もちろんTPPは関税撤廃だけではなく様々な規制の緩和や撤廃が求められ、国民生活への影響は計り知れません。市長はこれまでの議会答弁で「現状のもとで協定が締結されれば、本市の農林漁業は、壊滅的な打撃を受ける」との認識を示されています。参加となれば地域経済の死活問題ともなりかねないと考えますが、あらためて市長のTPPに対する見解と交渉参加問題への対応をお聞きします。

 次に生活保護費削減についてお聞きします。
先の総選挙で自民党は生活保護の給付水準原則1割カットを公約に掲げました。一方、生活扶助基準を審議する厚労省社会保障審議会生活保護基準部会という組織がありますが、その部会を構成する各委員が分析したあるべき最低生活費は、引き下げどころか現行の基準自体が低すぎることを示していました。1割カットの公約は、国民生活の実態に照らせば根拠がなかったのです。ところが部会の事務局を務める厚労省は、専門家である委員の見解を無視し、削減ありきの政府の意向に沿った報告書を強引にとりまとめ、安倍政権が打ち出した3年間で8.3%という生活扶助費削減方針への道を拓きました。
 生活保護受給者は昨年11月の時点で全国に約214万人。この12年間でほぼ倍増し、国民の約1.7%となっています。かつての小泉・安倍政権は格差・貧困社会を招き、その後の政権交代につながる国民の怒りを買いましたが、今回は格差・貧困のさらなる拡大政策です。
 そもそも生活保護世帯増加の最大の原因は、非正規雇用を拡大させる雇用政策、特に労働者派遣法の改悪にあります。最低クラスの消費支出をさらに下げざるを得ない状況に追い込み、それを根拠にさらに生活扶助を切り下げるようなことを繰り返すならば、憲法第25条で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」はまさに底が抜けた状態となります。
 珠洲市内の生活保護受給者は62人と、人口比率としては平均を下回っています。しかし、今回の生活扶助基準額の引き下げは受給者だけでなく、収入の低い多くの市民の皆さんの生活も直撃します。わずかずつですが引き上げられてきた最低賃金にも影響を与えます。市の窓口業務でも、たとえば就学援助の支給基準や国保の保険料の減免基準、住民税の非課税基準など生活扶助の基準額を目安に適用されている制度がたくさんあるのではないでしょうか。そこでまず生活扶助基準額引き下げと連動する制度をすべて明らかにしていただいたいと思います。
 このように生活に困窮している人をさらに苦しめる安倍政権の政策に対して、私は市として指をくわえて眺めているだけということは許されないのではないかと思います。
たとえば就学援助ですが、今年度は市内の小中学校合わせて55人の子どもたちが受給しています。比率にして5.8%の子どもたちですが。生活扶助基準額の引き下げで認定からはずれる子どもたちも出てくるのではないでしょうか。貧困の連鎖を招いてはなりません。就学援助の認定基準の緩和や就学援助単価の引き上げなども含め、生活保護費削減の影響を抑えるえるために市独自でもやれることがあるのではないでしょうか。対応を検討すべきだと思いますがいかがでしょうか。

 次に公共事業の予算拡大についてお聞きします。
 アベノミクス2本目の矢である財政出動の柱である公共事業予算の拡大ですが、国土強靭化計画ということで、10年間で200兆円もの投資をするとのこと。景気回復のためなら何でもありの安倍政権ですから本気かもしれませんが、国土はコンクリートで固められ強靭になっても、財政規律を考えれば財政弱体化計画であり、政権の命運を株式市場に大きく依存する安倍政権として、どこまで続けられるのか疑問と言わざるをえません。
もちろん珠洲市としてはこの機会を利用して住民からの要望が強い事業、懸案の事業に取り組むことは当然であり、反対するものではありません。
 しかし、国の財政、珠洲市の財政を考えたとき、来年度以降も維持できる規模とは私には思えません。そういう意味ではまさに事業の精選が求められると思いますが、予算編成にあたって留意した点をお聞きしたいと思います。
 事業が一気に膨らみ、建設業界では消化しきれるかが課題との声もあるようです。県はすでに3月補正で公共投資に405億円を盛り込み、863件の発注とのこと。もちろん年度内に消化しきれるはずはなく、多くは来年度の第一四半期に回るようです。来年度予算でも投資的経費は5年ぶりに1千億円を超え、前年度当初と比べ4割アップの1238億円にものぼります。一方、珠洲市の来年度予算でも普通建設事業費は昨年の当初予算比で45.7%増の19億円余りとなっています。予算は増やせても削減された現場の人を増やすのはたやすくありません。急増する事業を消化するために、市の発注時期や量の平準化だけでなく、県の事業との調整も必要となるのではないかと思いますが、対応をお聞きします。

