志賀原発の安全協定の事前了解をめぐって6月30日に「ベント工事着手 県の事前了解は???」、そして7月4日には第2弾として「安全協定の空洞化 「事前同意」権の放棄」を書いたが、9月県議会でもおそらく議論となるであろう重要な問題であり、第3弾を書きたい。
新潟県は安全協定の事前同意権を主張し、東京電力の柏崎刈羽原発再稼働申請を当面阻止することができた。
北陸電力は志賀1号機直下のS-1断層問題などがあり、当面、再稼働申請はできる状況ではないが、活断層隠しに成功したら一日も早く再稼働できるようフィルター付ベントなどの工事に着手する方針であり、県は安全協定に基づく事前了解を工事が完成し、再稼働の申し入れがあったときに丸ごと追認していく方針でいる。先にも書いたが、事前同意権の放棄である。
ここで、新潟権の安全協定と石川県の安全協定について、該当条文を比較してみたい。
新潟県:東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書
(計画等に対する事前了解)
第3条
丙(東京電力)は、原子力発電施設及びこれと関連する施設等の新増設をしようとするとき又は変更をしようとするときは、事前に甲(新潟県)及び乙(柏崎市及び刈羽村)の了解を得るものとする。
石川県:志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書(PDF)
(計画等に対する事前了解)
第6条
丙(北陸電力)は、原子炉施設及びこれと関連する施設を増設しようとするとき又は変更しようとするときは、甲(石川県)及び乙(志賀町)と協議し、事前に了解を得るものとする。
基本的に書いてある中身は同じである。
この条文を根拠に、新潟県はここでいう施設の変更にあたる「原子炉設置変更許可申請書」を国に提出する前に新潟県の事前了解が必要だと主張し、片や石川県は国の許可を受け、工事を実施・完了し、動かす前に了解を得ればいいという立場である。しかも、今回特に問題となるフィルター付ベントなどについて個別に了承するかどうかの議論をするのではなく、再稼働を認めるかどうか丸ごとの判断をするのだという。
県の担当課に確認したところ、新潟と石川では協定は同じような内容だが「運用」が違うのだそうだ。
そこで前置きが長くなったが、今回はこの運用について比較検討してみたい。
両県とも、実は運用について活字にして明記している。
新潟県:東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定の運用について
3 第3条について
事前了解の対象とするものは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年6月10日法律第166号)で定める施設の設置、変更のうち周辺地域住民の線量評価に関係するもの及び復水器の冷却に係る取排水施設とする。
ただし、事前了解の要否については、計画の内容、重要度を勘案し、その都度協議するものとする。
丙は、事前了解を得ようとするときは、その計画の概要を記載した文書を甲及び乙に提出するものとする。
なお、この文書には、周辺地域住民の線量評価に関する事項及び復水器の冷却に係る取排水に関する事項も記載するものとする。
石川県:志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定の運用に関する細則(PDF)
(事前了承)
第3条 協定書第6条に定める事前了解の対象とするものは、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年6月10日法律第166号)」第23条及び第26条に定める施設及び復水器の冷却に係る取排水施設とする。
志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定の運用に係る覚書(PDF)
該当条文なし
これを見る限り、新潟県の場合、周辺住民の安全に直接かかわらないような軽易な変更は事前了解を必要としないが、周辺住民の線量評価にかかわる重要な変更(まさにフィルター付ベントは典型的なものでる)は事前協議の対象となると読める。
石川県の場合、事前了解を要するか否かをふるいにかけるような運用自体定められていない。
設置変更許可申請を出したものはすべて事前了解の対象である。
もし、工事完了後の了承でいいとするのならば、第6条は、
「丙(北陸電力)は、増設又は変更した原子炉施設及びこれと関連する施設を稼働させようとするときは、甲(石川県)及び乙(志賀町)と協議し、事前に了解を得るものとする。」
こういう条文でなければならないはずだ。
現在の県の安全協定の運用は、運用の細則にも定められていない、勝手な解釈に基づくものだと言わざるをえない。
まさに、なりふり構わず志賀原発の再稼働を後押しする県の姿勢が安全協定の運用からも浮き彫りになっている。
新潟県は安全協定の事前同意権を主張し、東京電力の柏崎刈羽原発再稼働申請を当面阻止することができた。
