北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

県議選選挙区考

2011-02-05 | 活動報告
 昨日(2月4日)、石川県議会議員選挙珠洲市選挙区に平蔵(へいぞう)豊志市議が出馬を表明した。この間の経緯については こちらを参照
 これによって珠洲市選挙区は、現職の塚崎康彦氏と平蔵豊志氏との自民党員同士の一騎打ちとなる公算が強くなった。

 今回の新人擁立劇では、一部自民党市議も積極的に動いたと聞くが、最も積極的だったのはやはり泉谷市長だろう。
 1昨年から昨年にかけて、県議会では定数の見直しと選挙区の区割りの変更について検討が重ねられていた。市長はこの定数問題に絡めても塚崎県議の再選を阻止しようと様々な働きかけをしたようである。

※塚崎県議と泉谷市長、そして自民党珠洲支部の間で言い分を異にすることが多々みられる。1月29日付け北國新聞「戦国県議選」にあるように、塚崎県議が自民党の公認申請に動いたかどうかという事柄でさえ見解が異なる。一つの情報だけを根拠に物事を決めつけてはいけないのは当然だが、特に塚崎-泉谷間の情報は何が本当かわからないことが多い。定数問題については、県議会筋からも聞いているので間違いないと思われる。

 県議選の定数や選挙区の区割り問題は地域にとって重要な問題であるから、市長が地域の利害を考え、様々なアクションを起こすこと自体はなんら否定するものではない(もちろん市議会はじめ市民の声を集約することが大前提であるが)。
 ただ、現職県議が気に入らないからという動機で選挙区をいじくるとなればそれは大きな問題である。

 県議会議員選挙も国政選挙同様、その選挙方法によってどの政党に有利か、どの議員に有利かということが付きものである。ただし、その損得勘定を前面に出して議論してはオシマイである。あくまで定数問題は憲法や法律に基づき、県民の声をより正確に反映できる議会にするという代議制民主主義の建前論で議論しなければならない課題である。

 言いだしっぺが市長か自民党県連かは知らないが珠洲市選挙区を輪島市選挙区あるいは鳳珠郡選挙区と合区する案が自民党内であったそうである。これについては報道もされている(北國新聞2010.5.17)。

 たとえば珠洲市選挙区(定数1)と輪島市選挙区(定数1)を合区し定数2の選挙区とする。そうすれば輪島市の宮下正博県議と宮地治県議、そして塚崎県議の現職3人で2議席を争い、宮下、宮地県議が勝ち残り、塚崎県議を敗れることも可能性としてはありうる。二人の県議を残せる輪島市はニンマリ、塚崎県議を落選させる泉谷市長もニンマリである。

 結果的にこの案は、塚崎県議や、同様に合区対象となる鹿島郡選挙区(七尾市選挙区との合区)も反対する中で、自民党県連の中で潰れたようである。

 塚崎県議はこれをもって珠洲市選挙区を守ったとしている(正月に珠洲市内各戸に配布された「しみんノート1」P16参照)。

 さて、県議会議員選挙の定数や区割りはどうあるべきか。

 実は県議選の選挙区は非常に不思議な形態となっている。金沢市のように定数16(次回から・以下同様)のような大選挙区もあれば、珠洲市や輪島市、鳳珠郡、鹿島郡、羽咋郡北部、かほく市の各選挙区のように定数1の小選挙区もある。1自治体が選挙区のところもあれば複数の自治体にまたがった選挙区もある。多様な選挙形態の中からそれぞれ選出された議員が県議会というひとつの器の中で県民の民意を集約していくのである。
 現行公職選挙法ではこういうことになり、また人口が偏在する以上やむを得ないともいえるが、果たしてこれでいいのだろうか。

 合区を進めた場合、定数1+定数1が場合によっては定数1にしかならないこともありうる。過疎化が進み政治への依存度が高い能登地域で、県政への発言力を低下させてはならないという建前と、定数1の選挙区は保守地盤が強い能登では自民党に有利という利害が一致し、能登では定数1の選挙区が多数存在する。

 しかし、定数1すなわち小選挙区は死に票が多く、多様な民意を反映しにくい選挙形態である。かつて能登地域選出の県議が全員自民党という時代も長く続き、私がいた当時も、私以外は全員自民党というときもあった。
 政治的発言力を高めるには議員の数は多いほうがいい。「数は力」の世界である。しかし多様な民意を反映するには、単に議席数が多ければいいというものではない。死に票を減らせる中選挙区制の方が望ましい。
 わかりやすい例が、原発問題である。かつては自民党議員だけ、しかも人口比以上の多数の議員がいて強力に原発を推進してきた。議員の数は多いが反対の住民の声は反映しづらかったのである。

 私は積極的に合区を進め、定数1の選挙区をなくし定数2以上、できれば3~4の選挙区にすべきと思う(法律改正が必要となる場合もあるが)。多様な民意を反映する議員構成にするほうが、より地域の発展につながると考えるからである。

 そういう意味で言うならば、珠洲市選挙区(定数1)を守ったという塚崎県議には賛同できない。泉谷市長が仮に「塚崎県議を落としたい」という動機で合区を主張したなら論外であるが、結論だけでいうならば私は任意合区をすべきであったと思う(これは現行法の枠内でも可能)。

 議会の議席は議員の所有物でもないし、市長の好みの議員を座らせる場所でもない。住民のものであり、その意味で定数や区割りのあり方を塚崎県議も泉谷市長も積極的に住民に問いかけてもらいたかった思う(自分が県議時代にできなかったことを言うのは無責任!との批判は甘受し、当時の反省も踏まえての発言ということでご容赦を)。

 


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