北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

21美「ジャパン・アーキテクツ1945-2010 」そして「3.11後の建築」展へ

2015-01-15 | 活動報告


金沢21世紀美術館の開館10周年記念特別企画「ジャパン・アーキテクツ」を観る。



まず「ジャパン・アーキテクツ1945-2010」である。
1923年以降の世界各地の戦争で破壊された建築物の破片が展示された「絶えざる破壊と再生」コーナーに始まり、1945年から始まる焦土化した国土の復興期、都市と国土のビジョンを描いた高度経済成長期、万博を契機とした新たなビジョンなど、2010年までを6つの時代に区分し、建築家が果たしてきた役割やその時代の建築の特徴などを豊富な設計図は模型を展示する中で明らかにしている。
監修はパリ国立近代美術館のフレデリック・ミゲルー氏。
東京一極集中が進む中、東京湾での海上都市の構想など建築がまちづくりどころか首都の都市構想にも大きなインパクトを与えてきた歴史、あるいは時代の変化を読み解き、先へ先へと暮らしの提案をする発想の豊かさ等々、じっくり見るとなかなかおもしろい。
安藤忠雄氏や磯崎新氏、21美を設計したSANAAらをはじめとした国内建築界をリードしてきた多くの建築家が紹介され、その発想や視点、さらには時代背景も学べて、戦後の日本史を学ぶ一つの切り口としても興味深い。

もうひとつの企画が「3.11後の建築」である。
建築家は多くの飲みこんで破壊した巨大津波を目の当たりにし、被災地の復興に向けてどのような行動を起こしたのか、あるいは3.11を経て日本の建築界にはどのような変化が生まれてきたのかが7つの視点から明らかにされている。

今回の企画を見に行った理由は2つ。
まもなく3.11から4年。
安倍政権のように3.11などなかったかのごと振る舞い、むしろ火事場泥棒的に国土強靭化の名の下での公共事業を大幅に拡大し、原発輸出を柱とした原子力業界の再建強化も図ろうとする政治がある。
その一方で、文明史的な転換期と捉えた動きが多方面で現われ、あるいは個人レベルでも生き方の大きな転機とした人が多くいる。
建築界はどうなったのかなという興味が湧いたのが一つの理由。

もう一つは珠洲市で計画されている新図書館建設の今後の議論に向けた情報収集である。
市民が参加した検討委員会の答申が来月にもまとめられ、来年度は基本設計に入っていくと思われる。
参考になることがあるに違いない。そんな思いで会場を歩き回る。

展示された資料やそこか発せられるメッセージを私の頭の中で十分に消化するには残念ながら基礎知識に欠けるが、刺激だけは十分すぎるほど受けることができた。
個人的には結構満足度の高い企画だった。
興味のある方は是非どうぞ(~3月15日まで)

オマケ:5月10日まで無料スペースで開催されている「犬のための建築」も21美ならではのおもしろい企画。犬ファン必見!









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