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原発輸出を国民的議論の中で問い直そう!
ストップ!プルサーマル・北陸ネットワークが金沢市内で開いた学習会「プルサーマルが核のリサイクルって本当?」で、講師の鈴木真奈美さんは参加者に訴えた。
鈴木さんの話を聞くの6月19日に続いて今年2回目。福井市内で開かれたAPECエネルギー担当閣僚会合に対抗して開催された「6・19対APEC市民エネルギーシンポジウム」以来である。
福井での閣僚会合のホスト役は直嶋正行経済産業大臣。日本一原発の集中した福井県で、もんじゅも運転再開させた中での開催である。日本の原子力技術を加盟国の担当大臣にアピールし、原発輸出につなげていこうという菅政権の思惑があったことは間違いない。いわば日本政府主催の原発輸出商談会である。
この「商談会」の開催に抗議し、原水禁などが主催し開かれたのが市民シンポジウムである。今日からAPEC首脳会議という日に、ふたたび鈴木さんの講演を聞けるとは、ちょっと不思議なめぐり合わせである。
さて、鈴木さんの講演は、日本の原子力政策の歴史を振りかえる中からプルサーマル計画の問題点を明らかにすると同時に、世界的な原子力業界の生き残り戦略として原発輸出が位置づけられていることを鋭い分析の中から指摘をした。
①再処理・高速増殖炉路線に失敗し、②温暖化対策の国際的「お墨付き」にも失敗し、③原子力をCO2削減策の柱に、も失敗し、いよいよ追い詰められた原子力業界が生さき残り策として打ち出したのが原発輸出である。菅政権で一気に浮上したかにも見えるが、実は小泉政権当時の2005年に策定された原子力政策大綱にその基本となる方針が打ち出され、翌2006年に公表された「原子力立国計画」に原発輸出が盛り込まれていたのだ。
当時の私は、もんじゅや再処理工場さえうまくいかないのに、原子力立国なんてあるもんか、と高をくくていた。国民向け、原子力予算獲得対策のスローガン的意味合いしかない張子のトラのような計画だと思っていたが業界の狙いはそうではなかったのである。
その後、ODAや政策金融を絡めて輸出の仕組みが作られ、いよいよ菅政権の下で示された原子力業界の要望丸呑みの成長戦略で、原発輸出は大手を振って国策のど真ん中に立ち上がったのである。
国民の税金を投入しての輸出の枠組みであり、どこかの原発メーカー、あるいは業界が自らリスクを覚悟で取り組むのとは次元の違う話である。国会でその是非を徹底的に議論してもらいたいが、大元は自民党時代に作られたものだから、野党自民党は批判なし。健全な党内論議が決定的に不足している民主党内からも異論は聞こえてこない。
成長戦略としても妥当かどうか、大いに議論が必要である。自動車輸出が頭打ちだから今度は原発だ、新幹線だ、ということでいいのか。特に原発は、核拡散の絡みら、新エネルギーへの投資との競合や対立という問題もある。さらには本当に儲けになるのかどうか、という次元でも業界に中にも疑問視する声もある。
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ねずみ一匹通さぬ警備の前に、まずは国民に開かれた議論をやるべきだ。
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