 安倍内閣の関係では教育政策はじめ、珠洲市にも関係する問題政策がまだまだ多数あると思っていますが、今回はあと一点、地方交付税の削減についてお聞きします。議員全員協議会の場でも若干お聞きし、午前中の質問と重複する部分もありますが、大事な問題ですので通告に従い、あらためて確認をさせていただきたいと思います。
安倍内閣は来年度予算案に盛り込む地方交付税について、今年度より3900億円少ない17兆600億円としました。狙いは地方公務員の給与カットです。国家公務員の給与を7.8%下げたんだから地方公務員の給与も下げろとの圧力、兵糧攻めです。そもそも国家公務員の給与削減自体、人事院勧告を無視した決定であり、ルール違反でした。その不当な決定をさらに地方自治体にも押し付け、地方が自主的に決定すべき地方公務員の給与の削減を迫ることは、地方自治の根幹にもかかわる大問題と言わざるをえません。地方のこの間の人件費抑制の取り組みをまったく理解していないばかりか、労働者の賃上げでデフレ脱却という内閣の方針とも矛盾しています。
珠洲市としては来年度の予算編成にあたって歳入の地方交付税については4000万円の減額を見込んでいますが、地方交付税を削減して市職員の給与削減を求める国の方針についてどのように受け止めておられるか、市長の見解をまずお聞きします。
その上で、珠洲市の職員給与改定についてですが、総務省の動きも流動的な部分あるようですが、市長の基本的な姿勢についてあらためてお聞きしておきたいと思います。

 次に「自然と共生する珠洲市」のブランド化についてお聞きします。
この問題については1昨年の12月議会でも取り上げ、市としてブランド化戦略を策定すべきだと訴えました。しつこくまた取り上げるのは、いいことをやっているのに市民の思いをいまひとつ結集しきれていない、また大学関係者など一部の人には高く評価されつつも、広く市外へ浸透していく勢いが感じられない、そんなもどかしさが感じているからだということをまず申し上げておきたいと思います。
 今回はネーミングに絞ってお聞きします。
 まず「自然と共生する」という表現ですが、これは残念ながら他の自治体との差別化にはまったくなりません。「自然と共生する何々町」の類の表現は1990年代から巷にあふれています。市役所内部の事業計画ならいざしらず、市民や広く全国、あるいは海外も視野に入れアピールする表現としては月並みすぎると言わざるをえません。市長は中身で勝負だ、他所とは違う先進的な取り組みをやってるんだという思いもあるかもしれません。しかし、たとえば風力30基やバイオマス施設、メガソーラーという地域の資源、エネルギーの利用についていえば、エネルギー自給100%を目指す自治体があちこち現れ、珠洲とは比較にならない大胆な取り組みが展開されています。
 自然と共生する珠洲の最大の特徴は、やはり万葉の時代から語り継がれる自然と共生してきた暮らしと精神文化、そして豊かな自然の恵みと歴史の積み重ねの中で育まれてきた産業の中に求めるべきでしょう。そこがまさに世界農業遺産認定の核になるところだと思いますし、その延長線上に自然エネルギー活用の取り組みも位置づけられるのではないかと思います。
 「自然と共生する珠洲市」に寄せる思いは理解しますが、表現としては珠洲固有の特徴や独自の取り組みが伝わるよう検討すべきだと私は思います。いかがでしょうか。
また、以上のような意味においても、わずか59年の歴史しか重ねていない「珠洲市」という自治体名を掲げるのではなく、「市」の一文字は取って、1300年にも及ぶ歴史を積み重ねてきた「珠洲」という地名を前面に押し出す方がブランド化には、より効果的ではないかと私は思いますがいかがでしょうか。

