北野進の活動日記

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輪島の産廃処分場問題を考える会、市長申し入れ

2016-10-20 | 震災がれき
輪島の産廃処分場問題を考える会が市長あて申入書を提出。
私も事務局の1人として関わっているが、今日は発言を控え、カメラマンで参加。



この産廃問題、決して輪島市だけの問題ではなく世界農業遺産にも認定された能登全体の問題だと思っている。
この間の経緯を確認しておかねばと思い、10年前にさかのぼり輪島市議会の本会議での産廃問題を巡る議論のすべてを読ませてもらった。



今日の申入書では、「今年に入り、市長や市議会は従来の立場を突如転換し・・・」と記している。
大方の輪島市民の受け止め方だろうと思う。

梶市長は市民の14582筆の反対署名や議会の2度にわたる反対の意見書について、聞かれるたびに「重く受け止める」と繰り返し答えている。
さらに「建設反対」と明記した検討委員会の答申も「重く受け止め」、環境アセスの市長意見では「厳しい意見を出す」あるいは「厳しい意見を出した」と、これまた繰り返してきた。

普通に答弁を聞いてきた多くの市民は、市長は「反対」とはっきり言わないが、自分たちと同じく思いは反対だと受け止めてきた。

ではいつから変わったのか?
どうもよくわからない。
転換を匂わすような発言はないわけではない。しかし、それほど決定的でもないし、理由として論理的でもない。

「反対」と明言しなかったのは、実は一貫して賛成だったからではないかと疑いたくもなる。
「重く受け止める」とは「重たいので嫌だからいずれどこかで降ろすよ」という意味。
「厳しい意見を出す」とは事業者に対してではなく「市民に対して厳しい意見を出す」と言う意味ではないか。

こう解釈すると10年余りの議会答弁がすっきり理解できる。
老獪な政治ってこんなことを差すのかもしれない。

しかし、これでは市民はたまったものではない。

今日提出したのは下記の意見書。
1週間以内には文書で回答するとのこと。
10年のあゆみがすっきり解明されるような回答は期待できないかもしれないが、不可解な経緯が少しでも明らかになり、住民投票に向けた市民の皆さんの関心も高まればと思う。

輪島の産業廃棄物処分場問題を考える会 最新情報はFBでどうぞ。

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2016年10月20日

輪 島 市 長
梶   文 秋 様
輪島の産業廃棄物処分場問題を考える会
代 表  板 谷 外 良


申 入 書

 
門前町大釜地区に産業廃棄物処分場問題が浮上して10年が経過しました。この間、2度にわたる市議会での反対の意見書可決、14,582筆という市民の反対署名、さらに市長が設けた検討委員会からの建設反対の答申などもあり、多くの輪島市民は「産廃問題は終わった」、あるいは「できるはずがない」と受け止めてきました。
ところが今年に入り、市長や市議会は従来の立場を突如転換し、建設へと動き始めました。市議会や市政懇談会における市長からの説明に説得力はなく、政策転換のプロセスは非民主的、安全・安心を巡る議論は非科学的と言わざるをえません。市民の間には驚きと戸惑い、憤りが広まっています。産廃の搬入は孫子の代まで続き、影響はさらに未来へと続きます。このままでは後世に大きな禍根を残します。
産廃処分場問題は、本来、市長が民意を尊重し計画反対を表明していればとうの昔に終わっていた問題です。市長自ら住民投票の発議をし、民意を問うこともできました。私たちはいま、まさにやむにやまれる思いから住民投票の実現を目指しているということをご理解いただき、以下の質問項目に対し、真摯なるご回答をお願い申し上げます。
なお、回答は後日(できましたら1週間以内に)、文書でもいただきたく、あわせてお願い申し上げます。



1.住民投票について
(1)計画公表当初、市長は議会答弁で「地区懇談会だけで住民の皆さんの考えをは
かり知ることは万全でない。住民の意見を全体からお聞きする手法として住民投票条例の制定もあり得る」と述べている。平成19年には住民投票の根拠や基本的な内容を定めた自治基本条例及び住民投票条例が制定され、市民全体の意見を聞く制度は整えられた。なぜ市長は今日に至るまで市民全体の意見を聞こうとしなかったのか。   
                          
