昨日(11月29日)はマイナンバー離脱訴訟の報告・学習会に参加。
共通番号(マイナンバー)制度は憲法13条で保障されたプライバシー権を侵害するものであるとして、私も原告の一人として参加し、制度からの離脱を求める訴訟を起こしたのが2015年12月1日。
あれからちょうど4年が経過し、この間、17回に及ぶ口頭弁論が重ねられている。
冒頭、坊真彦原告団長からのあいさつ。
同種の訴訟が仙台、新潟、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡の各地裁で起こされている。さる9月26日には横浜地裁で初めての判決が出され、東京地裁もまもなく結審を迎えるとのことで、金沢訴訟も審理は終盤に入り、来年中には結審するのではないかとの見通しが示された。
横浜地裁の判決は、結論は被告の国側の主張を丸呑みするような不当判決であり、金沢訴訟も楽観を許さない。
この日の学習会を踏まえ、勝訴判決に向けてさらに頑張っていく決意が語られた。
続いて弁護団事務局長の小島弁護士から、金沢訴訟の経過が報告された。
自己情報コントロール権を踏まえ、「情報ネットワークに接続されない権利」を主張していること、他の7つの訴訟と連携しつつ、金沢訴訟の特徴として海外の裁判例も広く研究し、引用していることも報告された。ドイツでは日本のようなシステムは違憲と判断されているとのこと。
学習会の講師はマイナンバー神奈川訴訟、東京訴訟の原告である原田富弘さん。都内の自治体職員として勤務していた頃から住基ネットや共通番号制度に反対する市民運動のメンバーとして活動している。
講演では、制度が内包する具体的な人権侵害の危険性が詳細に明らかにされ、当初から懸念されたことが現実となっていること、さらに制度の欠陥や矛盾を覆い隠すために政府によるさらなる利用拡大が自治体を巻き込んで強引に図られようとしていることに深刻な懸念が示された。
政府が掲げる共通番号制度の目的は上のパンフにもあるように①国民の利便性の向上、②行政の効率化、③公平・公正な社会の実現の3つ。いずれも実現どころか制度導入によってマイナス効果を発揮している。
加えて制度導入時の「社会保障・税番号大綱」で掲げられていた「社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる社会」や「国民の権利を守り、国民が自己情報をコントロールできる社会」は目的から消え去って、自己情報コントロール権を侵害する制度となっている。
表向きの目的はすでにメッキが剥がれ落ち、安倍政権の本音の目的は国民の動員、監視、選別であることを原田さんは明らかにしていった。
制度導入に関わった現在の野党議員やそれを支持した一部の労働組合も、ここまで制度が換骨奪胎、悪用されていることが明らかなのだから批判の声を上げてもらいたいものだと思う。
そもそも多くの国民から個人情報の漏えいや成りすまし、国家による個人情報の一元管理といったことについて懸念が示される中、共通番号制度の制度設計に枠をはめたのが2005年の金沢地裁の住基ネット違憲判決や住基ネットを巡る2008年の最高裁判決である。
制度の危険性は共通認識である。その危険を回避する制度設計がなされていると強引みなすことで住基ネットは合憲だと最高裁は判断した。
ところが今の安倍政権は最高裁の指摘した数々の懸念に対して、国が民間企業も巻き込んで大々的に正面突破すれば大丈夫、最高裁も怖くない、赤信号だって渡れるぞと言わんばかりの制度設計となっている。
このような政権の暴走が許されていいわけがない。
先日の横浜地裁の判決でも、結論は国の主張を受け入れつつも、原田さんらが作成した意見書や証人としての証言などもあり「安全措置によっても情報漏えいを完全に防ぐことは困難」と認め、行政運の効率化などの目的が実現していないことも認めざるをえなかった。
この間の口頭弁論には傍聴すらほとんど参加できていない私だが、今回の学習会であらためて制度の危険性と欠陥への認識を深めることができた。
かつての住基ネット違憲判決に続き、今度は共通番号違憲判決を勝ち取らなければならない。
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