 次に第3次「すず男女共同参画行動プラン」についてお聞きします。
 昨年暮れの12月30日、ベアテ・シロタ・ゴードンさんというアメリカ人女性が亡くなりました。彼女は1945年の敗戦直後、GHQ民政局のスタッフとして22歳の若さで日本国憲法の起草作業に関わり、女性の権利確立に関わる憲法第14条や第24条の規定に大きな影響を与えたことで知られています。
 今日では、建前としては男女が平等の権利を持つということは多くの人にとって当然のことと受け止められています。一方で、昨年暮れに内閣府が発表した世論調査では、男性は仕事、女性は家庭という考え方を支持する人が20代で急増し、全体ではじめて増加に転じ、1992年の調査開始以来、はじめて過半数を超えました。個人の尊重という人権規定の根幹を変更しようとする改憲の動きも強まっています。男女平等が民主主義や平和主義と不可分の関係にあることを強く意識していたベアテさんは最後まで改憲の動きに警鐘を鳴らし続けてきました。
 男女平等は憲法理念と実態との間に乖離があることは否めません。そういう意味で男女共同参画行動プランは、憲法の理念を具現化するという大きな使命があります。と同時に、珠洲市にとってはもうひとつ大きな今日的役割を担っています。急激に過疎化が進む珠洲市において、男性を中心とした社会が続くことは地域的に大きな損失であり、また弱くてもろい社会とも言えます。能力や意欲がある女性は大勢います。積極的に責任ある役割を担ってもらうことは地域づくりの観点からも重要な意味をもちます。そのための意識改革や環境整備にむけ行政の果たすべき役割にも大きなものがあります。
 そこで以下4点お聞きします。
 まず、昨年新たに第3次の男女共同参画行動プランがまとめられましたが、内容どころか作成されたこと自体、ほとんど伝えられないように思います。珠洲市男女共同参画条例によれば、計画策定後「速やかに公表」とありますが、第3次「すず男女共同参画行動プラン」をいつから、どのように市民に周知していくのでしょうか。
 次に内容について伺います。一読した感想として、ほぼ一般論に終始した内容であり、過去2回の行動プランによる成果や珠洲市特有の課題の記載が不十分ではないかと思いました。法律や県の条例で決まっているから仕方なく作成したかのような印象をぬぐえません。男女共同参画社会実現に向けた珠洲市の到達点と課題をお聞きします。
 国の方では平成22年12月、新たに第3次男女共同参画基本計画を閣議決定しました。過去の計画と比較し、成果目標やポジティブ・アクション、積極的改善措置という意味ですが、これらが盛り込まれたことが大きな特徴として注目されました。これを受け、県内の多くの自治体の計画では、たとえば審議会などでの女性委員の比率について、小松市の50%を筆頭に40%や30%といった具合に目標値を定めています。ところが珠洲市の計画には数値目標が全くありません。現状でも珠洲市は県内11市で最低の女性登用率ですが、これではますます差が開くこと必至です。実効性をどのように担保していかれるのかお聞きします。
 もう一点、今春から公民館を直営に戻す方針が示されましたが、その理由の一つとして男女共同参画社会の構築に向けた事業展開の充実が掲げられていました。男女共同参画社会の実現に向けた特段の問題意識があってのことだろうと思います。事業展開の方針をお聞きします。

