北陸電力が経営悪化を理由に来春から値上げを実施すると発表した。
第2次オイルショックの影響で値上げした1980年以来38年ぶりとのこと。
波紋を呼んでいるのはその対象。
高圧、特別高圧で受電している企業と、オール電化メニューや深夜電力メニューを利用している一般家庭。
オール電化ハウスは10%近い値上げ幅だという。
北電が「安いよ!」「お得ですよ!」と推奨してきたオール電化を狙い撃ちにした値上げだけに、オール電化世帯には「裏切られた感」「騙された感」があるようだ。
気持ちはわからぬでもないが、そもそもなぜオール電化や夜間電力は安いのか、その安い電力の拡大をなぜ北電は積極的に推進してきたのか、そこは考えておいた方がいい。
キーワードは「最小電力(ボトム需要)」だ。
(原子力資料情報室のHPより)
※図は少し古く自然エネルギーが盛り込まれていないが、基本的な問題点は変わらないので使用する。
原発の弱点は地震や津波、廃棄物問題だけではない。
火力や水力と違って出力変動ができないことも大きな弱点だ。
グラフにあるボトム需要がベースロードを割り込む事態となったら原発は停止するしかない。
電気は貯蔵できず、需要を上回る電力が供給されると、電圧や周波数に影響がでてしまうからだ。
こうした事態になったら急遽火力や水力などで対応しなければならない。
ボトム需要は原発の生命線だ。
原発立地の理由として「電力需要が増えるから原発が必要だ」といったことがしばしば言われていたが、実はピーク需要は関係ない。
ボトムアップしないと原発は増やせないし、場合によっては停止しなければならないのだ。
北電にとって志賀原発は管内の電力需要からして過大設備。
中電や関電にも電気を買ってもらっているが、管内のボトムをあげるため、深夜電力の拡大、オール電化の普及に躍起になっていたのだ。
オール電化の世帯の皆さんは意識する、しないは別にして、結果として原発運転に貢献し、そして恩恵を受けてきた。
志賀原発の再稼働の展望がない中、その恩恵がなくなるのは当然のこと。
北電・金井社長が「もっともっと上げたかった」と言ったのもある意味当然だが、本当に必要なのは原発抜きの経営見通しを明らかにすること。
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