北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

再び核燃料税について考える

2012-05-22 | 志賀原発
 停止中の原発を対象に核燃料税をかけることについて、昨年7月にこの間の経緯を紹介し、廃炉に向けてインセンティブが働くかどうかという問題提起をした(こちら)

 昨日、谷本知事は税率を現在の12%から17%へ、さらに現在は装荷される核燃料の価格に対する課税だが、停止中でも課税できる「出力割」を導入した核燃料税条例案を6月議会に提案する方針を固めたという。

 志賀原発の防災対策の範囲は拡大するが、一方で志賀原発はずっと停止中。新たな核燃料の装荷はないので新たな防災対策に回すための財源が確保できない。
 停止中でも核燃料がある限り危険なことは福島第一原発4号炉の「今」を見ても明らかである。そういう意味において、今回の税率アップ、課税客体の見直しは必要と言えるかもしれない。 

 ここで新しい問題を提起したい。

 北陸電力は志賀原発を再稼働できず、志賀原発で発電する予定だった電気を火電で賄っている。火電の燃料代がかさみ経営を圧迫しているが、加えて原発が止まっていても次々と課税されていく。私たちの主張を素直に聞いて建てなきゃ良かったといまさら言っても後の祭り。
 そこで核燃料税のアップ分を電気料金に転嫁する可能性もあるという。
 知事は「北電の経営者でないから価格転嫁されるかわからない」との見解を示したという。
 果たしてわからないという他人事みたいな話でいいのか。
 
 志賀原発含め北陸電力が供給する電気の恩恵を受けているのだから(あるいは建設を許してしまったのだから)、そのための防災対策の費用を電気料金として負担するのは当然(あるいは仕方ない)という考え方はありうると思う。

 ところが知事は「防災対策を講じる範囲が30キロに広がり、財政需要が大幅に増加した」と税率アップの理由を説明する。
 ということは、防災対策強化の恩恵は30キロ圏だけ。志賀原発から30キロ圏外の奥能登に住む住民は、電気料金だけ上がって、防災対策強化の恩恵にはあずからないということになるかもしれないということではないか。

 受益と負担の関係がイコールではないのである。
 従来は10キロ圏内はリスクを負担する、だから10キロ圏外の住民はそのための防災対策の費用を負担するという考えもあったかもしれない。
 しかし、福島の事故を踏まえた防災対策を考えたとき、知事は国の指針に従うということで割り切るのかもしれないが、30キロ圏外で防災の蚊帳の外に置かれ、納得しない人は多くいるだろう。

 乾いた雑巾をさらに絞ってでもで北電が税率アップ分を工面するのならまだしも、電気料金として負担するのに、防災対策強化の恩恵に預かれないという事態に対して、県はしらないと言い切れるのか。

 もちろん奥能登だけでない。30キロを超えた金沢方面の住民も同様である。富山に至っては、電気料金はあがるが、30キロ圏内の氷見を抱えていても核燃料税を制定しなければ既存の一般財源の範囲で原子力防災に対応しなければならない。

 果たしてこんなことでいいのか。原子力防災の費用負担はどうあるべきか、根本から考え直す時期にきているのではないか。

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