 次の質問は図書館の充実についてです。
 1昨年の6月議会で新図書館の整備について質問しました。その時の市長の答弁は現行過疎法の期限である平成27年度末までの整備を目指したいが、財政的な理由から事業計画に盛り込むには至っていないとのことでした。その後、財政指数は改善されていますが、昨年6月、現行過疎法が平成32年度まで延長されることとなり、整備はさらに先送りされるようです。
 昨年11月、県内5つの公立図書館を視察してきました。立派な施設と充実したスタッフ態勢を敷く図書館では、平日でも来館者が多く、様々な図書館行事もおこなわれ、市民一人あたりの本の貸出し数で見るなら実に珠洲市の4、5倍にものぼります。施設が立派であるだけでなく利用者の立場に立ったきめ細かい配慮がなされ、さらに多くの市民がボランティアとしても関わります。市民にとっての図書館の存在感が珠洲市と大きく異なります。私は、図書館ができてまちが変わった、市民の暮らしが変わったと実感してもらえるような、図書館建設を望む思いに変わりはありませんが、億単位の財源を投じる図書館の建設について、現時点で市民の理解がどの程度得られるものか、率直に言って不安を覚えました。
 新しい図書館が新たな利用者を生み出したという面はもちろんありますが、注目したいのは、新図書館建設以前に地域土壌として市民の活発な読書活動があり、多くの市民の図書ニーズが行政や議会の政策決定を後押しし、より充実した図書館の建設につながっているという点です。ニワトリとタマゴのような議論にもなりますが、図書館整備が先送りになるのならなおさらのこといま取り組むべき課題があるのではないでしょうか。現図書館の課題についてどのように認識しておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
 市内の小中学校では今年度、司書が1人から3人に増員され、市長も述べておられる通り学校図書館が目に見えて充実してきました。次は白山市のように全小中学校に司書が配置されれば理想かもしれません。しかし、私は市の財政状況なども考えれば、優先順位としては中央図書館のスタッフの充実が先に来るのではないかと思います。学校図書館の活性化によって学校からの図書館への要望や問い合わせが増加し、早晩十分な対応ができなくなることが予想されます。市民の読書活動へのサポート体制の拡充、あるいは図書館事業の充実にもさらに力を入れてほしいと思います。ボランティアの拡大も大切ですが、そのためにも核となる司書資格をもった職員の増員が不可欠だと思いますがいかがでしょうか。

 次に部活動のあり方と教職員の多忙化問題についてお聞きします。
 この2年間、教職員の超多忙化の改善を求め何度も質問してきましたが、一向に改善の兆しが見えません。教育長は、子どもたちを育てるという職務の特殊性から、他の公務員や一般の企業のように時間から時間の仕事とはいかないと言われます。確かにそのような面があることは否定しません。問題は、学校教育法第28条でも「教諭は、児童の教育をつかさどる」と定められている通り、教員の本務である子どもたちの教育で忙しいのならいざしらず、本務以外の業務、あるいは本務との関連が薄い業務で時間を割かれているのはないかという点にあります。他県では本務外業務、本務と直接的関連の薄い業務についていかに負担を軽減していくか具体的な計画を策定して、多忙化解消に取り組んでいる自治体もあります。昨年、教育長はフィンランドを教育視察で訪れましたが、フィンランドではまさに教員が専門職として、本務に専念できる体制が保障され、子どもたちの豊かな学びを実現しているのではないでしょうか。
 そこでまず市内小中学校における教員の本務外業務の実態についてどのように把握されているかお聞きをしたいと思います。
 次に、本務かどうか長年、非常にあいまいな位置づけで行われている部活動の指導についてお聞きします。昨日は中学校の卒業式でしたが、卒業生、在校生から必ずといっていいほど部活動の想い出が語られます。学校教育の中で部活動が大きな役割をはたしていることは誰しも異論のないところでしょう。
 しかし一方で、特に中学校では、教員の多忙化の原因のひとつとして部活動の指導があげられます。部活の顧問をしていると放課後は7時近くまで練習、その後職員室に戻って教材研究や提出書類の作成などをこなします。8時、9時の帰宅は当たり前、遅い先生は12時を回る人もいます。さらに土日も練習か練習試合、家庭を顧みる余裕もなく、年間を通じた超多忙勤務となります。
 部活動は保護者の皆さん、地域の皆さんからの期待も高く、子どもたちの活躍が地域に大きな元気を与えています。だからこそ指導に熱心で、強いチームを育てる先生はいい先生との評価も聞かれます。先生なんだからそこまでやって当たり前、という風潮もあります。しかし、これが教員の本務であり、勤務時間としてカウントするならば明らかな労働基準法違反であり、時間外勤務手当に代わる教職調整額が支給されているとの理屈が通用するとはとても思えません。つまり、現在の部活動の多くは顧問の教員の任意と善意で成り立っているのが実態と言えるでしょう。
 もちろんこれは珠洲市に限った話ではなく、日本中、ほぼ共通した問題です。そこでようやく文科省は今年度からスタートした新学習指導要領の中で部活動について「学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」との規定を盛り込みました。それでも依然として法的、制度的な面はあいまいなままです。そこで、部活動の指導は教員の本務と捉えているのかどうか、教育長の見解をまずお聞きしたいと思います。
もちろん私は教員が部活動に関わらなくていいなどというつもりはさらさらありません。 しかし、顧問の教員が監督、コーチ、マネージャー、カウンセラー、リスク管理、大会参加時の運転手などすべてを請け負う現状の部活動は、教員の多忙化の面からも限界にきているのではないでしょうか。全国的にも、外部指導者の導入や総合型地域スポーツクラブとの連携、あるいは社会体育活動化への動きなど様々な部活動改革の動きが現れています。少子化が進行する中でもあり、一つの答え、方向性が見出されている段階ではないと思いますが、なにより子どもたちの成長や珠洲のスポーツ振興という面からも、行政の支援や地域との連携強化など、ぜひ教育委員会としても知恵を絞っていただきたいと思います。今後の部活動のあり方についての見解をお聞きします。

