「奥能登国際芸術祭2017」開催の経済効果が今日の市議会議員全員協議会で報告された。
市内の直接効果(観光消費額)は4億1800万円、1次波及効果、2次波及効果の直接効果比を0.25として1億500万円。
合計5億2300万円とのこと。
12月議会の一般質問で、経済効果は5億円を超える程度ではないかと指摘したが、そういう意味ではほぼ私の予想通り。
インプットする数字は推計値なので、推計次第ではもっと大きな数字にも小さな数字もなる。
経済効果に大きく影響を与える来場者の日帰り、宿泊の比率や、一人当たりの消費額など細部の数字については疑問点も多々あるが、ベースになる数字は鑑賞者アンケートなのでとりあえず良しとしよう。
来場者数のカウント方法にも疑問が残るが横に置いておこう。
北アルプス芸術祭との比較で言うと、奥能登は小中学生を経済効果算出の対象人数から除き、イベント参加者も同じく対象者から除いている点は評価できる。
県内まで広げた経済効果を算出すれば、もちろんもっと大きな数字になる。
どれでもあらためてはっきりしたのは、奥能登国際芸術祭は、ほとんど地元でお金が回らないイベントだということ。
経済効果というのは、平たく言えば「あることをした場合に、それによってお金がどれだけ回ったかという指標」。
珠洲市の経済効果と言った場合、それだけのお金が珠洲市内に回った(時には通過した)ということであって、珠洲市に5億円の富が残ったという意味ではない。ましてや市民一人当たり3万円儲かったという話ではない。
それでも通常、多くのイベントでは投じた費用の数十倍といったでっかい経済効果があったとされ、それだけ大きなお金が回ってるのなら市内の企業や市民の手元にもそれなりにお金が落ちてるんだろうなと推察できるわけだが、4億3千万円を投じて5億2300万円とは、ほとんどお金が回っていないってこと。
さらに言えば、5億2300万円がそのまま珠洲の経済規模の底上げになったかというと、通常そういうことはありえない。
珠洲市民(当然ながら日帰り鑑賞者)の1人当たりの消費額は4499円とされている。この数字自体大きすぎると思うが、仮にそれだけの金額を芸術祭で出費しているなら、多くのつましい珠洲市民はほかのどこかで節約してるだろう。
私にも何人かの市民の方から「いっぱい人が来たっていうけど、いったい誰が儲かったが??」という質問が寄せられるが、ごく一部の宿泊、飲食関係には儲けがあったかもしれないが、ほとんどの市内の事業所にとっては、芸術祭の恩恵はなかったのは明らか。
それでも、
アートの力で珠洲の魅力を大いにアピールできたからいいじゃないか。
地元の皆さん、鑑賞者の皆さん、楽しんで元気になったからいいじゃないか。
作品のクオリティは高く、素晴らしい芸術祭だったからいいじゃないか。
ということになるのか。
最低限、運営方法を大幅に見直さないと2回目という話にはならないのではないか。
観光と地元市民の関係は必ずしも良好ではなく、京都でも観光に直接従事する人口は1割程度のため、観光客の増加に冷ややかといいます。私も京都で、カート引いて歩道を歩いていたら、おもいっきり後ろからきた自転車に煽られ、更に追い抜き際にすれすれで通られ、あからさまな嫌がらせをされました。(昨年冬)
観光地の加賀でもバブル期はやはり、観光業に関連していないと、かなり観光客に悪意を持って対応する例があったように思います。