(2)市議会の2度にわたる反対の意見書可決や市民14,582人もの反対署名、さらには剱地地区の反対の要望なども受けながら、市長はこれらの意見に反し、産廃推進の立場へと舵を切った。住民投票をするまでもなく市民全体の意見は賛成多数との確信があってのことか。それとも市民の意見はどうであろうと自らの意思を貫いたということか。

(3)市長は昨年7月に知事に提出した環境影響評価準備書に対する市長意見におい
て、「極めて大きな事業であり、住民にとっても非常に関心の高い事業である」と述べている。私たちも同感であり、だからこそ市長や市議会だけでなく、市民みんなで決めるべき課題だと考えている。市長は先般の河井・鳳至地区の市政懇談会において「住民投票が成立した場合、その結果に従う」と述べているが、あらためて住民投票に対する市長の認識や結果が出た場合の対応を確認したい。

(4)輪島市自治基本条例は「市民が自治の主体であり、市民一人ひとりが個人として尊重されること及び自らの意思と責任に基づいて自己決定することを基本理念」として掲げている。署名運動に対する圧力や妨害は、市職員も含めたすべての市民に対して絶対にあってならないと考えるが見解を聞く。

2.「輪島市産業廃棄物最終処分場建設問題検討委員会」の答申について
(1)仮に答申の前提条件に変更が生じて見直す必要が生じたのならば、専門的知見を有する学者や住民の代表を交えた検討委員会を再度設置して、あらためて答申を求めるのが行政のとるべき基本的な手順ではないか。

(2)答申が指摘した課題は9年近く経た今もなんらクリアできていない。むしろナノテクノロジーの急速な進歩、地震や異常気象による自然災害のリスクの拡大、そして能登の里山里海の世界農業遺産認定やキリコ祭りの日本遺産認定など、この間の科学の発達や社会の変化は答申の説得力をより高めているのではないか。答申の今日的評価を聞く。

(3)市指定天然記念物である琴が浜海岸、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定
  されている天領黒島地区、各種指定文化財、登録文化財が集積した総持寺祖院など、産廃処分場周辺には貴重な文化財が数多く存在する。答申の「最終処分場は、輪島市の自然的、歴史的、文化的ストック等のコンテキストにあわない」との指摘は、まさにこれら文化財の自然的、歴史的、文化的価値が、産廃処分場建設によって損なわれることへの警鐘だと思うが、教育長の見解を聞く。

3.奥能登住民の理解について
市長はかつて産廃処分場建設について「観光や海を通じて奥能登全体の問題である」との認識を示している。この間、奥能登の各自治体及び住民の理解や賛同を得るための取り組みはあったか。また、理解や賛同を得たと判断したのならば、その根拠を聞く。

4.公共下水道への接続について
(1)処分場の除害施設のトラブルで浸出水から有害物質が下水道に流れ込んだ場合、技術的にどのような対応を行うのか。

(2)公共下水道を通じて有害物質が環境に放出された場合、水質汚濁防止法により市の責任が問われると思うが、市の見解を聞く。

(3)風評被害が発生した場合、市は賠償責任を負う考えはあるか。

5.搬入路について
(1)市道深谷滝町線の廃止、市道剱地大釜線の新たな路線認定の手続きが進んでいない。搬入路が決まらないと環境影響評価報告書の作成ができないと思われるが、今後の見通しや市の対応方針を聞く。

(2)奥能登はもちろんのこと、建設手続き上、同意が求められる志賀町ですら理解が得られていないのではないか。

6.搬入廃棄物について
(1)事業者は受入対象廃棄物について「主として富山、石川、福井の3県」としている。条件次第では全国各地からの搬入もあると思われるが、市の認識を聞く。

(2)今後、原発は廃炉時代を迎え、廃炉作業の過程で発生する廃棄物の搬入も予想される。「住民意見等に対する事業者の見解」によれば「クリアランスレベル(放射性セシウム濃度で100Bq/kg)以下のものに限り、受け入れます」と記載されている。クリアランス対象物及び放射性物質として扱う必要がないとされている廃棄物については廃炉になった原発から搬入されるとの理解でよいか。

7.産廃処分場受入れの経済的影響について
(1)輪島市として、税収や下水道使用料、雇用などのメリットと地域の観光や農林水産業への影響、地域イメージへの影響、環境汚染のリスク、風評被害のリスクなどのデメリットについて、総合的にどのような分析をしているか。

(2)今回の産廃処分場建設によって、最も利益を受けるのは誰か。





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