北陸電力は志賀1号機直下のS-1断層問題などがあり、当面、再稼働申請はできる状況ではないが、活断層隠しに成功したら一日も早く再稼働できるようフィルター付ベントなどの工事に着手する方針であり、県は安全協定に基づく事前了解を工事が完成し、再稼働の申し入れがあったときに丸ごと追認していく方針でいる。先にも書いたが、事前同意権の放棄である。
ここで、新潟権の安全協定と石川県の安全協定について、該当条文を比較してみたい。
新潟県:東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定書
(計画等に対する事前了解)
第3条
丙(東京電力)は、原子力発電施設及びこれと関連する施設等の新増設をしようとするとき又は変更をしようとするときは、事前に甲(新潟県)及び乙(柏崎市及び刈羽村)の了解を得るものとする。
石川県:志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定書(PDF)
(計画等に対する事前了解)
第6条
丙(北陸電力)は、原子炉施設及びこれと関連する施設を増設しようとするとき又は変更しようとするときは、甲(石川県)及び乙(志賀町)と協議し、事前に了解を得るものとする。
基本的に書いてある中身は同じである。
この条文を根拠に、新潟県はここでいう施設の変更にあたる「原子炉設置変更許可申請書」を国に提出する前に新潟県の事前了解が必要だと主張し、片や石川県は国の許可を受け、工事を実施・完了し、動かす前に了解を得ればいいという立場である。しかも、今回特に問題となるフィルター付ベントなどについて個別に了承するかどうかの議論をするのではなく、再稼働を認めるかどうか丸ごとの判断をするのだという。
県の担当課に確認したところ、新潟と石川では協定は同じような内容だが「運用」が違うのだそうだ。
そこで前置きが長くなったが、今回はこの運用について比較検討してみたい。
両県とも、実は運用について活字にして明記している。
新潟県:東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所周辺地域の安全確保に関する協定の運用について
3 第3条について
事前了解の対象とするものは、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年6月10日法律第166号)で定める施設の設置、変更のうち周辺地域住民の線量評価に関係するもの及び復水器の冷却に係る取排水施設とする。
ただし、事前了解の要否については、計画の内容、重要度を勘案し、その都度協議するものとする。
丙は、事前了解を得ようとするときは、その計画の概要を記載した文書を甲及び乙に提出するものとする。
なお、この文書には、周辺地域住民の線量評価に関する事項及び復水器の冷却に係る取排水に関する事項も記載するものとする。
石川県:志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定の運用に関する細則(PDF)
(事前了承)
第3条 協定書第6条に定める事前了解の対象とするものは、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年6月10日法律第166号)」第23条及び第26条に定める施設及び復水器の冷却に係る取排水施設とする。
志賀原子力発電所周辺の安全確保及び環境保全に関する協定の運用に係る覚書(PDF)
該当条文なし
これを見る限り、新潟県の場合、周辺住民の安全に直接かかわらないような軽易な変更は事前了解を必要としないが、周辺住民の線量評価にかかわる重要な変更(まさにフィルター付ベントは典型的なものでる)は事前協議の対象となると読める。
石川県の場合、事前了解を要するか否かをふるいにかけるような運用自体定められていない。
設置変更許可申請を出したものはすべて事前了解の対象である。
もし、工事完了後の了承でいいとするのならば、第6条は、
「丙(北陸電力)は、増設又は変更した原子炉施設及びこれと関連する施設を稼働させようとするときは、甲(石川県)及び乙(志賀町)と協議し、事前に了解を得るものとする。」
こういう条文でなければならないはずだ。
現在の県の安全協定の運用は、運用の細則にも定められていない、勝手な解釈に基づくものだと言わざるをえない。
まさに、なりふり構わず志賀原発の再稼働を後押しする県の姿勢が安全協定の運用からも浮き彫りになっている。
石川県の原子力行政は非常に単純明快で、志賀再稼働につながることは法律であろうが安全協定であろうが、捻じ曲げてでも何でもやる。一方、再稼働にマイナスになることは意地でもやりません。
こうした県行政を許している県民、特に私たちの力不足を大いに反省し、再稼働阻止の運動を展開していかなければなりません。
2.原子炉等規制法23条第2項では
一から五(略)
六 原子炉施設の工事計画
七以降(略)
としており、26条はこれの変更の規定です。
北陸電力の発表にある工事計画は23条に明記されています。
これをどのように運用したら対象外にできるのか、県の見解は私には理解できません。