 最後に小中一貫、小中連携教育についてお聞きします。
 宝立小中学校に続き、西部小、大谷中の統合、小中一貫教育の導入に向けた方針が示され、必要な予算が計上されました。少子化がさらに進行する中、教育の将来展望に悩み、さらに小中一貫教育への期待と不安もあるだろうと思いますが、教育への熱意と関心がかねてから高いと言われた大谷地区であり、学校を残し、地域の中で子どもたちを育てていこうという選択につながったものと思います。
 さて、大谷地区の小中一貫については、モデルとなる宝立小中学校の成果を詳細に検証しながら取り組んでいくということでした。教育の成果をわずか1年で検証するということ自体、無理があるようにも思いますが、スタートからまもなく1年を迎える小中一貫教育について、現時点でどのような課題があると考えておられるのかまずお聞きしたいと思います。
私もこの間の小中一貫をめぐる議論を把握しておかねばとの思いから、2006年2月17日の第二次学校検討委員会の第一回の会議録からはじまり、関係する教育委員会の会議録、教育内容を検討する小中一貫教育協議会、施設や環境を協議する小中一貫教育検討委員会の記録や資料も含め拝見させてもらいました。数多くの議論の経緯は理解しますが、最も驚いたのは小中一貫のデメリットを問う保護者からの質問に対し、「小中一貫のデメリットはないと考える」との回答です。この世の中にそんなに完璧な制度などあるのでしょうか。物事の一面しか見ていないのではないかと逆に心配になりました。同じようなやり取りが大谷地区でもあったと聞きました。宝立の小中一貫、まだまだ試行錯誤の段階であり、率直に課題を明らかにし、克服する知恵を絞りあうべきだと私は思います。
 特に大谷地区の小中一貫校は、宝立小中学校と異なり複式のクラスがある小規模校となります。新たに配慮すべき点をどのように考えておられるかについてもお聞きしておきたいと思います。
 最後に三崎中とみさき小、および緑丘中と校下の小学校についてお聞きします。私は年に数回、よその教育委員会を視察に訪れる機会がありますが、どこへ行っても必ず出てくる取り組みが小中連携の推進です。小中一貫教育導入の目的にも挙げられた中一ギャップ解消に向けた様々な連携事業があり、また小中それぞれの教員の交流も進められています。三崎と緑丘校下については、小中一貫の導入を待たずとも、必要な小中連携の取り組みは積極的に進めるべきだと思いますがどうでしょうか。教育長の見解をお聞きして私の質問を終わらせていただきます。


2 コメント

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本当に怖い今後 (Unknown)
2013-03-13 21:17:12
 民主党政権との違いを鮮明にとの思いからかどうかわからないのですが、このようにどんどんと強引推し進められる政策にア然とするばかりです。
 国民の声もなんのその阿部政権は間もなく暴走の可能性あり。
 珠洲市の男女共同参画行動プランは、数値目標が設けられていなかったのですね。
 各審議会や委員会には最低2人程度の女性の参画が必要だと思います。
 頑張ってください。
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ありがとうございます (北野)
2013-03-14 08:52:26
安倍政権の政策の問題点は自治体からもどんどん声をあげていかなければならないと思います。
憲法や平和に関する課題ももちろん国会議員任せにはできませんが、これから自治体の中で一番に問題になってくるのは教育政策ですね。

男女共同参画の関係で、審議会などへの女性の登用率は珠洲市は13.0%(19審議会239人の委員中、女性は31人)で県内では川北町に次いで下から2番目。トップの小松市は40.5%となっています。

珠洲の中でもっとも男性中心となっている組織のひとつが市議会です。残念ながら女性はゼロ。以前、2人いたこともありますから大きな後退ですね。
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